ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

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株高に沸く日本経済の現局面をどう見るか~4/12 NHKラジオ 寺島実郎さん

2013年04月12日 | ラジオ番組

株高に沸く日本経済の現局面をどう見るか
        4/12 NHKラジオ 寺島実郎さんのお話の要約です。 

最初は円安の話をしよう。
このほど日銀から3月の国内企業物価指数が発表された。
アベノミクスという言葉が聞かれるようになってから 5カ月が経過するが、
この企業物価指数を分析して、今、日本の実体経済がどう動いているか説明したい。 

企業物価指数によれば、3月までの5ケ月間で
原材料・素材は18%、中間財は2.8%、最終財は2.0%それぞれ上昇した。
このうち、原材料・素材の大きな価格上昇は、円安による輸入インフレの影響である。
そして、中間財や最終財には価格転嫁がされていない、という状況が窺える。 

つまり、原材料・素材等で川上のほうは、再びインフレであるが、
川下の方は、デフレ脱却の動きが少ない、
ということである。 

今後、川上のインフレ加速が、日本経済に与えるインパクトは、
次第にボデーに効いてくるようになると思われる。

昨年日本は、化石燃料を24.1兆円、食料を5.9兆円、それぞれ輸入している。
為替が昨年に比べて2割円安に振れているので、
今年は全く輸入量を増やさなくても、円安の影響で6兆円は価格が高騰する事になる。 

それで、これに見合うだけの輸出金額が伴えばよいが、さてどうだろうか? 

次には株高の話をしよう。
今の株高を引き起こし、支えているのは、主として外国人投資家である。
3月までに5.9兆円の買い越し、4月の第1週も0.35兆円の買い越しであった。
外国人投資家は、『売り抜く資本主義』であるから、
安く買って高く売り抜いて儲ける、のが目的である。

このおこぼれを得ようと提灯をつけている日本人投資家がいる。
外国人投資家が儲けを目論んでの株高に、何を日本人は考えているのだろうか?

売買による儲けだけを目指す『売り抜く資本主義』も確かに認めないといけない。
しかし、『育てる資本主義』への投資こそ、本当は健全で大切な事である。
自分が、その企業に投資して、
その企業が良い仕事をして育ち、それが産業や事業を興し、雇用を産み、
日本経済を安定的に上昇させて行く、ということである。 

ところで、企業にとっては、株高で(バランスシートで資産が増えて)業績が良くなるが、
経営者は、このような業績は評価しない。
また、経営者は、海外での業績を重要視している。
それで、株高による業績回復では、国内の労働者への利益の分配に意識が向かない。

総じて
円安で原材料が高騰してインフレが進むが、
それに対して、家計の収入が増えるまでにはギャップがある。
それは、タイムラグが生じたり、あるいは、増えないということがあるからである。 

やはり重要なことは実体経済である。
華やかに見える株高にばかり目を奪われず、産業や事業をしっかり育て、
ベンチャーとか新しい技術を育てるほうに、しっかりお金をまわし、
将来に花咲くものを作って行く、ことがこの局面では一段と重要である。


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