日本製品と言えば高品質との評価が高かった。ところが、21世紀に入って、その品質にも陰りが見えてきたのではないだろうか。ぼろ車と言われた韓国・ヒュンダイの品質が日本車より勝ったり、ここのところ何かと東芝、旭化成、タカタ、トヨタなどの問題が噴出している。
片や人間の体の中に60~100兆個も存在するとされる細胞だが、その品質管理は合理的で徹底している。非常に優れた品質管理が有るからこそ、我々が無茶な事をやっても毎日正常に暮らせて行ける。細胞はおよそ36億年前から存在しているのだから、これは驚くしかない。
細胞は様々な機能を持つがタンパク質の生産工場でもある。細胞はあけても暮れてもひたすら莫大なたんぱく質を生産し続け、一方では古くなったタンパク質をアミノ酸に分解・再利用している。
品質管理は①不良品が出た場合の生産停止、②不良品の修理再生、③生産設備の廃棄入れ替え、④工場(細胞)の廃止・・という4段階のレベルで実施される。これらは厳格に速やかに実施される。その点は人間組織が見習うべき点は多い。
日本の問題となったメーカーでは「ばれなきゃよい」との安直な判断で、組織ぐるみの暴走を続け、最後にはマスコミに叩かれ、莫大な賠償金を払ったり、存続を危うくしている。
一方、細胞は何でがむしゃらにたんぱく質を生産続けるのかとの疑問は沸く。実はこのタンパク質というのは生命の源とも言うか、神の与えし奇跡のメカニズムそのもの。例えば「キネシン」と呼ばれるタンパク質は輸送を担い、小包を掴みレールの上を2足歩行で運送する。小胞体からゴルジ体までの輸送を担当している。
細胞内部を眺めると何と、中は大都市以上の交通インフラが整備されている。ゴルジ体には各種のタンパク質が集められ、調整され、また配送されて行く。小包には行き先が指定されている。ゴルジ体は配送センターのような役割も担っている。
最近の研究ではレールの端子から別のレールに乗り換える駅のような機能も見つかったという。まだまだ分からない事の方が圧倒的に多い細胞やタンパク質の世界だが、そりゃーもう、人間の知恵なんてまだまだひよこですよ。
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