O's Note

いつまで続くか、この駄文

ジャンジャン

2008-06-19 22:30:00 | 感激観劇
 今から25年ほど前になるでしょうか、演劇を見に行くことが多かった時期がありました。
 その相棒が、当時、あるレストランの駆け出しコックをしていたS君でした(今は立派なオーナーシェフ)。ちなみに小生は当時、そのレストランでアルバイトしていたビンボー学生。
 演劇を見終えてアパートのある町まで戻り、いつも立ち寄ったのがお好み焼き屋たちばな。「たちばなっちゃうか」が合い言葉で、お好み焼きをビールで流し込みながら、その日の演劇について、遅くまで素人劇評会に興じていました。
 S君と見に行った演劇は、いわば商業演劇とは違って小劇場演劇で(ま、チケット代が安かったということもあったのですが)、テレビに出始めたばかりの東京乾電池のハチャメチャ演劇は、2~3度、見に行った記憶があります。劇場は、下北沢にあった本多劇場、そして渋谷ジャンジャンが多かったように思います。
 その渋谷ジャンジャンで見た演劇の一つがイヨネスコ原作の『授業』でした。登場人物は3名で、教授役は中村伸郎。しぶーい、それでいてすこぶるうまい老練の役者さんでした。中村伸郎氏は、10年間ほど、毎週金曜日の夜に、ジャンジャンで『授業』を演じ続けた方で、我々が見に行くきっかけは、「もうすぐ授業のロングラン公演を終えるかもしれない」という情報を得たからだったと思います(蛇足ながら、中村伸郎の後を次いでジャンジャンで『授業』を演じたのは仲谷昇)。
 意味もわからず不条理劇という言葉の響きに釣られて見に行った『授業』。
 そのラストシーンで、脳天をかち割られたような強い刺激を受けた演目でした。
 当然、その日のたちばなでは、二人とも、口角泡を飛ばしながら興奮気味に劇評をしました。というのはウソで、何をしゃべったのかは覚えていませんが、たちばなっちゃったことは事実です。(笑)

 さて、昨夜は、サンピアザ劇場でした。
 演目はイヨネスコ『授業』。出演は東京乾電池の役者さんたちで、教授役は柄本明氏。
 25年前に刺激を受けた演劇で、しかも同じ時代に見ていた東京乾電池、そして主役が鬼才柄本明氏ということになれば、当然、期待が大きく膨らみます。
 がしかし、期待感が大きすぎたからでしょうか、あるいは、中村伸郎氏のイメージが強すぎたからでしょうか、それとも、衝撃のラストを知っていたからだからでしょうか、「うーん、違うなあ」というのが見終えた最初の感想でした。
 もちろん、一緒に見たS先生もいっていましたが柄本氏の間の取り方はすこぶる付きで素晴らしかったですし、本当に語りかけるように長セリフをこなすさまは、柄本氏の独壇場といっても過言ではないでしょう。
 ただ、何かが違っていました。
 2年前、NHK教育で東京乾電池の『長屋紳士録』の舞台中継がありました(昨年はサンピアザ劇場で同じお芝居を観ています)。その放送の後で、柄本明氏が東京乾電池のこれまでの演劇、これからの演劇について語るインタビューがありましたが、その中で、自分のやりたいものを自分のやりたいようにやりたい、というようなことを語っていたように思います。その考え方からすれば、まさに『授業』を、中村伸郎風ではなく、柄本明風に解釈してお芝居を展開していても、不思議はありません。
 
 観劇後、小生自身の中で、何かモヤモヤ感があったので、一緒に観た諸先生の率直な感想をお聞きしませんでしたが(Lupin The 3rdのせいで忘れたか・・・)、始めて観た方は、どんな感想を持ったでしょうか。
 そしてS君が観たのなら、どんな感想を述べたでしょうか。
 上演時間1時間15分。

ALIVE

2008-04-26 22:00:00 | 感激観劇
 今日は、朝から偏頭痛が止まらず、気分がすぐれません。そんな体調の中、久しぶりに演劇鑑賞でした。
 演題はALIVE:生きることの大切さ、伝えたい-。
 主催はNPO法人国際曲劇団。NPOの活動に関心がある小生ですが、数多くあるNPO法人のすべてを知っているわけではなく、この法人のことも今回初めて知りました。
 しかし脚本・演出/MARUとなると、これはもう飲み友だちにも近い関係で(笑)、その脚本演出で劇団32口径の役者さんが多数出演するということになれば、勇んで駆けつけなければなりません。
 会場はサンピアザ劇場。少々早めに劇場に入りましたが、開始時間までには超満員でした。

 事前にチラシを見て知ったのですが、公演のテーマが「自死・ドラッグ・エイズ・いじめ」と、非常に重たい内容でした。
 今回の主催が、社会的弱者に感動を与えることを通して共に助け合って生きる社会を作ろうというNPO法人ですので、その点では、今回のテーマを通して「自死・ドラッグ・エイズ・いじめ」とは無縁の我々に、こういった問題はすぐ我々の隣で起きていることを知らしめる意図があったのかも知れません。
 しかしもう一方で、「SENTENCE」「スロウダンス」などでも、脚本家MARUさんは見ている我々に何かを投げかける本を書いていましたので、主催者がどうあれ、MARUさんなら書きそうだな、と思われるテーマではありました。
 
 会場で配布されたパンフレットには、次のようにあらすじが書かれています。

「幼い美佳は、父親の暴力に怯える日々を過ごしてきた。そんな美佳を支えていたのは幼なじみの優(すぐる)だった。いつも優は、美佳を励まし元気づけていた。しかし母親の失踪により、美佳は施設に預けられることになる。やがて里親のところに引き取られるが、家族関係はギクシャクする。そして思わぬところから亀裂が入り、美佳はふと夜の街へ。そこで待っていたのは、底知れぬ深い闇と、巧妙に仕掛けられた罠だった。
 ドラッグという魔の手に陥り、組織に弄ばれる美佳。そういう状況の中、美佳は、幼なじみの優と再会する。美佳を救い出そうとする優だが、更なる悲劇が二人に襲いかかる。運命に翻弄され、傷ついた二人が選んだ希望への選択とは・・・。」

 美佳を演じた加藤ゆみさんは熱演でした。たしかカトユミさんは、「SENTENCE」でもちょっと不良がかった女子高生役を演じていたと記憶していますが、今回も崩れていく女子高生を体当たりで演じていました。カトユミさんはドラマシティでパーソナリティもやっていてしばしば聞いていますが、個人的には、カトユミさんの良く通る声が好きです。
 里親役は三富香菜さんと高井ヒロシさん。三富さんは「スロウダンス」でも母親役を演じていましたので、今回も違和感はなかったのですが、でも考えてみれば、里親とはいえ、母親役をするほどの年齢なんでしょうかね(苦笑)。一方の高井さんは相変わらずいい味を出していましたが、あの髪型に意味はあったのでしょうか。
 施設の職員役の佐藤雅子さんは感情を押し殺した演技が光っていました。屋木さんは今回は相当のワル。ピッタリはまっていたといったら屋木さんに失礼でしょうか。
 優役は金澤君。難しい役をこなしていたと思います。ただ、美佳がクスリを欲しがり、手や足を掻きむしる姿を見て、優がその様子のおかしさに気付いた場面は、あまりに感情移入しすぎていたかなと思いました。いや、それが悪いというわけではないのですが。福村さんはたぶんはじめて演技を見ましたが、これまたカトユミさんと同じく崩れていく役どころ(サキという名だったかな)をうまく演じていました。
 そして井口さん。今回は夜回り先生よろしく、夜の街で若者たちを更生させようとする役でした。ストーリー全体の中では、唯一笑いを取るシーンでしたが、愚直なまでに説得する姿は、美佳の境遇よりも涙を誘いました。
 今回は、劇団32口径の皆さん以外に、ジャパンフォレストの若者たちが多数出演していました。それぞれに夜の街に生きるワルを演じきっていました。今回は美佳と優の子ども時代を演じた子役が2名出演していましたが、演技がうまかったです。

 ところで、少し辛口の話をすれば、家出した美佳を心配した里親が施設を訪問し美佳の消息を聞き出す場面がありました。そこに、美佳を救い出して自宅に連れ帰った優の親から連絡が入ります。美佳の行状は里親に伝えられます。当然、美佳はクスリづけ、クスリ欲しさに不特定の男性に身を委ねるという悲惨な状況にあります。優の親にすれば、そんな娘を家に置いておくわけにはいかない、あるいは自分の息子の彼女だなんてとんでもない、と思って施設に連絡を入れたと思っていました。しかし、ストーリーは、優と美佳が一緒に住むという展開になり、妊娠することになります。果たして現実的にはそれ(つまり、優の親が美佳を受け入れること)が可能なことなのかどうか疑問でした。プロの脚本家であるMARUさんですからそんなことは百も承知だったのでしょうが・・・。陳腐なストーリーを考えれば、優の親は美佳を施設に戻そうとする、そこで優と諍いが生じる、しかし、優は美佳のもとに走る、なーんていうのはどうかなと思いましたが、MARUさん、いかがでしょうかね?
 そういえば、最後に出てきたMARUさんの白いスーツ姿、格好良かったなあ。

 毎週土曜日は17時からMARUの時間。でも今日は夜の公演のため番組はお休みで、ずっと音楽が流れています。
 そして小生はいまだ偏頭痛と闘ってます。その原因がわかっているだけに始末に負えません。こういった日常と演劇という非日常。あまりに不釣り合いすぎますね。(苦笑)
 上演時間1時間50分。

抱腹絶倒

2007-11-24 17:25:25 | 感激観劇
 昨夜は、サンピアザ劇場第5回企画公演でした。
 出し物はイレブン・ナイン『あっちこっち佐藤さん』
 これが笑いっぱなしの演劇でした。
 主人公は佐藤ヒロシ。37歳。タクシードライバー。佐藤さん、ひょんなことから二人の「正式な」妻を持つことに。二人の正式な妻という状況は、通常では考えられないことではありますが、そこは演劇。当然、二人の奥さんの姓も佐藤さん。その佐藤さんの、一人の奥さんと暮らすアパートの隣人の姓も佐藤さん。
 物語は、タクシードライバーの佐藤さんがある事件に遭遇したことによって警察とかかわるようになり、そして新聞記者との接点も出てきて、てんやわんやの展開に。
 この演劇には7名の登場人物がいるわけですが、そのすべての姓が佐藤さんということになり、二人の妻との間で右往左往するタクシードライバー佐藤さんと隣人の佐藤さん。
 物語のテンポの良さ、舞台装置の作り方、7名の役者さんのぴったりと息の合った間合い。時間が過ぎるのを忘れるほどの面白さでした。

 ところで、パンフレットを見ると、この演劇の原作は英国の劇作家が書いたモノであるようです。二人の妻がいて、それを巡って物語が進行するのはわかりますが、どうやってオチを付けるのかが興味の的でした。二人の妻に、重婚であることがバレて「ごめんなさい」と謝って終わるのであれば、それまでの展開が台無しになってしまいます。結末がわかりきっていますので。
 物語は最後の最後に大どんでん返しが用意されていて、そこでストンと落ちます。
 こういったストーリーは、日本の劇作家ではなかなか書けないかもしれませんね。
 ラストの展開を見て、感覚的にはイヨネスコの『授業』に似てるな、と思いました(『あっちこっち佐藤さん』は決して不条理劇ではないのですが)。

 なにはともあれ楽しい演劇でした。
 上演時間1時間27分。

満月

2007-10-21 13:41:53 | 感激観劇
 昨夜見たサンピアザ劇場企画公演。面白かったです。
 演目は、夫婦印プロデュース「満月」。夫婦印プロデュースなんて聞いたことがありませんが、菅原大吉と竹内都子の二人芝居です。竹内都子、そう、あのお笑いコンビ「ピンクの電話」の肉付きのいい方。(笑)
 見終わるまで知りませんでしたが、菅原大吉と竹内都子は本当の夫婦でした。

 舞台はいかにも昭和の香りがする飲み屋の2階の一室(でも時代設定は現在)。
 ここにやってきたサラリーマン。用向きは、自分の二十歳になる娘が、飲み屋の女将の一人息子と駆け落ちしたことに腹を立て、息子を責め、娘がどこにいるのか問い詰めるためでした。
 はじめは圧倒されていた女将。しかしお酒を飲みながら話をするうち形勢逆転。
 こうして、いくつかの話題を織り込みながら物語は進行します。
 
 「満月」は、これまでのサンピアザ劇場企画のお芝居とは違って人情喜劇。
 笑える芝居というのもいいものです。
 物語の中で、二人の息子と娘が滞在しているのは日本のどこかの温泉だというエピソードがあったのですが、その中で「森林公園温泉」を挙げていたのには大笑い。ちゃんと地元の名前を取り入れていました(もっとも森林公園温泉は日帰り温泉ですが)。
 それにしても、この二人。芝居の中で何杯「お酒」を飲んだのでしょうか。相当水っ腹になっていたのだと思います。
 
 菅原大吉という役者さん。滑舌がはっきりし、言葉による感情表現も素晴らしかったです。
 これまた途中で菅原大吉が流ちょうなズーズー弁をしゃべったので「うまいなぁ」と感心したのですが、なんと、出身が宮城県でした。あれほど完璧なズーズー弁は小生にもいえません。(苦笑)

 一緒に観たS先生(もう一人のS先生。笑)と劇評会をしましたが、二人とも大いに笑って楽しみましたので、辛口の劇評もなく(笑)、その代わり辛口(+12)の美味しいお酒を楽しんで帰路につきました。

 上演時間1時間45分。

スロウダンス-彼女は、あきらめない。

2007-10-01 21:36:55 | 感激観劇
 昨日は3回目のサンピアザ企画公演がありました。
 出演はMARUさん率いる劇団32口径
 昨年秋のSENTENCE、今年4月のONEに引き続いて、劇団32口径3作目の観劇でした。
 会場となったサンピアザ劇場は満員の入りで、当日券はないという盛況ぶりでした。
 今回の「スロウダンス-彼女は、あきらめない。」は、早老症という普通より4倍速く肉体が老いていくという難病を患った女の子を中心にして、その友達、お母さん、医師らとのかかわりを描いた内容でした。

 さて、例によって会場でアンケート用紙をいただいたのですが、提出しませんでしたので、ブログでお答えすることにします。

Q1.あなたはこの公演をどのようにお知りになりましたか?
 サンピアザ劇場で芝居を観る会会員なので(当たり前過ぎる・・・)。

Q2.印象に残ったものはなんですか? それぞれの感想をお書きください。
1.役者
 32口径の演劇によく出演している高井ヒロシさん(32口径所属ではないらしい)。今回は医師としてシリアスな役柄を演じており、予想どおりいい役者さんだなあと思いました(SENTENCEの時のナメクジとは大違い。苦笑)。
 井口浩幸さんは今回はおかま。(笑)
 てっきり医師役で出演するのかなと思っていただけに意外でした。もう少し出番があれば良かったのになあと、個人的なファンとして残念でした。
 今回、主治医役として客演(?)したのはロミオマシーンの大森俊治さん。ロミオマシーンというバンドは知らなかったのですが、いい演技をする方だと思いました。ただ、若手医師にしてはキャラクターがやや軽かったかな。真剣な時と弾ける時のメリハリをもっと付ければよかったかなと思いました。
 三富香菜さんは良かったです。今度、握手してもらおうっと。(笑)
2.脚本
 事実をもとに取材して構成したというだけあって真実味あふれるストーリーで、個人的には大団円をどう迎えるのかに関心がありました。
 時間の経過とともに年老いていくという流れがうまく出ていたと思います。
 ただ、お母さん(三富さん)が夜の工事現場で働いていた、というのには驚きでした。唐突すぎませんかねぇ。(苦笑)
 そういえば、「彼女は、あきらめない。」なんですね。誰の目で見てるんでしょうか。「私は、あきらめない。」としなかったのには深~いワケでもあるんでしょうか?
3.演出
 今回もシンプルな舞台装置ながら、役者さんの出と入りに変化があり、いい演出だったと思います。
 ただ、大団円は主人公が担当医とダンスを踊ろうとして力尽きて終わる方がより多くの涙を誘ったのではないかなと思いました(事実、あの場面でウルウルでした)。
 Janis IanのWill You Dance?。久しぶりに聞いてプチ感動。「岸辺のアルバム」の主題歌としても使われていましたよね。歌詞の意味はよくわかりませんが、曲の最後で「Stop」といって終わるのがスキです。今度借りて来ます。
4.照明
 こちらもシンプルでしたね。
5.舞台美術
 役者さんが大きな動きをするたびに舞台中央の可動式台座(っていうんですか、アレ?)が左右に揺れていたのには、観ている方が不安定になってしまいました。構造上仕方ないのかもしれませんが。
6.音響
 悪くなかったと思います。
7.VTR
 MARUさんの演出では、VTRが効果的に使われていて、いつも感心します。
8.メイク
 今回は、主人公(上田あやさん)の老け顔を作るのが大変だっただろうなと思いました。
 とくに、後半では病魔に冒されて声もかすれ声になってしまったという設定で演じた上田さん。お疲れさまでした。あれって、地声をつぶしていたのでしょうか。それとも何か特殊な小道具を使っていたのでしょうか? 地声をつぶしながらの演技だとすれば、3回の公演はしんどかっただろうなと思いました。
9.衣装
 三富さんの作業着、ダボダボでしたね。(笑)

Q3.ご意見・ご感想をご自由にお書きください。
 MARUさん始め、ご出演の皆さん、お疲れさまでした。
 セクシーな演技で笑わせてくれた屋木さん、満たされない思いを演じたカトユミさん、ぽわわーんとした中村さん。そして金澤君。力の入った演技で好演(吃音も難しかったでしょう)。
 皆さん、ステキでした。
 上演時間120分。

セロ弾きのエージュン

2007-07-26 20:39:45 | 感激観劇
 昨夜は、サンピアザ劇場企画公演の2回目、劇団TPS(シアタープロジェクト札幌)の「銀河鐵道ノ夜」を観てきました。
 いうまでもなく原作は宮沢賢治。そしていうまでもなく、それがわかっていたのですからストーリーぐらいは事前にチェックしておくべきでした。(苦笑)
 帰宅後、書棚にある宮沢賢治の本を探したのですが「銀河鉄道の夜」は見あたりませんでしたので、WEB上で公開されているストーリーをあれこれ読みあさりました。
 午后の授業、活版所、家、ケンタウル祭の夜、天気輪の柱、銀河ステーション、北十字とプリオシン海岸、鳥を捕る人、ジョバンニの切符などなど。すると、一見、何の脈絡もないと思われたお芝居の場面展開が、実は原作をほぼ忠実になぞらえたものであることがわかりました。
 本を読んでいない(あるいは読んだかもしれませんが記憶に乏しい)小生がストーリーを書いても仕方ないでしょうから省略しますが、声のとおりや声の表情、長いセリフ回しをよどみなくこなしたジョバンニ役の齋藤由衣さん(劇団ひまわり)が、演劇を引き立てました。TPSのブログを読むと、齋藤由衣さんは現役の女子大生のようです。
 個人的には、前回「北緯43℃のワーニャ」で感銘した永利靖氏の演技は、今回もすばらしかったと思います。役の上では鳥取りとカンパネルラの父に扮していましたが、鳥取りは、まさに怪演でした。
 そしてそして、今回の話題といえば、元札幌交響楽団主席チェリストだった土田英順さんが出演したことでしょう(昨日の地元紙でも話題として取り上げられていました)。
 出演とはいっても、芝居のときどきでチェロを演奏を演奏して場面を盛り上げていただけですが(台詞はありませんでした)、うっとりするようないい音色でした(サンピアザ劇場で演奏するのがもったいないかも)。
 上演時間1時間45分。

長屋紳士録

2007-03-12 19:55:50 | 感激観劇
 昨夜は、両S先生とともに、サンピアザ劇場で上演された東京乾電池の長屋紳士録を観劇しました。
 250席ほどの座席はほぼ埋まり、会場では見知った顔もチラホラ。
 この演目は、昨年6月にNHK教育の芸術劇場で放送され、その時のことはこのブログでも紹介したのですが、生で見ればまた違った見方ができるかなと思いながら会場へ。
 感想は・・・。
 うーん、やっぱり拍子抜け感。(笑)
 柄本明の存在感や角替和枝の表現力にはそれなりに感じ入るものはありましたが、暗転の多用とストーリー展開のぎくしゃく感が、観ている側からすれば何ともいただけない感じ。どうせならストーリー無視でもっとドタバタした内容の方が「らしさ」が出たのではないかと思いました(もっとも、昔の東京乾電池とは違うことを強調したかったのかもしれませんが)。
 今回の東京乾電池の公演は「サンピアザ劇場で芝居を観る会」の最初の芝居。今後地元劇団による3本の公演が予定されています。その幕開け公演だっただけに、ちょっと惜しい感じです。

劇団32口径公演

2006-08-28 08:18:58 | 感激観劇
 昨日、FM新さっぽろの丸さんが主宰している劇団32口径の公演「SENTENCE 片言でしか、愛を伝えられない男たちへ。」を観てきました。
 場所は中島公園近くのシアターZOO
 中島公園に到着したとき、ちょうど北海道マラソンのゴール時間帯で、男子上位2名の優勝争いを見て会場へ。
 シアターZOOは、定員90名の小屋ながら、開始時には立錐の余地もないほどの入り(定員を超えていたかも)。
 会場でアンケート用紙を配布されたのですが、あいにくペンを持って行かなかったので、ここでアンケートに答えることにします。
Q1.あなたはこの公演をどのようにお知りになりましたか?
 FM新さっぽろで。(笑)
Q2.印象に残ったものはなんですか? それぞれの感想をお書きください。
1.役者
 男優5人それぞれが個性的。とくにいつもミキシングでお世話になっている吉田さんが秀逸。はまり役でした。「線路は続くよどこまでも」が耳から離れない。
 高井ヒロシさんも独特の雰囲気を持っていて、役者だなぁと思いました。
2.脚本
 途中から結末が読めましたので、泣いてはいけないと思いつつ、やっぱり最後はホロッとしてしまいました。
 カウンセリングマニュアルのシチュエーションやセリフが、劇中の別の場面で使われていて、リフレインのおもしろさに感心しました。
3.演出
 暗転を多用してテンポのいい流れでした。
 また、劇中、場面にピッタリあったBGMの使い方も気に入りました。
4.照明
 照明の使い方はうまいなぁと思いました。とくに、スモークをたいてそれをライトで照らすというやり方にプチ感動。
5.舞台美術
 セットらしいセットがないシンプルな舞台でしたが、それが想像力を生みました。
6.音響
 クリアな心地よい音でした。
7.VTR
 オープニングとエンディングでVTRを使ったのは面白い試みだと思いました。
8.メイク
 舞台と客席が近いので、デフォルメしたメイクでは興ざめですが、ほどよい感じで自然でした。
9.衣装
 吉田さんのワイシャツ姿が印象的でした。
Q3.「センテンス」についてのご意見ご感想がありましたら、ご自由にお書きください。
 事前にチケットを購入したとき、丸さんに「観劇後、辛口劇評をします。」といいましたが、辛口にはなりません。FM新さっぽろでお会いしている方々が、まったく別の「顔」を持っていることに、ただただ感動しました。
 ストーリーも「うん、こういう発想をする方だよね。」と普段着の丸さんの発想をそのまま出していると思いました。
 また、全体のつくりが、演劇というより映画かテレビドラマといった印象を持ちました。光と音、映像の使い方がそのような印象を与えてくれたのかも知れません。
 ただ、いまだにタイトルがなぜSENTENCEなのか、わかりません。文・宣告・楽節・・・。うーん、わからん。(笑)
 上演時間1時間40分。 

北緯43°のワーニャ

2006-08-26 10:10:48 | 感激観劇
 昨夜は、サンピアザ劇場で行われた札幌の劇団TPS「北緯43°のワーニャ」を観劇した。
 演劇を見るのは何年ぶりだろうか。もしかすると10年単位で見ていなかったかもしれない。
 会場となったサンピアザ劇場は、もともと映画館だったが、閉館後、演劇ができる施設として再利用したもの。客席は250程度で、ちょっとした「小屋」。イスが固いのが難点。
 この劇のタイトル「北緯43°のワーニャ」は、チェーホフの「ワーニャ伯父さん」が原作。原作にどこまで忠実なのかは不明ながら、札幌風(北緯43°)ワーニャ伯父さんといった味付けだろう。
 この劇は田舎で暮らす人々の心の動き(葛藤・そねみ・虚脱感・絶望感)が、長セリフで淡々と語られる。終始緊張感。チェーホフを読んだことがない小生にとって、何とも言い難いストーリー展開だった。もともとストーリーがわかりやすいもの、ドタバタものを好んで観劇していた小生、途中、退屈な場面があったことも事実。
 とはいえ、ワーニャ伯父さん役の永利靖は好演。その張りのある声(竹中直人を彷彿とさせる)、豊かな表情には魅了された。
 また、今回の公演には、文学座から2名の役者が参加していた。そのうちの一人は山崎美貴
『山崎美貴?』
 そう、知る人ぞ知るオールナイターズで、おかわりシスターズの一人だった、あの山崎美貴だった。いい女優さんになった。
 会場には、厚別区長の姿も見られた。客の入りは7~8割程度。
 上演時間2時間30分。

東京乾電池

2006-06-17 04:51:35 | 感激観劇
 東京乾電池をご存じでしょうか。劇団です。この名前は知らなくても、柄本明やベンガル、高田純次は知ってるでしょう。少しでもこの劇団を知っている方ならば、綾田俊樹、角替和枝、松金よね子などの名前が思い浮かびますよね。
 奇っ怪な名前を持つこの劇団、小生にとっては学生時代を思い出させる劇団です。
 演劇青年でもなかったのですが、バブリーな時代。世間で話題になっている演劇やコンサートなどに何度か行きました。その時に観た劇団の一つが東京乾電池でした。演目は忘れてしまいましたが、今はなき渋谷ジァン・ジァンや下北沢の本多劇場などに行った記憶があります。
 先日、NHK教育『芸術劇場』で、東京乾電池の下北沢ザ・スズナリでの公演が放映されました。今年は東京乾電池結成30周年だそうです。
 演目は小津安二郎(名前だけしか知りませんが)脚本の「長屋紳士録」。
 もともとは映画だったようで、それを演劇でやろうという趣向のようです。当然、カット割りが細かく暗転が多用されます。演出は柄本明で、『実験してるな』と思いつつ観ました。
 小生が観た時代は、舞台でハチャメチャをやる内容(ストーリーなど無視)でしたが、さすがに30年もやってると、演劇人として飽きてきたのでしょうか、シュールな笑い(と表現していいのかわかりせんが)を取る作品になっていました。
 以前の印象が強く残っていた小生には拍子抜けの感じがしましたが、青春時代を懐かしみながら観劇しました。