『日本とオーストラリアの経済連携協定交渉(EPA)について』
4/1 NHKラジオ 山下一仁さんのお話の要約です。
山下さんのご専門のEPAのお話で、
いつも通り、確信に満ちた話振りで、首相への強い提言にまで及んだ。
円安の今は、牛肉の38.5%の関税を撤廃する好機である。
農家をいつまでも甘やかしていたら、
日本の自動車産業が、オーストラリアの市場を韓国に奪われてしまう。
言い出しっぺの安部首相が英断で、このEPAを仕上げないといけない。
NHKの朝早い放送だから、こういうことを言っても話題性はない。
もし、ツイッターで喋っていたら、たちまち炎上だろう。
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日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)の交渉は
2007年の第一次安倍内閣の時に始まった。
それから7年経過するが交渉はまだまとまっていない。
この交渉を妨げているのは、日本の農産物の貿易自由化問題である。
米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖、等の農林水産物の重要品目を、
経済連携協定の除外または再協議の対象となるように、ごり押ししていることにある。
オーストラリアとの経済連携協定交渉の中で、特に大きな問題となっているのは、
日本がオーストラリアから輸入している牛肉にかけている38.5%の関税を、
どこまで削減するかということである。
本来、経済連携協定では、関税ゼロという完全撤廃が要求される。
しかし、オーストラリアは、牛肉についてそこまで求めていない。
つまり譲歩してくれて、半分の約20%にして欲しいと要求している。
これに対し日本は譲らず、削減するにしても僅かにして欲しいと主張している。
だから話がまとまらない。
日本の主張がおかしい。
決済価格を左右する為替レートを見てみよう。
米ドルについては、
2012年までは1ドル70円台であったが、最近は 105円くらいまで円安になっていて、
つまり、約38%円の価値が下落している。
これは牛肉の関税の 38.5%とほとんど同じである。
そうすると、
円高で外国産の牛肉の輸入価格が安かった時期に、
外国産の牛肉に十分競争できていたということであるから、
今の円安の為替レートで関税が削減されても、十分競争ができると考えられる。
仮にそれでも十分でないなら、、
農家に対しては、米国やEUが行っているように、財政から直接補償をすればよい。
高い関税をかけることだけが、日本農業の保護の手段ではない。
オーストラリアは、日本に年間牛肉を1300億円(12億ドル)輸出しているが、
逆に日本は、オーストラリアに自動車を7000億円(68億ドル)輸出している。
韓国は、オーストラリアと既に経済連携協定を結んでいて
オーストラリアに来年の一月から、自動車にかかる関税をゼロで輸出できるようになった。
日本の農業界がいつまでもかたくなな態度をとっていれば
オーストラリアの自動車市場を韓国に奪われてしまうことになりかねない。
オーストラリアの首相が今週来日する。
国会の農林水産委員会の決議にとらわれることなく、
安倍首相は、自分が始めたオーストラリアとの経済連携協定を妥結すべきである。
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