晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

皆さん大きな勘違いをしてますね。「核廃棄物」は実は処理出来ないと言う事を。

2011-10-25 23:11:52 | 政治と社会
昨日に続いて「放射能」の事について。


有る記事を目にして、相も変わらぬ核利用への誤解に、如何しても一言言いたくなった。

『再処理』などと言っても、人間の力では「放射能は消せない」と言う事を。



▶核燃サイクル 「費用だけの議論しないで」(讀賣見出し)

>【原子力委再検証 必要性求める声】

>国の原子力委員会の小委員会は25日、使用済み核燃料を再処理して使う「核燃料サイクル」の費用を再検証したところ、再利用せずに地中に埋めて捨てる場合より2倍になるとの試算を示した。

>試算は今後の政府のエネルギー政策をめぐる議論の基になるもので、核燃料サイクルに協力してきた本県関係者からは「コストだけでなくエネルギー政策全体の中で議論してほしい」と核燃料サイクルの必要性を求める声があがった。

>「今回の試算が議論の判断になることはわかるが、再処理以外の方法でエネルギーの安定供給ができるのかという点も議論される必要がある」
県エネルギー総合対策局の阿部耕造局長は読売新聞の取材に対し、そう述べて、今後の議論にクギをさした。

>試算結果では、使用済み核燃料をすべて再処理する費用は1キロ・ワット時あたり1・98円で、すべて地中に埋める「直接処分」(1キロ・ワット時あたり1・00~1・02円)の2倍。前回2004年の調査(1・6倍)よりも、さらに割高になった。

>今回の試算は今後の議論の参考にと国が原子力委に依頼しただけに、県幹部は「あまりコストが上がると、原発への不信感から、直接処分に傾く可能性もある」と神経をとがらせる。

>核燃料サイクルの基幹施設である再処理工場を抱える六ヶ所村の古川健治村長は「コストだけ比べてもコメントできない。再処理は建物もあるし、すでに動いている。そういうことはどう考えているのか」と語り、地元の現状を訴えた。

>また、使用済み核燃料中間貯蔵施設の予定地であるむつ市の宮下順一郎市長は、「資源の少ない日本で、コストをかけてもやることかどうか。そこを議論してほしい」と語った。
【讀賣新聞/10月26日本紙】



つまり、誰もが依然として「核廃棄物」が処理出来る、と思い込まされている訳だ。


昨日の稿でも書いたが、放射能は「人知」では消せない。

自然消滅に、人間の生命尺度を越えた時間を必要とする。
そして、それしか必要としない。

原発に於いて生み出される「核燃料廃棄物」は、結局処理出来ないのだ。


たしかに、「いわゆる処理」をして『プルトニウム』を取り出す事は行われている。

その残りかすの、「微濃度汚染廃棄物」に関しては、それ相応シールドで防護して「浅い地中」なり「特殊倉庫」なりに保管する事は可能だ。

現にフランスでも、そうやっている。

しかし、「高濃度汚染廃棄物」は、そう簡単には行かない。

それで、考えて実用化までこぎ着けた事はと言えば。

ケイ素含有量の高い特殊ガラスで包み込んで<固化>する。
しかる後に、鉛かそれ以上の耐放射線性の金属のケースに納める。


それを、どうするのか。


フランス原子力庁によると、可能性として考えた事は以下の通りであった。

深震度の地中に埋める。
深海底に沈める。
宇宙に飛ばしてしまう。

真っ先に否定されたのは、宇宙へ捨てる案。

い地球全体に取って、宇宙に捨ててしまえれば一番安全である(宇宙生命への迷惑はこの際論外として)。
地球に取って、一番危険な方法でもある。

ロケット打ち上げに失敗したらと考えると、とてもまともには取り組めない。


深海底は、可能性としてはあり得る。

しかし、「数千年」「数万年」の単位の時間の経過に、容器が耐えきれるのか。
もし、容器が数百気圧の力でひびが入ったり、或は何らかの科学的影響で溶けたりすれば、放射能はそのまま海中に漏れ出して、いずれは世界中の海を汚染する事になる。

もしも、海底地震が起こったらどうするか。

少なくとも、「公海」の海底には捨てる事は出来ないだろう。
国際世論が認める筈が無い。

各国とも、自国の領海内には、そんな「深海」は、存在しない。



そこで、最後に残った案が『地底』と言う事になった。


オーストリアの石器時代からの岩塩の採掘場であった『ハルシュタット』の<辺り>に、残存する坑道を利用して、地底700メートルほどの地底トンネルを掘削する。

或は、ドイツ国境に入り込んだ辺りも、地底の岩盤の安定度が非常に高い場所が有る。

そこにトンネルを掘る。

そして、そこに「そっと」置いておく。。。

関係者に言わせると、その辺りの地底の岩盤は、非常に固く、非常に安定しているのだそうだ。

勿論それには、あくまで該当国の了承が必要である事は、言うまでもない。


30年ほど前までは、その「地底安置」の方法が、仏独晋政府間で一応の了解がなされていたらしい。

しかし、今の時代は「環境問題」に非常に敏感で、加えて「原発反対」の声も高まって居り、そう計算通りには行かないのでは無いかと、想像していた。

そして案の定、最近ドイツへの「核廃棄物運搬」の特別列車が、独仏両国の市民によって進行を阻まれる出来事が起こった。



しかし、たとえ周辺住民からの反対が起こらなくとも、そこだけで「まかなえる」はずもないと、ずっと疑問に思っていた。

案の定、フランスはロシアのシベリアに「輸出」していた事も、判明したばかりである。


ドイツは、原発完全撤退を議決したようだ。

イタリアも、同じ方向を模索している。

スイスも同じ。


とは言っても、アメリカとアジアの実情は別としても、ロシアも含めてヨーロッパ中の原発が使用している「核燃料」が、今後も続々と廃棄物と化して行く訳だ。

それを、誰が、どこに、どのように保存するのか、実は解答はどこにも見いだされていない。


そんな中での、今回の『フクイチ』の事故によって、日本でも原発の弊害が積極的に語られる様になって来た。

しかし、幾つかの自治体や県が、反原発の決議を採択したにも拘らず、未だに反対の動きは「個々の市民」のレベルに留まっている。

自治体、県、国、及び全電連の発想は、未だに「何とか原発維持の方向性を変えたく無い」のが、主流の発想である事が見え見えである。


それを踏まえての、この記事である。

>再利用せずに地中に埋めて捨てる場合より2倍になるとの試算を示した。

ちょっと待って欲しい。
再利用と言っても、単に「プルトニウム」を取り出す事だけである。
その処理をしても、濃度の差はあれど、様々な「汚染物質」が残るのだ。

核燃料棒の容器。
様々の周辺機器。
各種部品。
残り滓。
そして、それらの処理をする為の道具類。

その中には、核燃料に直接触れていた部分の「高濃度汚染」部材が、沢山有る。


それを、国も、県も、村や町は、一体どうやって保存すると言うつもりなのだろう。

フランスですら、80%は処理しきれずに「プール」に沈めて「そっとしている」だけだと言うのに。

詭弁である。

核燃料自体は、厳重にシールドした状態でストックしておけば、一応保存出来るのだろう。

しかし、使用すれば、原発を稼働すれば、廃棄物が出る。

それを、燃料棒と同じ様に厳重にストックすると言っても、量的限界と言う物がある。


原発は動かす事は出来る。

その間に、様々に事故が起きて居る。
そして、動かせば確実に「廃棄物」が出る。
それを、「最終的」には処理出来ない。


そんな単純な事が、国民に知れ渡っていないと言う現実を考えると、空恐ろしくなるのみだ。

原発大国フランスですら、処理が仕切れない状態だと言うのに。
処理しょた後の廃棄物の置き場も、無いと言うのに。

まして、狭い日本で一体どうしようと言うのだ。


<生ゴミ>ならば、生物学的時間と微生物とが、処理してくれる。
土に帰る。
焼いても何とかなる。


ところが、<核廃棄物>となると、処理など物理学的に出来ない。

単に、何かで包んで、人々から離して置いておくだけ。


それでも、何が何でも原発推進を図る<政財官>の、おぞましさ。

それに乗せられた、一部国民の浅はかさ。


今、この時、直接の被害が現れなければ、それで逃げおおせると。
今、この時、逃げおおせれば、それで良いと。

逃げおおせる事で、大金が稼げて、アメリカに頭を撫でてもらえると。

だから、そうすべきなのだと。

そう、信じて疑わないのだ。


これだけの大事故を経験した我が国は、これを奇禍としてエネルギー政策から「核エネルギー」を外すべきであった。

世界に先立って、いち早く「次の世代」の地球の為に、原発政策から方向転換してみせるべきであった。

その姿勢を世界中に示す事でこそ、今回の大事故の免罪を得る事が出来る筈であった。

それにも関わらず。。。

馬鹿者どもは跋扈する。

官僚と政治家と財界人との、そのような彼等だけの都合で、日本と言う国は100年後に国土が不毛の大地に帰してしまっているかもしれない蛮行を、シャアシャアと続けている。

世界に顔向けが出来ない事は、まだ我慢しよう。

事故を起こしてしまったのだから。
政府が、「直ちに」適切な処置をとれなかったのだから。

しかし、自分達自身の子供達や孫達に、顔向けが出来ない事態に至ってしまった。


そんな事にも気がつく訳でもなく、今日も原発推進を模索し続けて恥じない面々が多く存在している。

刻一刻と、国土の汚染は広がっている。


人間は、「神の領域」を犯してはならない。

その事に、一刻も早く、気がつかなければならない。


コメント (4)
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