3104丁目の哀愁と感傷の記録

日々生きてます。自分なりに。感じた事を徒然に書きます。素直に。そんな人間の記録。
since 2008.4.4

Hawaii一人旅 ―再びオワフ島―

2010-10-25 21:56:35 | 
長きに渡って書いてきたHawaii旅行記もこの4日目は実質最終日である。
この日は完璧にノープランでオワフ島をフリーに散策する予定だった。
そして翌日の朝、すぐに日本に向けて出発することになる。


朝、目覚めは意外とよく、アラームなしで7時に起きる。
シャワーを浴び、荷物を整理し、まずは朝食を求めてホテルを出る。

ホテルはワイキキビーチから徒歩5分の所だったので、買い物には事欠かない。
最寄のABCストアでサンドイッチとパイナップルジュースを購入。

3日前に腰掛けた場所と全く同じ場所に腰を下ろし、真っ青に染まる空と、真っ白なビーチを眺めながら朝飯を食らう。

サンドイッチを食い終わると、早速行動に出た。
昨日の日記にもあるように、完全なフリーと言えど、絶対にリベンジを果たしたい場所が一ヶ所あり、ここだけはまず行こうと考えていたのだ。
そう、ダイヤモンドヘッドである。

1日目に登頂しに行こうとして道に迷い、姿は見えているのに辿り着けないという結果に終わった。飯を食いながら今度は地図を念入りに見て、バスの路線と停車位置を入念に確認する。
バスは今回の旅でお世話になりまくった19&20番線ではなく、今度は22、23、24番線のいずれかに乗り、より東の方角に移動しなくてはならない。
バス停に移動しバスを待っていると、程無くしてバスは来た。

今回のオワフ島での移動はバスで全て済ませていたため、バスの乗り方には相当慣れた。このバスに乗り込むときもいつもすんなりと野りん込み、ドライバーと挨拶をする余裕まで見せた。
そのバスには日本人の集団が乗っており、日本語の会話から、彼らもダイヤモンドヘッドへ向かっているようだった。彼らに一人で乗り込んできた俺はどのように写ったのだろう…何かちょっとした優越感があった。

この路線のバスに乗るのは初めてだったので、車窓からの景色が新鮮である。
10分そこらでダイヤモンドヘッドの登山道入り口に到着した。

ここはあくまでも入り口であってスタート地点ですらない。ここから20分ほど歩き、駐車場へと移動しなくてはならない。ここが本当のスタート地点であり、ここで料金を払い入山する。まずは駐車場へ向け足を進める。道は完全な一本道である。サルでも迷いようが無い。景色のよい登山道を歩き、洞窟を潜ると、一気に視界が開ける。

駐車場に到着、$1を払い、パンフレットと入場券を貰う。俺はこういうとき必ず見栄を張って英語版のパンフレットを貰ってしまう。



いよいよ登山開始である。テンションはマックスに。

火山と言えど、最初のほうは本当に日本でもありそうな両脇を木々で囲まれた山道だった。気持ちよく暫く一人のハイキングを楽しむ。
つい最近、標高3700mの日本最高峰を制したばかりだったこともあり、無駄に自信があり、ダイヤモンドヘッドを少々なめていた。
別に全く以ってきつかった訳ではないが、何せ30分程度でいけるハイキングコースとして完全に俺の敵じゃねえなという考えがあったため、その予想に対しては、帰りはちょっと疲れた。

グネグネと登山道を一人で黙々と登る。
上に行けば行くほど、景色は岩と崖だけになってくる様子がとてもよい。
ガイドブックには30分程度で登れるとあったが、これは初日に行かないで本当によかった。ゆっくり楽しみながら登ったら1時間じゃ絶対に帰ってこれない。
登山道を外れると、いくつかルックアウト(ビューポイント)があった。他の観光客は正規のルートで登ってしまい、わざわざ道を外れてくる人がいないのか、ほとんど人がいなかった。こんな時こそセルフタイマーの出番である。



そろそろ頂上かなというとき、最後の最後にとてつもなく急勾配の階段が聳えていた。流石にこれには富士山で鍛えた足腰もちょっと堪えた。

トンネルを抜け、螺旋階段を登りようやく頂上へ。
そこには「ダイヤモンドヘッド登頂証明書」が発売されていた。値段を確認すると$2。
最終日だし、いまさら記念品に$2けちったってしかたあるまいと思い、ミーハー精神丸出しで購入。サイン欄には漢字で名前を綴った。

頂上の展望台で暫く景色を眺めた。
西側に見えるワイキキの眺望も素晴らしかったが、それよりも頂上からダイヤモンドヘッドのクレーター内部が見れたことに感動した。



帰りも全く同じ道を辿る。流石にここではi-Podという最終兵器に頼った。

駐車場に戻り、のどが渇いたところに自販機が見えた。意気揚々とコインを投入するも故障していたらしく商品が購入できないばかりかコインも返却されず…
ぬるくなったパインジュースを飲み干す。

来た道をひたすら戻り、バス停に到着。
ここで一つの迷いが。

地図を見てみると、ダイヤモンドヘッドのバス停からワイキキまでは2~3キロといったところだ。十分歩ける距離である。
バスを待つとなると、長いときには30分以上待たされることもある。たとえ途中で追い抜かれたとしても別段そんなに急ぐ旅でもない。
そう意を決してとりあえずワイキキまで歩いて戻ることに決める。


そこには俺が正に求めていた景色があった。
ワイキキのようなビルが立ち並ぶ道ではない。
住宅街と微かに観光地の交じり合ったような風情。
観光地と言っても都会過ぎない。生活観を存分に残したような町並み。

俺が思い描き、歩いてみたいと思った道がここにあった。
この30分の散歩は意外な収穫となった。
俺はこんな道をほっつき歩きたかったのだ。

ワイキキに戻ると、本日どうしてもやりたかったことの二つめを実行に移す。
Hawaiiの道を、街を、ほっつき歩くことだ。
先ほどの道で十分満足していたのだが、折角オワフ島にいるのだから、かの有名なワイキキビーチ沿いカラカウア通りを端から端まで散策してみようと言う気になった。

カラカウア通りを端から端まで、更に2キロほど歩く。

今回の旅のコンセプトと照らし合わせるとかなり場違いであった。
そもそも俺みたいな格好をしている人はほとんどいなかった。

ワイキキビーチがすぐ隣にあるうちは水着でうろうろしている人が多く、それを過ぎるとあのブランドストリートになってくる。
俺は今回の旅でブランド物を買おうなんて夢のような考えを一切持ち合わせていなかったので、全く以って興味が無かった。
しかも両手に幾つものブランド名がこれ見よがしにかかれたバックを持っている方々は必ず日本語を話していた。
やはり、彼女らのHawaiiの楽しみ方と今回の俺の旅行は違いすぎるなと思う。

別に向こうも一人ででかいバックパックかついで、交通費を切り詰めてバスと徒歩だけでうろつき回っているやつなんて理解の範疇外だとは思うしな。

同じ日本人だがHawaiiの話しで盛り上がれる気はしない。

そんなことを考えているうちに気が付いたら端まで来ていた。端まで来た目的の一つには郵便局に行ってポストカードを出そうということがあった。カウアイ島とこおオワフ島と両方から出してみたかったのである。結果論でいうとカウアイ島で出したやつはオワフに戻されたから処理されたみたいだけど。


そしてその近くにラーメン屋があった。

そして何故かそこで昼飯を食った。海外で別にラーメンを食べることはなんじゃないかという思いと、いや、海外で出しているラーメンがどれくらいのレベルなのか非常に興味があるという思いが交錯し、後者が勝って入ったのである。

そして醤油ラーメンを注文したのだが、これがまた美味かった。
日本の本場のものには勝てないとは思うが、全く不味いなんてものではなく、普通に美味しかった。もしかしたらたった5日間と言えど、どこかで日本の醤油的な味に飢えていたのかもしれない。

隣では白人の夫婦がぎこちなく箸を使って麺を啜っているのがとても微笑ましい。

チップがインクルーデッドだったのが少し残念であった。おそらくチップが理解できない日本人客が多くてこういう処置をしたのだろう。

その後は郵便局に行ったが、なんと休日だったので閉まっていた。

ただでは帰れないと思い、意地になってその通りを直進し、ダイヤモンドヘッドを臨むワイキキビーチというあの定番中の定番の、ポストカードとかで有名なあの景色を写真に収めに行く。


気付いたら午後を過ぎてしまった。あと6時間くらいで実質旅が終わる。
ガイドブックを見て、今日行く場所の候補が二つ。
①コンテンポラリー美術館
②モアナルアガーデン

①に関しては現代美術館というだけあり、前衛的な作品がいくつも展示されている。これはHawaiiに限らず見ておきたいところである。

そして②に関しては『地球の歩き方』にも大々的に取り上げられていない比較的マイナーな場所だが、知っている人にはかなり人気がある場所であろう。
そう、日立のCMで有名な“この~木なんの木”がある公園である。“この~木なんの木”の正式名称はモンキーポッドといい、Hawaiiではそこらじゅうに生育しているため、全く以って珍しい木ではないのだが、CMのロケ地ということで是非本物を見てみたかった。

両者に共通していることは、バスと徒歩で移動する旅行者にとって非常に行きづらい場所であるということだ。

①は何度もバスを乗り換えなくてはならないし、バス停もかなりマイナーなバス停なので運転手に予め伝えておかなければならない。
②に関してはそもそも近くにバスが通っていないため、ホノルル空港近くで途中下車し、後はひたすら入り組んだ道を歩かなければならない。

どちらにするか迷った挙句、②の“この~木なんの木”を選ぶことにした。
時間的にはまだ余裕があったが、モアナルアガーデンがどれほどの時間がかかるのか全くの未知だった為、おそらくコンテンポラリー美術館はまた今度にお預けとなるだろうなとは思っていた。

決めたら即バス停に向かう。もう何度お世話になったことか分からない19&20番線に乗り、ホノルル空港方面に向かう。途中までは呑気に寝たりしていたが、今回は下車するポイントは空港ではないため、少々緊張した。地図を見ながらひたすらバスが現在どこを走っているのか追い続ける。

ホノルル空港の少し手前で下車する。観光客ならば絶対に使わないであろうバス停で降りる。当然そこで降りたのは俺だけだ。

ここからはひたすら徒歩で向かう。地図で見ても遠そうだったので覚悟はしていたが、実際に歩くと本当に疲れた。どれくら歩いたのだろう…
ワイキキとは全く違い、歩いている人間は俺一人しかいなかった。車の交通量は多く比較的大きな通りなのだが、何せ観光的要素が皆無なため、本当に俺しか歩いている人がいないという状況。

しかも大変だったのは、途中で道が高速道路に入り組み、自分がどっちに向かっているのかがまったく分からなくなってしまったことだ。しかも道に歩道が無くなる。当然、高速のインターに徒歩で進入していくなんて自殺行為はできるはずもない。

そんな一杯一杯の時に、路上におかしな奴がいた。
ひと目で何かやばいと直感した。

一人で路上に座ったり寝転がったり、コンクリートの破片を投げたり、電柱を蹴ったりしながら大声で何か叫んでいた。そんな奴に出くわしてしまったのだ。

俺を見つけると、俺に向かって何か大声で叫びながら近づいてきた。単語はYouしか聞き取ることは出来なかったが、これはやばいと瞬時に察し、だが走って逃げたりするのも逆に気を逆撫でしそうな雰囲気だったので、冷静を装って目を合わせずにさり気なく離れた。背中では来るな、来るなとひたすら祈っていた。

向こうはガタイのいい黒人だ。ケンカして普通に勝てる相手でもないし、何かいっちゃっている。何されるか分かったもんじゃない。下手したら怪我じゃ済まない。
この時ばかりは少々一人旅の恐怖を覚えた。
マイナーな場所を一人でほっつき歩くときには、時にはこのような危険に遭遇することもあるということを学んだ。

なんとか少し距離が空き、追ってこないだろうと判断したときには自分がどこに向かえばよいのか全く分からない。


地図と勘だけを頼りに迷いまくった挙句、気付いたらそれっぽい公園に侵入していた。そこには地元の人だと思われる人たちが大勢で野球をしていた。よかった人がいて。人がいるとこんなに安心するんだな。

そして終に、“この~木なんの木”を発見した。

ここの公園には“この~木なんの木”と全く同じ木がいくつも生えているため、どれが本物なのか少し迷ったが、数名の観光客がいて一本の木のまえで写真を撮っていたので、ああ、これだなと判断する。確かにそれが一番大きかった。

これを見るために一体どれほどの犠牲を払ってきたんだろう…
この木を見つめながらもう何もしたくない、ゆっくりしたいという気持ちで一杯になっていた。

この時丁度小雨がぱらついており、写真を撮っても暗くなってしまい、まったくらしさがでない。ここまで苦労してきたのに、こんな雲空の雰囲気なんてあんまりだ。

だが、Hawaiiの天気は非常に気まぐれである。雨が降っても30分後には快晴なんてことも珍しくない。雲の動きが非常に早く、その雲の上にはさんさんとした太陽が照っているのだ。

俺は待った。たった10分でもいい。晴れてくれ。
1時間くらいひたすら待つ。

ようやく、一瞬だが雲が途切れ、雨が止み、太陽が顔を出した。
この一瞬を逃すまいと急いで写真を撮る。



何とか晴れた空の下の“この~木なんの木”ちう雰囲気を収めることが出来た。
この時点でコンテンポラリーに行くなんて大層なことはとっくに無くなっていたのは言うまでもない。

何とか目的を果たすことができ、いよいよ来た道を引き返していかなければならない。
先ほどの変人はまだその辺をふらついているのであろうか…
そして道に迷ったので、そう帰ったらいいのか不明瞭だ…

帰路も散々迷い、気付いたら住宅街に侵入していた。
地域の人だと思われる車に乗った人々の不審感極まりない視線がとても印象的だった。

30分以上迷った末、何とか見覚えのある道にたどり着き、ひたすら歩く。
変人もいないようである。

ひたすら歩き続け、バス停近くのウェンディーズに立ち寄る。ワイキキから何も飲んでいなかったため、渇きで死にそうだった。
ドクターペッパーのラージを注文したつもりなのに、何故かチョコレートシェイクのラージが出てきてしまった。全くのどを潤した感が無い…どこをどう間違ったのだろうか…

既に棒になった足を引き擦って何とかバス停にたどり着いた。

ここでまたひたすらバスを待つ。
この時は心細かった。
バスを待っている人は俺一人。周りには何も無い。
通り自体はとても大きいのだが、バス停は非常に小さい。

40分ほどガイドブックを眺めながら待ち、ようやく19番線が見えた。
嬉しさの余り、ヒッチハイクをするかのごとく手を挙げてしまった。

帰りのバスは爆睡と思いきや、何回も乗ったワイキキ行きバスもこれで乗り納めだろうと思うと少し寂しくなり、ずっと音楽を聴きながら何度も見た景色を眺めていた。

ホテルに到着し、少し休もうと思い、ベッドに横になり何の気なしにテレビをつけた。
そこにはDiscoveryがBroadcastしている「Life」というProgramが放送されていた。
そしてこの番組がこの上なく面白く、気付いたら2時間も見入ってしまった。これには当の本人も驚いた。しかしいいリスニングの勉強になった気がする。動物に関する知識も増えた。

その後買い物に出かける。近くのお土産やでお土産数点と切手を購入する。この時買ったドクターペッパーほど美味いものはなかった。ポストカードに切手を張り、ホテルのフロントに託す。

いよいよHawaii最後のディナーである。
先日の日記の通り、最後はレストランのちょっと豪華なディナーを楽しもうと決めていたのだ。レストランに入り、食べようと決めていたエビを注文する。
この時は一人で旅をやりきった達成感からか、またカウアイゴールドを注文した。
Hawaii最後のディナーとビールを存分に楽しむ。

もうHawaii一人旅は9割以上が終了した。
最後の最後、夜のカラカウア通りをふらつく。何を買うでもなくふらつく。
ネオンがきらめく通りがとても綺麗だった。

その後、真っ暗なワイキキビーチへ。
夜の海は本当に波の音しか聞こえず、静かな雰囲気である。
光も無く、正面には漆黒の闇。そしてその闇がまた月をよりくっきりと映し出す。

よし、これでもう思い残すことは何も無い。


ホテルに戻り、荷物を全てバックパックに詰め込む。
明日は10時初のフライトで日本へ戻るので、朝飯も考慮して空港には8時半には空港にいたいところだ。そしてバスの移動時間が1時間30分。待ち時間も計算すると…

およそ明日は6時起きである。ことのほか早かった。

荷物をまとめ終わり、アラームをセットしてベットに潜り込む。
すぐに寝るつもりだったが、寝る直前まで「Life」を見ていた。