癒し系獣医師の動物病院開業日誌

アニマルセラピー団体で活動している癒し系獣医師。農業団体職員から脱サラし、動物病院を開業しています!

関節炎

2012年01月07日 | 動物医療
前にも書かせていただきましたが、年齢に関係なく犬の「関節炎」はよくある疾患です。
ましてや、高齢になると「老化」として「仕方ない」とあきらめることも多々あるものです。

関節炎は、骨同士の接合面を保護して動きを滑らかにしている軟骨に支障が出て、関節の炎症を引き起こし、徐々に悪化していく病気です。
炎症が起こると関節の動きが滑らかでなくなり、慢性的な痛みを引き起こし、所謂は行になります。

階段の昇り降り、いつもはぴょんと乗れた車の荷台に乗れなくなった、ソファアにあがれなくなった、散歩の速度が急激に落ちたことで、足腰の衰えを実感するのもです。

関節炎の進行度合いは・・・

(1)関節にかかるさまざまな刺激によって軟骨細胞が損傷し、炎症を引き起こします。

(2)軟骨細胞の損傷が更なる軟骨組織の損傷を引き起こす酵素も活性化させます。

(3)この炎症と酵素によって、軟骨組織が徐々に破壊されていきます。要するにやわら  かいクッション部分が減っていきます。

(4) 軟骨組織の破壊によって、関節の構造や機能に障害が引き起こされます。



オメガ-3脂肪酸が炎症を、またオメガ-3脂肪酸のひとつであるエイコサペンタエンン酸(EPA)が軟骨組織の損傷を引き起こす酵素の活性化を抑えるのに役立ちますが、これらが所謂処方食に含まれています。

食事管理としては・・・・
オメガ-3脂肪酸を多く含む食事を与えます。
EPA(エイコサペンタエン酸)のようなオメガ-3脂肪酸は、炎症や関節の損傷を引き起こす酵素を減少させることに役立ちます。

L-カルニチンを多く含む食事を与えましょう
L-カルニチンは筋肉組織を保ちながら、エネルギー代謝の適正化をサポートします。
これは関節用のフードに必ず含まれています。

グルコサミン、コンドロイチン硫酸を多く含む食事を与えましょう
グルコサミンやコンドロイチン硫酸は軟骨の健康維持に役立ちますので、「気休め」と思わないでチャレンジしてみましょう。

抗酸化成分が強化されたフードを与えましょう。
ビタミンE、ビタミンC、ベータカロテンは健康維持をサポートします。
まあ、補助ですね。

年齢とともに、中医的には「腎」が虚すると言われます。
要は生きるための精がなくなってくるのです。
鍼灸でこれを補うことで効果がある場合もあるのです。
ですが、その手技は容易ではないようです・・・・・