晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

美しき島『ベル・イル』を歩こう。

2011-10-02 21:42:37 | 旅行とレジャー
今週の【フォトの旅】は、ブルターニュ地方の島、<ベル・イル>をご紹介しよう。

Belle Île.
直訳して「美しき島」。



     
     美しき島『ベル・イル』



フランス北西部『ブルターニュ地方』は、北は英仏海峡、南は大西洋に挟まれた大きな三角形の半島である。


その南側の大西洋に向かう海岸に、細長く垂れ下がった「盲腸」みたいな半島がある。
『キブロン半島』

その半島の南の最先端から、約15キロメートル。
フェリーボートで、およそ45分。

島に着く。



     
     小さな港に「無理矢理」入港するフェリー



中石器時代から、人が住んでいた痕跡が発見されている。


ブルターニュ地方に数多く残る「巨石文化」の遺物『メンヒル』が、道路の脇にポツンと立っている。


     
     メンヒル


それまで大陸と繋がっていたが、7000年前頃、大陸から切り離されて、島となった。

逆に、キブロン半島は、その後大陸に繋がってしまう。


島は、4世紀以来,小さな修道会の領地で有ったが、8世紀半ばには、ヴァイキングによって根こそぎ修道僧や村人達が殺されてしまった。


破壊された島を、9世紀から、ブルターニュの諸公の一人「コルヌアイユ公」の手で復旧され,他の修道会に移譲される。

この『コルヌアイユ』は、ブリテン島ウエールズの『コーンウオール』地方と同じ民族である。


16世紀大航海時代には、それなりの中継点として重要性を増し、アンリ2世の治世下に、宗教戦争の「新教徒」のリーダーの一人が島に亡命していたものを、掃討した有る貴族に対して妃カトリーヌ・ド・メディシスによって「侯爵領」として与えられ、以後ブルターニュ系の有力者の『侯爵領』として、受け伝えられて行く。

その間、スペインに荒らされたり、イギリスに3年ほど占領されたりを経て、17世紀ブルーターニュ議会の有力者『ニコラ・フーケ』の領地となっていた。

ルイ14世の「筆頭財務官」であったフーケは、島に要塞を建設し、港を整備した。

このニコラ・フーケが、趣味に証せて造らせた城『ヴォー・ル・ヴィコント』が、ルイ14世をしていたく羨ましがらせ、それがヴェルサイユ宮の建設の引き金となった逸話は、よく知られている。

フーケの台頭を恐れた宰相コルベールの策略により、フーケはルイ14世の不興を買い、失脚する。

現在残る要塞は、フーケ失脚の後、天才築城家『ヴォーバン』によって、手直しをされた形で残っている。


     
     要塞の外側の空堀に架かる橋


二重の空堀に囲まれた、壮大なる要塞で、近年までフランス海軍の基地として使われていた。


     
     内側の空堀


     
     内側の空堀に架かる橋


     
     城壁から下の町並みを望む


     
     要塞の内部


     
     今も残る大砲



島の南側の海岸線は、かっての地球の造山活動の結果と、その後の海の浸食とによって形づくられた、複雑な地形をもち、その美しさが「美しき島」の名の由来でもある。


     


     


     


     


     


     


     


     



フランス革命とそれに続くナポレオン皇帝政府時代は,『対仏大同盟』を組織したイギリスが攻め、幾多の攻防戦が繰り広げられた。

その後、要塞は「牢獄」に使われていた事も有った。


今では、ブルターニュを代表する観光地となって居り、夏のシーズンは何日も前から予約しておかないと、フェリーに車を乗せる事は出来ない有様。

しかし、対岸のキブロン半島の先端の港町『キブロン』から、自転車や徒歩で島に渡る観光客で溢れかえっている。


     


     


     


     
     断崖絶壁の上に佇む小さな祠



この島は日帰りでも楽しめるが、やはり滞在する方がずっと良い。

要塞も、一部ホテルに作り変えてあり、快適である。


更に、島の南端に有るホテルは、スパも充実していて、のんびりくつろいで「体と心のケアー」をするのに最適である。



     
     エニシダの茂みの向こうにホテルが見える


     
     ホテルの外観


     
     ロビーの一隅


     
     テラスの下は小さな入り江となっている



ついでに、食事もご紹介しておこう。


     
     レストランの窓からプールが望める


     
     貝やイカなどをあしらった「アミューズ・ブッシュ(突き出し)」


     
     クモ蟹とヒラメとアヴォカドの前菜


     
     蛸のカルパッチオ


     
     メレンゲとトロピカル・フルーツのデザート



これは、ある日の「本日定食の」夕食でした。


このホテルは、朝食の場所がコーナーごとに雰囲気が違っていて、とても楽しめる。


     
     ソファーにゆっくりかけてエニシダの群れを眺めながら


     
     夏でも暖炉が


     
     籐のイスで入り江を望みながら



島の面積は、およそ80平方キロ。
東京の山手線の内側より、ほんの少し広い位。
最高高度で、標高70メートル。

人口、およそ1500人。


何も無い草地の中を道路が走っている。

途中で、草むらの中に野鳥が一羽、歩いていた。


     
     キジだろうか…



ブルターニュは、素敵です。

静かで。
人情豊かで。
独特の文化と伝統を守っていて。

巨石文明の遺跡。
ブルターニュ・キリスト教の独特の建造物。

激しい海。
引き潮で完全に陸続きになる、小さな島々。

名物の「オマール」海老。
牡蠣とアワビ。
豊富な野菜。

瀟洒なホテル。


さあ、いつか休暇でブルターニュに来ませんか?


コメント (9)
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