日本男道記

ある日本男子の生き様

青嵐

2023年03月11日 | 読書日記
 
【 内容】
時代小説、現代小説の枠を越え、昭和の文芸に不滅の業績を残した山本周五郎。
短編の名手と評された周五郎の作品から、まったく新たな視点で編纂した傑作選。
第1巻は、武士を主人公とした作品を集成した。周五郎の描く武士は、決して特殊な生を生きる人々でなく、
悩み、愛し、憎み、老い、病み、時に過ちを犯し、取り繕い、しかし懸命にその生を全うしようとする。
その姿は、文壇的栄誉を峻拒しつねに市井の読者に寄り添うことを選んだ周五郎の人生に似て、今も我々の胸を打つ。
表題作のほか「ひやめし物語」「いさましい話」「城中の霜」「枕を三度たたいた」「月の松山」「桑の木物語」を収録。カバー装画は松本大洋描きおろし。

【 著者】
山本周五郎

【読んだ理由】
山本周五郎作品

【最も印象に残った一行
「青嵐」
「おまえは異能半兵衛の名を騙った、女はそれを信じて、嫁に来たばかりのおれの妻のところへ、子供を負って泣き込んだ、おれの妻が、どんなにひどい打撃をうけたかわかるか ---妻は今日まで,おれの産ませた子供だと思って、里子にやって面倒を見てきた、するときさまはこんどは、おれの妻に不義の隠し子があるといううわさをふりまいた。・・・遠藤、おれはむかしからきさまの尻拭いをして来た、もうたくさんだ、こんどは自分で始末をしろ、わかったか」
「桑の木物語」
「二人はあまりにも近し過ぎた、幼年から殆ど側を離れず、すべてに深入りをし過ぎていた、おれが藩政をみるばあい、相当てあらな事を、やらなければならぬ、一部に不平や非難のおこることは、必至だ、おれはそのときのことを思った・・・・家臣の非難はそのまま藩主には向かない、必ず側近の者にゆく、おまえがもしおれの帷幄にいれば、おれにもっとも近しい者として、おれの寵臣として、家中の怨嗟はおまえに集まるだろう、ーーおれはそうしたくはなかった、お前をそういう立場に置きたくなかったのだ」

【コメント】
しかし、ここまで深く人の心が読めるのだろうか?相手のことを考えるのだろうか?我慢できるのだろうか?

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