家を新築して引っ越して来てまもないころ、
A夫人が外で誰かに「ここの奥さんほど幸せな人はいない!」と大声で言うのを聞いて
腰を抜かすほど驚いたことがあった。
こちらの家庭の事情など全く知りも
しないのに何言ってんだョと。
まぁ世の中そんなものだから勝手に
言わせておけばいいだけの事だけど、わたしはよっぽどオメデタイ
顔つきで歩いているのかと。
資金繰りでにっちもさっちも
行かない時でも、銀行に向かうときは平気な顔して入って行かなきゃ
お金貸してくんないから、無理矢理
ニタニタした表情を作る習性が
身についたのかも知れない。
電話にだって明るい声ででなきゃ
仕事にならないしね。
今は無職だし別に構えてないんだけど、今度は
「(車があって)運転できるからいいね」
「ご主人がいるからいいね」
「犬がいていいね」
などと友人・知人からしょちゅう
言われて苦笑いするしかない。
相手も別に軽く言っているわけだが、高齢者になると何度も何度も同じ事を言ってくるので、けっこう
重くなるわけで。
逆に「子供もいないし、ひとりになったらどうするの?」とか言って欲しい(わけでもないけど)
てか、今だけ見て、あーだ、こーだと勝手に軽く言われてもね。
自分達だって結婚生活もあり、犬猫を飼っていた時代があったはず。
わたしはそのころボッチであくせく
働いていたんだョ。
結婚後だって波瀾万丈、人並みの
苦労はしたつもり。
こんなのほほんとした(今のところは)老後になるとは夢にも思わなかった。
なのでその点すんごく有難いと思っているから、側から見たらシヤワセ
そーに見えるのか?
でも無いもの有るものを比べて
勝手に言われても愉快じゃない。
わたしだって無いものだらけだ。
ただ、自分の不運・不幸を他者の
せいにすると余計に救われなくなるということを、短くない人生を
経てきて漠然と解ってきた気がする。