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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

元憲兵大尉・小坂慶助と『のたうつ憲兵』

2016-07-16 04:54:35 | コラムと名言

◎元憲兵大尉・小坂慶助と『のたうつ憲兵』

 先日、小坂慶助著『のたうつ憲兵』(東京ライフ社、一九五七)を入手した。数年前、どうしても、この本が読みたくて、わざわざ国会図書館まで赴き、数時間かけて読んできたことがある。その本を、偶然、見つけ出すことができて喜んだ。しかも、カバーが付いていた。国会図書館で読んだ本は、カバーがなかったと記憶する。
 本日は、同書のカバーの背表紙にあった著者紹介、および著者略歴を引用してみたい。著者紹介は無署名だが、たぶん、東京ライフ社の沼田千之という人であろう。

 妖怪、変化を物語る人といったら、勿論、ハッタリです。だが、本書の著者の小坂さんの語るところは、底抜けの驚きであるか、天井知らずの爆笑であるかします。そして、常に、迷路を辿る思いで聞かされます。
 それでは、小坂さんの話しの背景は何かということになると、一言でいえばなんでもないことで、日本の軍部の大膨張期を、東京にあって、中央の憲兵を二十年間つとめ上げた、その体験談であるというだけです。しかし当時の憲兵さんは、わたし達の知らない社会の裏の裏まで掻いくぐって、これだけのことをしたのです。
 小坂さんは文筆には素人であるといっていますが、銭形平次のガラッ八もどき人物まで拉し来たった構成力と筆力には、結構、楽しませて貰えます。
 次に、これだけの体験を持つ人は、現存の日本人では小坂さんただ一人であるということも、その物語るところの強みです。過去の追憶とのみ看過し得ない点です。

小坂慶助【こさかけいすけ】 明治33年、東京生れ。大正12年、特高勤務。甘粕事件、難波大助事件。昭和3年、三・一五、四・一六事件、三月事件、十月事件。昭和6年、五・一五事件。昭和7年、血盟団事件、神兵隊事件。昭和9年、十一月事件。昭和10年、相沢事件。昭和11年、二・二六事件。昭和14年、皇居放火未遂事件。昭和17年、中支当陽憲兵分隊長。元憲兵大尉。三年間巣鴨にて服殺。現在、会社役員。
(現住所=東京都世田ケ谷区東玉川○○○番地)

*このブログの人気記事 2016・7・16(1位に、しばらくぶりのものが入っています)

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