O's Note

いつまで続くか、この駄文

ポイントカード(3)

2008-07-02 06:20:00 | 仕事(第1業務編)
 ポイントカードに関する素朴が疑問が、やがては会計の問題として考えるようになる。これって不思議です。素朴な疑問であったときは趣味の範囲を超えませんでしたが、会計の問題になったとたん、趣味から教育研究上の課題に変わっています。

 さて、話はまだ続きます。
 昨年、ゼミ生の一人がポイント引当金についてゼミ論を書きました。
 今まで述べたような会計上の取り扱いを解説するというのであれば、いくつかの論文を参照すれば事足りるわけですが、論文執筆のきっかけは、2007年7月に日経に掲載された記事でした。
 それは、IFRIC(国際財務報告解釈指針委員会:IASBの関連団体)が「IFRIC 13 Customer Loyalty Programmes」を公表したという記事でした。IASBといえばコンバージェンス、コンバージェンスといえば国際会計、国際会計といえばM先生、という連想が成り立ちますが(笑)、このカスタマー・ロイヤリティ・プログラムなるものが日本でいうポイント制を包含するもので(その他にはマイレージプログラムも含まれます)、もしコンバージェンスがはかられれば日本の会計処理の変更を求めるものであるという記事でした。
 
 このIFRICの考え方を一言でいえば、ポイント付与を伴う販売においては、売上高のうちポイント付与部分は、当期の収益としないで、ポイントが使われた時点で売上とするというものです(かなり大雑把ですが)。
 IFRICのQ&A「IFRIC13号は我々に何を要求するのですか?」という問いでは、次のように解説しています。

 たとえば、もしあなたが100ドルの食料品を販売し、1ドルに付き0.01ドルのポイントを付与するポイント制を採用している場合、今販売した食料品のうち99ドルと、ポイント部分1ドルを分けてください。結果として、99ドルが当期の売上高として記帳され、1ドル部分はお客さんがポイントと引き換えに来て、商品を「タダで」引き渡すまで(負債として)保留されることになります。

 現在の日本のポイント制の実務では、売上高は販売額をそのままに計上し、ポイント部分は別途管理するという慣習ですが、それが、IFRICの解釈指針を適用すれば、自ずと変更を余儀なくされるわけです。
 ポイント付与部分を収益から控除するという慣習がどこの国で採用されているかはわかりませんが、少なくても日本の実務とは違う制度が持ち込まれるわけですので、各会社の対応が見逃せません(コンバージェンスは2011年だったかな)。
 そしてもしこの制度が持ち込まれた場合、引当金のみならず、ポイント引当金に関わる税効果会計にも影響を及ぼすことになりますので、この点でもどう変わるのか興味津々です。
 
 そもそもは、ヨドバシカメラが始めたといわれる磁気カードによる日本のポイント制販売促進策。
 そして個人的趣味から始まったポイント制への感心。
 会計の話題というのは、いたるところにころがっているものですね。それに気づくか気づかないか、興味を持つか持たないかは、まさに個人的趣味の問題ですが。

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2 コメント

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2011年までのコンバージェンス (M教員)
2008-07-02 12:52:26
ご指名がありました(?)ので,IFRS(国際財務報告基準)とのコンバージェンスにのみ言及します。日本の企業会計基準委員会(ASBJ)より示されている「2011年までのコンバージェンスに関する工程表」のなかには,取り上げられている事項は含まれていません。ASBJがこのことに取り組むとしても,少し後のことになるでしょう。
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Unknown (814)
2008-07-02 22:57:27
ご教示いただきありがとうございました。
ということは、カスタマー・ロイヤリティ・プログラムのコンバージェンスには、しばらく時間的余裕があるということですね。
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