静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

≪ 新潮45の” 炎上商法 ” ≫  ネット普及&劇場型社会&ビジネスとして;メディアが逃れ得ない宿命  一時的社会現象ではなく 『知の衰退』の危機感を

2018-09-21 09:11:16 | 時評
△  静かな反抗に支持 「売れ線、動かぬ」の声も https://mainichi.jp/articles/20180921/k00/00m/040/008000c?fm=mnm
▲ “右寄り”に活路 「部数減で炎上商法」指摘も https://mainichi.jp/articles/20180921/k00/00m/040/081000c?fm=mnm

 本件の登場プレイヤーは、(1)性差別発言を意図的に繰り返す自民党女性議員、彼女に代表される差別必要悪論者 (2)「思想の自由」を盾に差別発言を擁護し続け、言わせる集団、
 (3)出版や電波を通し国家第一や民族主義鼓舞の論陣を張る評論家/作家と称する一群<例:櫻井よし子、百田尚樹など>、 (4)ネットで手軽に出来る扇動的物言いを楽しみ、
  話題作りにさえ参加できれば日々の存在価値を少しは得たと感じる大衆、何でもいいから名を残したい人、これら4者だ。 

・ (1)~(3)の背景は、2000年以降の連合政権による混迷や民主党の失敗による政治不信増幅にあり、中国の資本主義転換+ソ連解体後の精神的支柱を失った反保守勢力の凋落と
   呼応して、「民主」や「人権」を問うことを嫌う(1)(2)(3)が共に影響力を増してきた現実である。 産経・読売両新聞社が売上げを伸ばしてきた背景も同じ。
・ (4)の出現は、インターネット技術と電子端末の進化が結びついた「日頃の政治活動を経なくても参加できるSNS固有の発言」で社会参加した気にさせてくれる舞台があるので、
   選挙を通じた代議制民主政治そのものを無意味と思う非投票世代が着実に増えている証拠だ。

・ (4)は(1)(2)(3)の結果ではないが、偶然同じタイミングで発生した技術革新と結びついている。然し、注目すべきは、(1)から(3)の主張に共通する民族主義情緒、
   エモーショナルな扇動に乗りやすい性向で、ネット上の興奮を楽しむ人々が結びつきやすい。 何よりも、論理的な分析や多様な角度の意見や観方に照らし合わせてからでないと
   安易に発言/発表しない態度と(4)は全く無縁だ。・・・いわゆる<ネット炎上>というのは、この態度を敢えて執らない相手への発信でなくば起こせない。


米 本ブログを読んで戴いている読者にこういう解析は「今更なにを・・」だろうが、新潮社に限らず、何処の国でも出版社は、様々な人が思惟を重ねたうえで思う所を世に問う場を
  提供する媒体として読者に向き合う、そこに存在意義はある。速報性に第一義的価値を競うニュース報道媒体との峻別もそこにある。  いや、或る筈だと言い直そう。

米 記事に引用されている多くの人が指摘するとおり、広く文化芸術に関わる大手出版社として長く信頼を得て来た新潮社が敢えて意図的に(1)~(3)勢力側に回り、売り上げ
  至上主義に走ったと見做される行動に出た。 河出書房のように倒産を選ばず、新潮社がこういう行動に出た。これが日本の言論界に意味するのは何か? ここに私は国家主義に
  傾く世論の危うさと通底する恐ろしさを感じないわけにはゆかない。 私の危機感はここにある。 此の”知的営為への軽侮”は、既に在る社会全体の知的退廃を加速している。
コメント
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