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昭和から平成に元号か変わった1989年、日本がバブルの好景気に沸いていた時代、2年ごしの交際をへて広告代理店勤務の文彦と派手な結婚式をあげた永遠子。その日が人生最高の日になるはずだった。しかし、結婚式場の控え室で文彦が婚前に関係のあった女性が自殺未遂事件を起こすという波乱万丈のスタートをきった結婚生活は、バブルがはじけたことから、下降線の一途をたどる。双方の不倫、株価の暴落による破産、文彦の退職、レイプまがいのセックスによる子供美有の誕生、親の離婚・介護…。諍いと後悔にあけくれる日々から、夫婦はどう再生してゆくのか。結婚の真実を描く長編小説。
バブル崩壊、サリン事件、阪神大震災、ダイアナ后事故死、サカキバラ事件など最近の10年ほどのできごとが、背景に編みこまれており読む者の生きてきた人生も重ね合わせることができ厚みを加えてくれる。
最後の作者のあとがきに救われる思いが・・・・・・。
「ベストではなく、ベターである。ということに、心惹かれて書き始めました。最高ではないが、まあまあのパートナー。そんな相手であれば、結婚は大成功といえるかもしれません。結婚を否定するつもりも、肯定するつもりもなく、また、失望しているわけでも、過大な期待を抱いているわけでもなく、結婚というシステムについて、何だかんだ言いながらも、多くの男と女がその形態をえらんでゆく、その理由を知りたったのです。けれでも男と女は奥が深く、結婚を理解するにはまだまだ修行が必要のようです。」
私が「なるほどな」と思った文中の表現。
「つ、が付く年のうちに、子供は一生分の親孝行をする、と聞いたことがある。九つまで、あと四年。その後、どんな苦労をさせられてことがあっても、決して美有を責めないでおこうと、こんな時つくづく思う。」
「結婚はオスとメスを緩やかに去勢してゆく。」
