宇宙・生命・日本 1000年後のあなたに語りかけたい

巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

出向していかに勝ち抜くか

2010年08月22日 10時03分06秒 | 思考空間

 サラリーマンたる者、いつかは出向も覚悟しなければならない。様々な出向がある。新規事業の立ち上げを命じられる場合、子会社のテコ入れに派遣される場合、出世コースから外れ姥捨て山として命じられる場合。表面的な目的はともかくとして、ネガティブな印象が強い。いずれにしても、それまでに築いたバックグラウンドを捨てて、未知の世界で勝負せざるを得ず、多難な旅であることだけは確かである。

 私の場合は、親会社から押し出されたのと、子会社から引っ張られたという事情だった。出向前に本を読んで、生易しくない状況を想定したが、やはりその通りだった。

 プロパーの社員は素人が何しに来たんだというシラーっとした白い目で見る。社長から新規事業を立ち上げてくれと言われても、全く経験のない分野で何をして良いか分からない。色々考えて、計画を立て、部下を動かそうとするが、毎日夕方になると、「あんたにはついてゆけない」と吊るし上げを食らう。

 プロパーの社員は、全社に張り巡らせた情報ネットワークを持っており、一瞬にして、親会社から来た人間の状況などが伝わる。活躍しようにも、先回りされて障害は増えるし、おそらく怠ければそれはそれで、情報を流される。

 私は電気系の人間だったが、社長は機械製造の事業を立ち上げろという。抵抗したが、最後までは抵抗できない。渋々引き受け、下請け企業から探し始めた。

 営業部は経験の無い分野は協力できないと言う。飛行機で出張すると始末書を書かされた。課長で出向し、部長クラスのプロパーに何度も怒鳴り込まれた。それも半端じゃない。大声で長時間怒鳴り続ける。お前らは、下手な事業をやって、すぐ親会社に帰り昇進するのだろうが、おれたちはその後始末をしなければならない。どうしてくれるんだ・・・などなど。

 部下を動かすには人事の掌握が重要だが、人事はプロパーの部長が握っている。上司がプロパーだと、部下と上司が完全に裏で繋がっている。目標と計画を立て、先頭を走って必死で働き、責任を負い、権限はプロパーが握るという図式。

 要領のよい出向者は、親会社から来ている社長に、せっせとよいしょし、他の部署の有ること無いことを喋りまくり点数を稼ぐ。そんだけ暇があるなら、働けと言いたい。忙しくて、社長のところへ行く暇もない当方が餌食となる。社長から呼び出され、何かとお叱りを受ける。

 風向きが変わったのはNO2の常務の葬式に行ってからかな。又しても、悪情報を流されたが、常務が調べてみると当方の責任ではなかった。営業部に問題があり、営業部側が謝罪してそれで落着。

 今から思うとよくやりましたね。自分の給料はおろか、部下全員の給料、新しい工場の償却費、税金などを含めると固定費だけで2億円に近いものを払ってきた。残念ながら在任中は全額を払えなかった。毎年赤字で、社長に怒られ続けた。ただ、技術系の社長は固定費を会社が払っていると勘違いしていて、最後まで理解していただけなかった。

 新規事業の立ち上げは死ぬほどしんどかったが、何とか形は作った。重要なのは勿論、営業。日本中を走り回り、特に関東方面に強い業者の協力を得られたのが良かった。業者の案内で、一流企業の責任者に会え、顧客ニーズ重視で何とか受注してきた。機械だけにトラブルは多かった。ピンポン玉のように、現場に飛び、米つきバッタのように謝罪し頭を下げた。

 出向者の昇進は異例だが、2回昇進。最後は部長を務めた。しんどい思いをしていても、黙っていれば昇進しない。一度は辞めさせてくれと常務に言った。担当常務と次には人事のが動いてくれたので、何とか昇進できた。

 親会社に戻るには受け入れ側の子会社の推薦が前提で、もっと重要なのは親会社が受け入れてくれること。体が持たないことなどを理由に何とか戻った。親会社に戻りった後、社長をはじめ支援してくれていた経営陣が総退陣。子会社の支援はサラリーマンにとって心強い味方だが、後ろ支えを失い、何ともきつい経験とはなった。

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