ジョージ・いまさきもり の アンダンテ・カンタービレ

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『阪神淡路大震災から18年、人間復興!を』~1/15 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約です。

2013年01月15日 | ラジオ番組

『阪神淡路大震災から18年、人間復興を 
         1/15 NHKラジオ 内橋克人さんのお話の要約です。

1月17日、あの日から丸18年になる。
長い時間が過ぎて、街の姿は、ほぼ完全に元に戻ったように見える。

しかし、人間の復興は、本当に成し遂げられたのだろうか。
この18年で、被災者の高齢化が進み、
それにつれて、生活が一層苦しくなって来た、という例も少なくない。

そして、被災地の新旧住民の交代も進み、
神戸市の人口の4割は震災を知らない人で占められるようになり、
震災の体験者とそうでない者との間に、微妙な温度差も生じている。

そういう状況下で、切実になっている問題を4つほど挙げておきたい。

まず第一に、孤独死が増えているといる事。
昨年1年間に、災害復興公営住宅でひっそりと61人が亡くなった。
61人の平均年齢は74歳で、65歳以上が8割を占めている。
仮設住宅が解消された2000年以降で、孤独死は780人に達している。

第二に、国や自治体から貸付を受けた災害援護資金の返済に
苦しむ人々が少なくない。
  (災害援護資金は、住宅の全・半壊者に150~350万円貸し付けられた)
この貸付期間(返済期限)は10年の約定であったが、
しかし、いまだに未返済の残高が183億円もある。
つまり、この資金を借りた人のうち、
2割以上の人が返済できない状況にあるという事である。
 (東日本大震災については、返済免除の要件を緩和している)

第三に、借り上げ復興住宅制度の期限が迫って来ている事。
 (借り上げ復興住宅制度は、 国や自治体が民間から一括借り上げて、 
 被災者に安い家賃で、20年に限って貸す制度)
あと2年でその期限が来て、
住み慣れた住居を去らなければならない人々が、多数いるという事である。

最後に、大規模開発事業の成果が、必ずしも上がっているとは言えない事である。
JR新長田駅南地区の巨大再開発事業は、深刻な営業不振にあえいでいる。
面積20haに及ぶ地域に44棟もの高層ビルを建てるという巨大事業計画で、
今なお、継続中であるが、
実際には、「ここで営業を始めても中々上手く行かない」
と、答える人々が7割以上も占めている結果が出ている。

これらを見て、『復興とは一体何なのか?』深く考えてみなければならない、
という事である。
巨大災害は、
辛うじて生き残った人々の生存の基盤をさえ、危機に立たせてしまう。

あの関東大震災も、今年9月でちょうど100年を迎える。
死者・行方不明者合わせて10万人の多数を超えていた。

その惨(むご)い被災地を、
学生を連れて調査に歩いた福田徳三(東京商科大教授)さんは、
次のように主張している。
『復興事業の第一は人間の復興でなければならない。
震災を契機に、社会のあり方そのものを変革しなければならない』
つまり、生存権の思想を強く説いているのである。

この福田さんの主張を教訓として、取り組むべき事を一つだけ付け加えておきたい。
それは、東日本大震災では、
実際の避難者は32万人以上で、その内圏外に避難している人は6万人を超えている。
阪神淡路大震災でも、5万5千人~12万人に及ぶ人々が圏外に移住した。
そして、少なからぬ人々が異郷の地で無念の死に追いやらている。

現在の制度では、一度(ひとたび)被災地を離れると、
受けるべ公的サービスを受けることが出来ない、という漂流者になってしまう。
(これを『属地主義』と言う)
だから、何処へ転出しても、転出先の自治体から被災地でと同じように
生活再建の支援を受けることが出来るように、
全国共通の生活再建支援制度を一刻も早く作るべきである。

被災者の生活再建を、自己責任や自己努力に任せておいて、いい筈はない。
私(内橋さん)の最も身近なところでも、
被災地を離れて17年、被災地の地元自治体から、何の便りも、問い合わせも受けることなく、
昨年亡くなってしまった人がいる。

阪神淡路大震災と東日本大震災、二つの被災地の交流が深まっている事実もある。
そして、お互いに教訓を生かしあっている実例もたくさんあり、別の機会に述べてみたい。


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