10月21日 久しぶりに秋の好天が続いたので、栃木県大田原市の雲巖寺へ出かけた。水戸から約90㎞、車で2時間10分ほどかかった。
ここ4~5年、暇を見つけて出かけていた西国巡礼が今年はコロナで中断している。昨年末で29寺まで終わり、あと4寺を残すだけとなっていたが、今年はじっとしているだけだった。ストレスが溜まっていたので、車で日帰りのできるお寺と考え、以前から行きたいと思っていた雲巖寺へ出かけた。
紅葉には少し早い時期だったが、木々に囲まれた山奥の静かなお寺だった。開山は鎌倉時代1283年、開祖は仏国弘済国師で臨済宗の禅寺。戦国時代末期、秀吉は小田原攻めの時に秀吉に従わなかった那須家の烏山城を攻め、この際に民衆が逃げ込んだ雲巖寺も焼き払った。焼け残ったのが山門で、その後江戸時代に再建されたが、たびたびの火災にあいながら再建されたとあった。戦後古道場を改築し、座禅堂などが再建されて本格的な修行場となった。
雲巖寺のあるこの地域は以前くろばね(黒羽町)と呼ばれており、西側を流れる那珂川で水戸と深いつながりがあった。江戸から明治にかけて水運を利用して農産物などの物資を運んでいた。今でも水戸の市営駐車場で日曜日の朝(月に1回か)にくろばね市と言って朝市が開かれている(今年はコロナで未開催)。
また、このお寺には奥の細道へ向かう途中の松尾芭蕉が立ち寄ったことでも知られている。寺の境内には寺に立ち寄った時に詠んだ俳句の碑が建っていた。
「啄木鳥も庵はやぶらず夏木立」(松尾芭蕉の句)
せっかくお寺にお参りしたので、御朱印をと思い本殿の傍の建物に入った。人はおらず、玄関には山主(住職)の書いた開山の僧侶・仏国弘済国師の句とともに朱印の押された紙片が置かれていた。1枚(300円)の代金を置いて、勝手に取って持ち帰った。
「洞中の山色四時好し 雲外の渓聲一様に寒まじ(すさまじ)」と解説があった。
山門の手前を流れる小川のほとりにある楓の木では、ヤマガラが飛んできていて木の葉についている虫を探していた。人を恐れていない様子ですぐ近くにきていた。