天竜川下り船の転覆事故は、
結局5人の死者という痛ましい結末となりました。
運営する天竜浜名湖鉄道㈱の
『安全管理体制が形骸化していて、
社内全体に安全に対する意識が希薄であったこと』
が事故の要因だと、大方言われています。
国交省や警察も、業務上の過失があったとして
責任を追求していくようです。
大株主で取締役会長の静岡県の川勝知事も、
『常勤の取締役が社長1人で管理体制に甘さがあった』として、
早々に県から常勤の取締役を派遣する旨表明しました。
実際、同社の名倉社長さんは、
「子供に救命胴衣を着用させる義務ある事を知らなかった。」
「鉄道事業の再建にだけ力が入り、川下り船へは目が届かなかった。」
等と述べています。
名倉社長さんが歴任してきた遠州鉄道の事業部や系列会社には、
豊富で優秀なマンパワーが溢れる『現場力』があったから、
社長さんの仕事が少しばかり片寄っていても、大丈夫だったんでしょう。
しかし、旧国鉄のお荷物から独立しただけの同社には、
そういう『現場力』はなかったのではないでしょうか。
そういう会社でも、今まで無事故でやってこられたのには、
多分、例えば、「出勤簿に判子(印)が押してないぞ」とか、
「駅舎の時計が2分進んでいるよ。」とか「無精ひげを剃ってこい。」とか、
県が派遣した歴代の社長さんが、
細かくうるさい指導を根気良くやってきたからではないでしょうか。
だから川勝知事は名倉社長の経営手腕を評価しつつも、
中小企業での管理能力の不足を見抜いて、
管理を担当する取締役の増員を表明したのでしょう。
それにしても、川勝知事の優れた行政手腕には舌を巻いてしまいます。
元々は学者で前職は県立大学の学長さんですが、
その辺の代議士や経営者も彼の前には霞んでしまいます。
名倉社長の落ち度について、決して責めていません。
「すべて名倉社長1人におんぶさせてしまっていて申し訳なかった。」
「取締役を増員するまでは、歯を食いしばっても頑張って欲しい。」
とかばっています。
名倉社長の出身の遠州鉄道社員7000名の票を気使っているようです。
また川下り船の再開については、なんの見込みも無いようですが、
『地元の観光振興の柱、今年は中止するが、来年からまたやりたい。」
と地元天竜区民の心と票をしっかり握ろうとしています。
頑張れ天浜線!