教育に日本の希望を ⅤⅩⅥ

　主体の裏側には有機物としてのある”流れ”が存在します。
その”流れ”の事を我々は「歴史」「国語」「教師との出会い」と言ったりします。
敗戦とコロナによってこれらが全て失われてしまいました。
有機性自体が、人間を取り囲んでいる環境自体が無くなりつつあります。その中で思考せよという方が無理でしょう。

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教育に日本の希望を ⅤⅩⅤ

　人間はそもそも動物です。有機体なのです。その中でビルディングしなければならないのです。
教養小説はビルディングロマンスと呼ばれます。それは教育小説でもあります。
人がどう教育されながらある全体性を纏っていくのか、その中で自信や主体性を作っていくビルディングロマンスです。

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教育に日本の希望を ⅤⅩⅣ

　ここまで”学び”からの逃避が起こっているのは忖度、キョロ目、
自分の必然性に見合ってない何かが強いられているからでしょう。これはまさにICTと一緒です。
「何のために」がなくて、ただそれがあるからやるだけというわけです。

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教育に日本の希望を ⅤⅩⅢ

　”学び”はひとつスイッチが入っただけでむちゃくちゃ面白いのです。他にはないくらいに面白いのです。
なぜなら自分の主体性が確立されていく教養のプログラムだからです。
主体性が確立されていけば自由になっていきます。
自分で思考能力を持つがゆえにさまざまなものを相対化でき、同時に自分が自立できるから面白いのです。
自信が持てるのですから。

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教育に日本の希望を ⅤⅩⅡ

　教育学において思想哲学に足を踏み入れなければならないはずです。
教育においてそこまで議論が煮詰まっているのか分かりません。
分からないゆえに言葉だけが加速していくとキョロ目になります。
「みんな主体ってこんなふうに考えてるのかなあ…」其れこそ主体じゃないでしょう！。
ただの忖度的になっているだけです。忖度的になっていけば”学び”が圧倒的に面白くないのです。

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教育に日本の希望を ⅤⅩⅠ

　そうなると視点が自分の中や自分の経験に定まることがなく向こう側を見るばかりとなります。
「アメリカ人は主体的だよね」とか「西洋人は思考力高いよね」とか。
そこからない物ねだりがはじます。
地に足をつけた議論はできなくなり主体という言葉だけが独り歩きしていく、掛け声だけが独り歩きします。
中身は不明です。主体ってなんなの。教育学で語られるのでしょうか。

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教育に日本の希望を ⅤⅩ

　戦後の教育論をざっと振り返ると「無い物ねだりの教育論」と評価できます。
ある経験された物、それを経験という地に足をつけて善悪の評価するのではなく、
戦争に負けてしまった国又は国民は「主体性がなかったのだ！」、「思考力がなかったのか？」のように、
無かったことを前提にして、無かったものをどう取り返すか、どう作り上げるかという議論ばかりしている様に感じます。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅨ

　数学の中だけで数学だけやるのではなく、
ゼミで「数学ってそもそも何ナノ？」、
「数学と国語ってどう関係する？」といった議論を広げ、数学の問題から離れて数学をメタ的に問うこと。
これは対面のゼミや議論、対話でないとできません。これを今の大学は自らの手で排除しているのです。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅧ

　やがてこどもや学生は勘違いし始めるでしょう。
「思考能力と処理能力はいっしょだ…」。
処理能力とは限られた体系の中でどれだけ早く目的にたどり着くかです。
一方思考能力は目的を変えていくこと、視点をどれだけ多様に持つかが重要になってくるのです。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅦ

　文脈、字と図の違い、そのバランスで相手が意図をくみ取ります。
対面としたゼミや授業でないとそれは伝わりません。リモートで最も難しいのは”叱る”ことです。
リモートでは叱れません。リモートで叱るのは嫌味なおっさんに過ぎません。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅥ

　一方で大学はずっとリモートです。これで読解能力は完全に破壊されるでしょう。
リモートでは情報が情報としてだけ相手に与えられます。

　こういう顔であなたと2時間、いっしょに同じ部屋で座っています。
一方が怒っているとしたらその内容だけなら同じですが、2時間怒っている相手といっしょにいるということは
「それでも愛情があるからだ」となるはずです。これを読解能力といいます。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅤ

画面に「１＋１は？」、「２」、「ピンポ～ン」。
何をやっているのでしょうか。
今は書いて手で覚える時期ではないでしょうか。
結局何のためのICTなのかはどこかに失って、パソコンがあるからやらせているだけでしょう。
目的と手段が逆転しているのです。
おそらく家庭で親は見ているからどれだけ馬鹿馬鹿しいか分かっていらっしゃるでしょう。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅣ

　大学ではこのままいくと後期もリモートなので2年間リモートとなるというあり得ない状態です。
1年生の子供が小学校からノートパソコンを持って帰ってくるのです。
それがまたむちゃくちゃ重くランドセルに無理やり入れて毎日家と往復しています。それで何をするというのでしょう？。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅢ

これはパソコン、システムを売りたいIT屋の発想にすぎません。
日本の教育が破壊されおかしくなっていることを認識しないといけないでしょう。
「グローバル化、デジタル化は不可避だ」、「英語は絶対だ」、最後には「英語をやらないと人生詰むぞ」とか…。

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教育に日本の希望を ⅣⅩⅡ

ICTやギガスクールに関して文科省のパンフレットを見ると
「とにかく日本はICTが遅れている。OECDの中でも下位だ」
だからICTでギガスクールでパソコンだということのようです。
パソコンを学校教育で使っていないから入れましょう…それだけです。その目的や目標が全く提示されていません。

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