東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

日本ジュニア数学オリンピック本選の問題(3)

2019-05-04 11:21:12 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2019年日本ジュニア数学オリンピック本選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「nを3以上の整数とする。n個のそれぞれ1色に塗られた球が円状に並んでおり、1、2、...、nがこの順に書き込まれている。球の色はちょうど10種類あり、隣りあう球は違う色である。各色について、その色の球に書き込まれた整数の和は色によらず等しいという。このようなことのありうる最小のnを求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

球の色が10種類なので、
n≧10        (1)
です。

また、各色の球に書き込まれた整数の和をSとすると、球の色が10種類であることから、n個の球に書き込まれた整数の総和は 10S になり、これは1からnまでの和に等しいので、

が成り立ちます。

ここで(2)を
n(n+1)=20S
と変形すると、左辺は20の倍数であることが判ります。

このとき、nとn+1は互いに素なので、(1)の下、
〔1〕nが20の倍数 → n=20k(kは、k≧1の整数)
〔2〕n+1が20の倍数 → n=20k-1(kは、k≧1の整数)
〔3〕nが4の倍数、かつ、n+1が5の倍数 → n=20k+4(kは、k≧1の整数)
〔4〕nが5の倍数、かつ、n+1が4の倍数 → n=20k+15(kは、k≧0の整数)
と表すことができます。

したがって、(1)を満たすnは、小さい順に、15、19、20、24、・・・になります。

ここから、n=15、19、20、24、・・・と順番に、与えられた条件を満たすかどうかを調べていきましょう。

n=15のとき
(1)からS=12です。

このとき、13、14、15が書かれた球があるので、与えられた条件を満たしません。

n=19のとき
(1)からS=19です。

このとき、残りの1から18が書かれた18個の球を2球ずつ組にして、書かれた整数の和が19になる組合せは、
(1,18)、(2,17)、(3,16)、
(4,15)、(5,14)、(6,13)、
(7,12)、(8,11)、(9,10)
だけです。

ところが、これらの組のなかで、(9,10)は隣りあう球なので、与えられた条件を満たしません。

n=20のとき
(1)からS=21です。

このとき、20が書かれた球と組になるのは1が書かれた球だけです。

ところが、(1,20)は隣りあう球なので、与えられた条件を満たしません。

n=24のとき
(1)からS=30です。

このとき、1から5まで書かれた球は3個以上の同色の組に含まれなければならないので、とりあえず(1,3,5)と(2,4)の組をつくってみましょう。

そこで、これらの2組と残りの19個の球で、球に書かれた整数の和が30になる組をつくっていくと、
(1,3,5,21)、(2,4,24)、(7,23)、
(8,22)、(10,20)、(11,19)、(12,18)、
(13,17)、(14,16)、(6,9,15)
の組合せが可能で、これらのいずれの組にも隣りあう球はありません。

したがって、n=24のとき、与えられた条件を満たします。

以上から、与えられた条件を満たす最小のnは 24 で、これが答えです。


簡単な問題です。