O's Note

いつまで続くか、この駄文

寄付を考える

2008-05-08 23:10:00 | NPOな日々
 今夜はおにぎり会議でした。

 NPOの活動は、収入源をどのように確保するのかに強く左右される傾向があります。おもな収入源は会費収入、寄付金収入、補助金収入、事業収入です。理想的には、会費や寄付が安定的に、そしてそれなりの額が調達できれば、活動はラクになりますが、そんなに簡単に集められるものではありません。
 会費を納める側・寄付する側から見れば、何に使われるかもわからないところに、たとえ1円でも会費を納めたり寄付したりできるか、ということでもあるでしょう。この点を解決する一つの方法は、事業内容や決算内容を、会員や寄付をしてくれた人々に定期的に報告し活動を知ってもらう努力をすることです。

 さて、この連休中に読んだ本は、そんなNPO・NGOにまつわる内容に関する本でした。

 筑波君枝『こんな募金箱に寄付してはいけない』(青春新書、2008年4月)

 この本は、ボランティア活動に関わってきた筆者が見聞きした内容を中心にしてまとめられたもので、特徴的な事例が紹介され、NPO・NGO側とそこに関わる(関わろうとする)側の意識の差を描いており、全体の基調はボランティア活動に置かれています。
 そうした中にあって、タイトルと同じような内容が書かれているのは「こんな募金箱にお金を入れてはいけない!?」[pp.61-63]という部分です。
 著者は、募金、とりわけ街頭募金をする前に、相手の素性を調べてみるべきであるといいます。これはしごく当然の発想で、改めて主張するほどのものではありません。とはいえ、逆の見方をすれば、お金を募る側は自分たちの活動を絶えず見える状態にしておく必要があるということでもあります。

 数年前、あるNPO関係者と、日本ではどうして寄付が集まらないのだろうかと議論したことがあります。小生は「そもそも日本には寄付文化なるものがないから」といいましたが、その関係者は「決して寄付文化がないわけではない。現に緑の羽根、赤い羽根などの募金活動にお金を出しているし、24時間テレビなどでは、行列を作って募金を待っているじゃないか」と反論されました。緑の羽根は緑化運動の一環ですし、赤い羽根は地域福祉運動の一環です。24時間テレビもまた福祉活動目的で募金活動を行っています。こうした募金活動には億を超える募金が集まっていますので、決して寄付文化がないといい切れないというわけです。「なるほど、日本に寄付文化がないといい切れないとすれば、ではなぜ、NPOやNGOには募金する人が少ないのか。」といい返すと、先方も言葉に詰まってしまいました。
 考えてみれば、緑の羽根も赤い羽根も「羽根」という「見返り」があります。24時間テレビのチャリティはさすがに直接的な見返りはないまでも「(福祉車両を贈るために)いいことをした」という心の見返りがあります。前者はその募金がどう使われるか知らなくても、羽根をもらうことで、気分的に「いいことをした」と満足感が得られるでしょうし、24時間テレビのチャリティは、番組内で使い道が放映されることでこれまた満足感を得られるでしょう。
 つまりは、日本の寄付行動は、活動に共感を覚えるということよりは、直接的・間接的な「見返り」があるかどうかということを判断基準にした慣習なのではないかと思います。
 NPOやNGOに対して寄付をしても、基本的には何の見返りもありません。どんな活動をしているのかの情報を得ても、それが自分のためにどのような効果をもたらすのか(どんな「いいこと」がもたらされるか)が、必ずしも明らかではありません。そんな状態でお金を出すことにためらいがあるのは当然なのかもしれません。

 寄付者に何の見返りもないながら、最低でも「何か胡散臭い活動をしている団体」と思われないために、まずはNPOやNGOは、事業報告や決算報告をすることが大切であり、そうしたことが自然に意識できるようになれば、日本の寄付文化も変わるような気がします。

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1 コメント

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主催団体の認知度ですか (小樽の寅吉)
2008-05-09 15:22:11
例えば赤い羽根は,日本赤十字という一般の認知度があることにより寄付が行われるのではないでしょうか。したがって,見返りの有無ではなく,当該団体が一般に認知されているかどうかが,最大の鍵のような気がします。NPOやMGOなども,積極的なPR活動と情報開示が必要なのでしょうね。
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