静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

  ♬~ あ な た に ” 春 の 訪 れ ” を 告 げ る の は 何 ? ~🎵   梅 に ウ グ イ ス ?

2022-03-11 09:10:39 | トーク・ネットTalk Net
 昨日、朝の散歩から戻った家内が「ウグイスの初鳴きを聞いたわよ~」と声を弾ませた。「白梅が満開になると、ちゃんとやってきて鳴いてくれるのね」と家内の嬉し気な声が、
我が家に春を持ち込んだ。・・・はて、昨年はいつだったかな?とカレンダーを遡ると、それは3月1日だった。此の冬は気温の低い日が長く続いたせいか、昨年より9日遅い。
いや、それを言い出せば、梅も桜も開花は50~60年前に比べ3週間は確実に早まっている。梅は3月下旬から咲いたもの。
小中学校の入学式は4月7~8日だったが、あれは丁度桜が満開を迎えるタイミングであった・・・・。

今朝は「前の老人ホームの木立でも聞こえたけど、音痴なのか、下手っぴいなのよ(笑)でも、一生懸命練習してるみたいで、可愛い」とご機嫌だ。私も管楽器の練習に出かける公園への途中、
白梅並木が日ごと明るくなるのを楽しみ、時には写真を撮ることもある。 文字通り『梅にうぐいす』が目の前に揃うひと時・・これをささやかな幸せと言わずして、他に何があろう?
  ついでながら、江戸時代このかた「桜」が春の代名詞のように賛美されるが、桜花の醸す(冷たさ・儚さ)にはいのちの喜びがなく、明るさも感じられない。梅が桜よりも私は好きだ。

 寒い大気がほどけ始め、日差しが目に見えて長くなる。樹の枝にはつぼみの産毛が輝き、地面では草花がモコモコ顔をもたげる。 そんな”春の訪れ”を空高く歌い挙げるウグイスたち。
鋭くも柔らかい歌声が梅の花弁の白さをいっそう増すようだ。まばゆい白に包まれた枝に降り、翼を休める間も歌い続けるウグイス。姿見えねど響き渡る歌にうっとり耳をそばだてるうち、
淡~い梅の香りが旋律に乗って舞い降りてくる。枝の真下に佇めば、昔からの言葉通り(ほのかに)としか形容できない薫りかただ。

・・旋律? そう、旋律と呼ぶべき高低やメロディーラインが有るのです。あの鳴き声は、どのウグイスも同じでは決してない。 もし意外だと感じるなら、注意深く聴いてごらんなさい。
音程は無論のこと<ホー~ほけきょ!>と人間の耳が捉える音律は似てるようで同一ではない。何故ならば、あの歌声は相互の識別信号であり雌雄の掛け声でもあるから、同じでは彼らが困るわけ。
現に、老人ホームの木立にやってくる複数のウグイスたちの歌声は、どれひとつとっても同じ旋律じゃなく、また毎年違う.。・・・賑やかで愛らしい合唱に聞きほれるのは実に心安らぐ。

 こんなよしなしごとに思い耽るうち、『小鳥はなぜ歌うのか』(小西正一著/岩波新書:1994年)が書架にあるのを想い出し、手に取った。いつ買ったのか?それすら忘れたくらいご無沙汰だ。
小西氏は、鳥類の会話の研究一筋でこられた動物行動学研究者。何気なく私たちが耳にしている鳥の歌声に潜む様々な事柄を解りやすく説いている。興味をもたれた方にはお薦めしたい。 <了>
コメント
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