東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

日本ジュニア数学オリンピック本選の問題(5)続き

2019-05-10 11:37:40 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2019年日本ジュニア数学オリンピック本選に出題された整数問題の続きです。

問題は、
「a、bを正の整数とする。

(1)不等式
     
が成立することを示せ。

(2)この不等式の等号が成立するような正の整数の組(a,b)をすべて求めよ。

ただし、正の整数x、yに対し、xとyの最大公約数をgcd(x,y)で表し、xとyのうち小さい数をmin(x,y)で表す。なお、x=yのときはmin(x,y)=xとする。」
です。

前回(1)を片付けたので、今回は(2)です。途中で、前回の〔3〕と〔4〕を使うので、それらを再掲します。

gcd(a,b+1)、gcd(a+1,b)をそれぞれMとNとすると、a、b+1 はMの倍数で、a+1、bはNの倍数なので、
 a =kM          〔1〕
b+1=lM          〔2〕
a+1=sN          〔3〕
 b =tN          〔4〕
と表すことができます。このとき、k、l、s、tは正の整数です。

それでは(2)に取り掛かりましょう。

(1)の結果から与えられた不等式の等号が成立するのは、
M<Nのとき、
MN=a+b+1        〔9〕
N=M+1          〔10〕
と判りました。

ここで、a-Mを調べてみましょう。

初めに、〔9〕と〔10〕から

です。

すると、

で、〔3〕の
b+1=lM
を〔12〕に代入すると、

になり、a-Mは、Mの倍数であることが判ります。

また〔11〕から

で、〔4〕の
b=tN
 =t(M+1)
を〔14〕に代入すると、

になり、a-Mは、M+1の倍数であることが判ります。

以上から、a-Mは、Mの倍数かつM+1の倍数で、MとM+1は互いに素なので、
a-M=pM(M+1)     〔14〕 
(pは非負整数)
と表すことができます。

一方、aはMの倍数なので、
a-M≧0          
で、さらに、
a-M<a+b+1
   =MN
   =M(M+1)      〔15〕
です。

すると、〔14〕と〔15〕から
pM(M+1)<M(M+1)
で、これから
p<1
で、したがって、
p=0
になります。

すると、〔14〕から
a-M=0
で、
a=M
になり、これと〔11〕から

です。

ここで、Mをnとすると、

で、b>0から
n≧2
です。

また、〔16〕と〔17〕を与えられた不等式の左辺に代入すると、

から

になります。

一方、右辺は、

になり、(左辺)=(右辺)が成り立ちます。

したがって、
M<Nのとき、

で、さらに、M>Nのとき

です。

以上から、与えられた不等式の等号が成立するような正の整数の組(a,b)は、

で、これが答えです。

簡単そうに思えたのですが、難しい問題でした。