ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

娘よ(26)~HAPPY BIRTHDAY !~

2013-12-10 22:07:06 | 生き方

おめでとう。
おめでとう、30歳。
今日から、本当の大人だ。
20歳はまだまだ子ども。
現代では、私は、責任ある本当の大人は30歳からだ、と思っているよ。
だから、今日から本当の大人のスタートだ。

…本当は、そんな話を、あなたにしたかった。

2か月前、あなたは、医師(せんせい)に言っていたね。
“先生、わたし、誕生日までに退院できるかなあ。”
“そうだね。今の調子ならできるかもしれないね。”
そんな言葉に、希望をもって笑っていたあなただったのに。
今は、そう言ったことも覚えていない。

再び、いや何度目になるのだろう、深い混沌の中にいる。
混沌の中であがき続けるあなたの脳は、夕べ、あなたをすっかり疲れさせてしまっていたね。
“つかれた…。”
珍しくそう言って、食事用のテーブルに顔を伏せたあなただった。

“ごめんなさい”
この言葉を、あなたは、この頃よくあちこちに書きつけている。
自分の意識が平常に保てなくても、今の自分について、たくさんの人に謝りを入れているあなた。
謝ることはない。
一番つらいのは、あなたのはずだから。
どうしようもない状況に、困り切っているのは、私たちではなく、本当はあなたなのに。

まさか、輝かしい30歳をこんなふうにベッドで迎えるなんて。
たくさんの人から祝ってほしいのに、こうして家族しか会えない集中治療室で誕生日を迎えるなんて。
こんな誕生日を迎えるなんて、あなた自身全く思ってもみなかったことだろう。

“誕生日だから、何か食べたいものある?何食べたい?”
そう聞いた母に、
“コーヒーゼリー。”
と答えたのだってね。
もうそれを言ったことも忘れてしまっているけれど、訳を聞いてみたら、
“あまり高い金を使わせたくないから。”だって。
遠慮することはないのに、こんな状態でも気を使ってくれるなんて。
あなた本来の優しさが出ていることに、笑い泣きするよ。


今したことの記憶もよく残らないのに、生年月日はもちろん、自分が生まれた時間も、午後8時25分、としっかり言えるあなた。
30年前のその日、産院から帰宅途中に公衆電話で、誕生をあなたの祖父や祖母に伝え、“嫁にやりたくない”と言った私。
その話を、あなたの祖母は、何度も笑ってしていたっけ…。
あれから、30年。
生まれてベッドにいたあなたは、なぜか30年たった今、再びベッドの上で誕生日を迎えている…。
あんなに健康に、あんなに明るく育ってきたのにね…。

さて、30代の新しいスタートだ。
ゼロからのスタート、というより、状況を考えれば、ゼロ以下の、マイナスからのスタートかもしれないね。

でも、大丈夫だよ。
みんな、あなたのことを応援している。
あなたは、病と闘って懸命に生きている。
私たち家族も、あなたの存在を励みにして、あなたと一緒に闘っている。
あなたを知っている人たちも、みな、快復を願っている。
明日を信じて、生きていこうね。
ゆっくりでもいい、一歩ずつ、一歩ずつ。


はっぴい、ばあすでい、まい どーたー。

HAPPY BIRTHDAY TO YOU !

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