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晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

熱い大地アフリカに食文化のルーツを追ってみた。グルメな『カメルーン』が面白い。

2011-12-18 17:26:45 | グルメ
日曜日の【フォトの旅】を、二回連続でお届け出来ませんでした。


三週間ぶりの今回、がらりと趣向を変えて「アフリカの食文化」を、カメルーンからご紹介いたしましょう。


     
     密林の一角にそびえる「バウバオ」の木


アメルーンでは、同じバウバオの木も、繁り方が違って、枝葉が多く実も沢山なるのです。



     
     西アフリカの一角を占めるカメルーン共和国


面積は日本の13倍程(475平方キロ)で、人工は2000万人を切るくらいです。

人口密度が、平方キロ当たり(たった)34人。

280以上の部族からなる「アフリカのライオン」は、南北に渡って非常に文化が異なります。

北部の三分の二の国土は「サバンナ」で、数世紀に渡って続いたイスラムの侵略の影響で、イスラム教圏です。

その最南部が800メートル級の山岳地。

馬で遠征していたイスラムは、馬がその山地を越えられず、イスラム文化の侵入はそこで止まりました。

そこから南の大西洋までは、大航海時代以来西洋人がもたらしたキリスト教の文化圏となり、熱帯雨林の密林地帯も残っています。


10州のうち8州が旧フランス植民地であるため、フランス語でパンも「フランスパン」。

2州は旧イギリス植民地であったため、英語で、パンも「食パン」。

都会は、行政首都『ヤウンデ』と、最大の都市で経済の中心の『ドウアラ』。
どちらもフランス語圏にあります。

残りの町は、三階建て以上の建物が(ほとんど)有りません。。。


経済は、原油と農産物の輸出で成り立っていて、国民一人当たりのGDPは、年間2000ユーロ程。

農産物は、コーヒーと綿花でした。

しかし、中国からの安価な繊維製品の洪水的流入により、原綿の価格が暴落してしまった為に、最近では各地で収穫されずに放置されている綿花畑を、散見する様になりました。


     
     綿花の集積(買い付け業者のところに収穫した綿花が集う)



地域経済は、総てが『市場』を中心に回っています。

どこの町にも村にも、必ず市場があり、食料品から日常雑貨まで「ありとあらゆる物」が取引されています。



早速、その市場で食材を見てみましょう。


     
     市場の一隅


     
     村の市場



彼等の食事は、地方は伝統的な民族料理で、ヤムイモや名称不明の植物を使って、主に「でんぷん」を摂取します。


     
     ヤムイモの一種


それらを、蒸してすり潰し、いろんな「正体不明」の香辛料で作ったソースを絡めるのです。


     
     唐辛子売り(ニンニクも)


     
     香辛料(ディテール)


肉も食べますが、所得が低いのでやはりチキンが中心となり、魚は殆どが干し魚。


     
     魚や


     
     魚や(ナマズ)


ナマズや、草魚、雷魚の様な淡水魚ですが、最近は地方の小さなの隅々まで「冷凍庫」が普及し、大西洋の「キャピテーヌ」という大型の白身の魚が好まれています。


     
     肉や


     
     何やら豆の様な木の実を売る子供


     
     食材の植物のカバーの上には、トカゲも(売り物に有らず)


     
     塩売り(岩塩)


     
     水売りまで出ています


ちなみに、都会以外の地方の市は、週に決まった曜日しか起っていません。


     
     店が出ていないときの「ブース」




さあ、いよいよ調理に取りかかりましょう。


     
     ヤムイモを茹でてすり潰す


     
     サトウキビの様にも見える不思議な植物


     
     不思議な植物(ハーブ)の皮を剥く


     
     それらを「石臼」ですり潰す



     
     石臼


     
     オクラの様にネバネバになった、サトウキビみたいな植物


     
     これも何かの植物のピューレ


     
     ヤギはご馳走です


     
     ローストされたヤギ


     
     何やら煮えてる鍋


     
     すり潰してネバネバの食材を葉っぱでチマキに


     
     サフランの様なハーブを使って作る黄色いソース


     
     既に挽いてパウダー状になったソースの元


     
     名物料理『アシュウム』(ヤムイモのピューレに黄色いソース)


この「アシューム」は、チキンの入った黄色いソースを、お皿の周りのヤムイモのピューレで絡めて食します。



街角のレストラン『メシ屋』では、チキンの腿のローストに付け合わせはバナナのフリッターが、定番。


     
     調理用の特別なバナナ『プランタン・バナナ』


     
     レストランで「プランタン・バナナ」を刻む調理係


     
     揚げられているバナナのフリッター


大西洋で取れる、大型の舌平目のムニエルが、絶品です。

厚みが3センチ以上も有りそうな、目の下60センチなどはザラ。

限られたレストランでしか出て来ません。


     
     本日のヒラメはやや小型でした…


     
     チキンのグリル



街角には、露天の焼き肉屋が、必ず店を出しています。


ドラム缶の輪切りの中に炭を熾して、牛肉の大きな塊を焼くのです。
表面に「塩とクミン・パウダー」を塗り付けて。

お客がくれば、塊を細切れに切って、一掴みを「新聞紙」でくるんでくれて 100円くらい。

クミン・パウダー入りの塩を振って食べます。

『ソーヤ』と言って、ナイジェリア辺りから南部カメルーンにかけての、庶民のファーストフードです。


     
     街角のソーヤ売り


     
     ソーヤ売り


ここでは、ご馳走の『瘤』の部分を焼いていました。


     
     瘤牛の瘤の部分の細切れ


     
     瘤牛



北部の都会『ウンガウンデレ』では、毎週木曜日に「牛市」が起ちます。


     
     周辺から牛市のたつンガウンデレに向かう牛の群れ


     
     牛市に向かう牛の群れ




ところで、カメルーンの人たちは、熱いアフリカの常で「コカコーラ」の類いを良く飲みます。

カメルーン独特の、カーヒー味のコーラという、不思議な物も有ります。



それとは別に、アルコール飲料は、野生の『野麦』で<ビール>を作るのです。


     
     野麦


     
     集めた野麦を脱穀する人々


     
     野麦ビールを売る女性


ビールと呼んでいる物の、当然皆さんが日夜飲んでいらっしゃるビールとは、全く違います。

いわば「どぶろく」。

微かに、舌にぴりっと発泡感が感じられる程度の、3度か4度くらいのアルコール飲料ですが、全国で飲まれています。

都会では、「アムステル」とか「33」とか、フランスの大衆ビールが幅を利かせていて、街角のカフェやメシ屋では、みなその「ヨーロッパ」のビール(現地生産ですが)を飲みますが、都会を一歩出ると未だに「野麦(ミール)のビール」が欠かせません。



その他、伝統的な食べ物に、「ピスタッチオのチマキ」が有ります。

先程の写真の物とは違うのですが、レストラン等でも人気のサイドメニューです。



     
     ピスタッチオのチマキ


北部都市ンガウンデレと首都ヤウンデを結ぶ、唯一の鉄道が走っています。

夜行の寝台列車が毎晩走っているのですが、保線状態が悪いので時々脱線が起こり、その度に7~8時間遅れたりしますが、重要な交通の動脈となっています。


その列車が止まる度に、各駅では「チマキ売り」が群がって来るのです。


     
     停止した列車に急ぐ「チマキ」売り達


     
     車窓越しに、やり取りするチマキ売り


大した味がついている訳でもなく、お世辞にも美味しいとは言えないのですが、彼の国の人達は大好きなのです。

一本1円くらい。

言ってみれば、私たちにとっての「おにぎり」みたいな物なのでしょう。


     
     密林特急



デザートには、是非フルーツを。

パイナップルも、完熟でとても美味しいですが、マンゴーやパパイアもお勧めです。

現地では、レモンをふって食します。


     
     ラグビーボール程も有るパパイア



カメルーン。

なじみの無い国ですね。

2002年サッカーの日韓ワールドカップに、遅れて来たチーム、と言う事で話題になりました。

しかし、子供達の教育は周辺アフリカ諸国にまして、国が熱心に取り組んでいます。

日本がODAで全国に200校以上の小学校を建てた事も有って、現地での日本のイメージは良好です。

見かけ以上に清潔で、お腹を壊す事も有りません。


木彫りの彫刻や、伝統的な布地等、素晴らしい物にも事欠きません。


     
     伝統的な柄の布地



是非、お出かけになってみませんか?



     
     実がたわわになったバウバオの木


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秋の『ワイン市』に行って来ました。年に二回の恒例行事で、秋も深まるパリ。

2011-11-27 18:52:45 | グルメ
フランスは、美味し国。

食材に恵まれ、料理は「世界遺産」に登録されている程で、食文化の奥行きは非常に深い。


毎年2月の『サロン・ダグリキュルテュール(農業展)』は、ありとあらゆる種類の「生きた」牛やら、羊やら、豚やらから始まって、各種加工品が「ポルト・ド・ヴェルサイユ」という南の外れの<国際見本市会場>の広大な敷地に立て込む7棟に、「これでもか」とばかりに農業に関する展示がなされ、初日の大統領の訪問から農業関係者ばかりでなく、お年寄りから子供まで、大挙して押し掛け大盛況を呈する。

ビジネス・フェアーであると同時に、品評会であり、市民のレジャーの場ともなっている。


その、フランスの「豊かな食材」の中でも、ことのほか<質><量>共に、世界中に他に追随を許さないのが、「チーズ」と「ワイン」である。


その『農業展』の一環で『ワイン』の展示館もあり、ソウソウたる銘酒からソコソコの物まで、あらゆる産地のワイナリーのブースが並ぶ。

何れ劣らぬ逸品ぞろいで、業者が多く訪れ試飲しながら買い付けを行っている。

それとは別に、「大手流通ルート」に乗っていない中小のワイナリーが造っている組合『VIGNERONS INDEPENDENTS(独立系ワイン生産者)』の「合同展示販売会」が、年に二度春と秋とに行われるのです。



     
     会場内の光景


ワンフロアーに1500軒ほどのワイナリーが参加して、ブースを構えているのです。

間口2m程の狭いブースでは有りますが、1500軒も集まると、それは壮観です。


     
     入場前のレジスター


入場料は6ユーロ。

同じワイナリーで何回か購入すると、事前に招待券を送ってくれる様になります。

ちなみに私は5乃至6軒から送って来てくれる様になりました。

大混雑のレジスター・カウンターに行って住所氏名を記入した入場券を出し、当日何回も出入り出来るカードと、テイスティング・グラスを貰って、会場内に入ります。

歩き回って、試飲して、購入してという際にグラス片手では邪魔になると思う人の為に、グラスを首からぶら下げる<ヒモ>を、売っていました。


     
     「ハンドフリー・グラス・ホルダー」のカウンター


お目当てのワイナリーのブースを見つける為に、出展者リストが「地域別」に書き出されて居り、フロアーの見取り図が有ります。


     
     ブースの位置を示す見取り図


     
     各ワイナリーのブース番号リスト


勿論、招待券にはそのワイナリーのブース番号が、ちゃんと明記されているので、問題無し。


     
     出展者リストのディテール


私は、入場するや直ちに、気に入りのワイナリーに直行します。

各通路はアルファベットが割り振ってあって、両側に並ぶブースに、位置から80くらいまでの番号がつけられています。


     
     J-22 「シュッド・ウエスト」地区 『シャトー・ド・サール』
     アンリ・ド・バッツ・ド・トランクレオン


この看板が、最初に訪れた、本日の目的地。

アンリ・ド・バッツ・ド・トランクレオンさんがオーナーの「シャトー・ド・サール」。

フランス「南西部」(仏ワインの産地名)の『ビュゼ』地区に有るワイナリー。

ボロドーから、トウールーズに向かう道筋に有る地区の、所謂地酒です。


     
     接客中のアンリさん

一本850円くらいで、コクが有ってすこぶる旨い赤ワインを、取り敢えず12本購入。


大きな通路の交差路の頭上に、各方面の誘導指示ボードがぶら下がっています。


     
     方向指示ボード


品評会場や、プレス・センター、配送請負所、業者の専用スペース、などなど。


次に向かったのが、同じ『シュッド・ウエスト』地方の、「ガイヤック」地区のワイナリー。


     
     『ガイヤック』『ガイヤック・ドウー(貴腐)』
     「ドメーヌ・サルヴィー」
     アンヌ・マール & パトリック・デュレル


世に名高い「城塞都市カルカッソンヌ」から北へ向かったあたり。

赤白ともに造っている地区で、これも極めつけの地酒。


     
     パトリックさんとアンヌ・マールさんご夫妻


ここは、軽めで辛口のフルーティーな白ワインと、作柄の良い年は貴腐ワインも造っています。

私は、この「ドメーヌ(ワイナリー)」の<ペルレ(微発泡)>の白ワインが、大好きなのです。

完全に発酵し終わらない状態で年を越して、そのままボトルに詰めると瓶内で微かに泡が残るので、ほんの少し刺激が有ります。

ポルトガルの「ヴィーニョ・ヴェルデ」みたいな物です。

この作り手の「ペルレ」、これがまあうんと軽くて爽やかで、一切の雑味が無い、がぶがぶ飲めてすこぶる旨い。

一本僅か600円。


     
     グリーンのボトルに入った「ペルレ」


     
     6本入りのカートン


ここでも12本お買い上げ。



次なる標的は。

東フランス、アルプスの麓『サヴォア』地方のワイナリー。


     
     『ドメーヌ・キャレル / ウージェーヌ・エ・フィス』
     『サヴォア』地方
     「サヴォア・ジョンジュー」「ルーセット・ド・サヴォア」
     
     商談中のウージェーヌ・キャレルさん


ここのワインは、アルプスらしからぬ「コクがあって」ボディーがしっかりした、隠れた銘酒です。

通常、スイスやドイツに近づくと、日照時間と土壌のせいで葡萄の果実の糖度があがらず、酸の強いワインになります。

酸っぱい、言い換えると「フルーティー」な白と、軽くコシのない赤。

ところが、一部の「ルーセット・ド・サヴォア」という呼称のワインの中には、全く別ものと思わせる物が有る。

ここの白のうち、『マレステル』という畑もその一つ。

僅か1100円ほどで、5倍以上の値段の下手なシャブリなどより、ずっと味わい深い。

トロリと厚みがあり、バニラ香と蜂蜜香が、樽の木のキャラメル香と相まって、いやはや、素晴らしいのです。


     
     サヴォア地方、「マレステル」の白と「ジョンジュー」の赤


ここでは、白12本と、赤6本も購入してしまいました。



その、宏大な展示会場の片隅に、軽食コーナーが有ります。

取り敢えず、「フォア・グラ」その他のソーセージ類のサンドイッチ・ショップです。


     
     生産者直売「フランス・シュッド・ウエスト」自家製フォアグラ
     「サンドイッチ」の看板が嬉しい


     
     フレッシュ・フォア・グラの瓶詰めと、丸ごと塊のパック



各種ハムとソーセージのサンドイッチ屋さんのコーナーも。


     
     チーズを使って、サンドイッチ製作中


     
     「ドライ・ソーセージ」


     
     作るそばから売れて行くサンドイッチ


     
     美味しそうな「パン・ド・カンパーニュ(田舎パン)」



会場には、既に来年度の春の展示会での「品評会」のポスターが、張られていました。


     
     1212年3月29日30日 の予告
     金賞・銀賞・銅賞のラベルが張られたポスター


そう言えば、例のビュゼの赤も、金賞か銀賞の常連です。

今回は、ワインのお好きな方には、羨ましがらせるだけの「酷な」文章になってしまいました。

せめて「眼福」だけでも、お裾分けです。

どうか、お許しを。



     


貴方も、ちょうどその時期にパリにお出でになるチャンスが有りましたら、一度足をお運びになられては、如何でしょうか。



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珠玉の朝食集 in ヨーロッパ

2011-01-23 23:55:57 | グルメ
日曜日の息抜きに、写真付きのご案内シリーズを、お届けしましょう。


今日は、<私が大好きなホテル>の朝食をご紹介します。


【オーベルジュ・ディル】
アルザス地方『イルオーゼルヌ』村のホテルです。

気候のいい時期は、朝食を戸外でとります。
ホテルの敷地は、『イル川』のほとりです。

     
     『イル川』に沿って、芝生の上にテーブルがあちこちに配置
     されています。

     
     
     ジャムの器は、鴨のデザインのつや消しクリスタル。


とっておきのテーブルは、川の上!

     
     新婚のカップルには絶対ですね。



【ベルナール・ロワゾー】
ブルゴーニュの、旧街道に沿ったソーリューの町。
通りに面した、古めかしいオーベルジュですが、背後の緑溢れるお庭が素敵です。

     
     L字型の建物の内側。

     
     朝食の部屋は、メイン・ダイニングとは違いますが、落ち
     着けます。

     
     ブルゴーニュ名物のアペリティフ『キール』に欠かせない
     リキュールの原料カシスの、自家製ジュースが付きますよ。



【カ・デ・マドリード】
マドリードの隠れ宿。
看板も出て居らず、直ぐ裏の通りに有るホテルの人に聞いても知らない程の、秘密の宿です。

     
     ロビー、と言うよりリビング・ルームと言うべき。

     
     そのリビングの一角のテーブルで。



【パラフィット】
スイスで一番ヨーロッパで2番目に透明度の高い湖、『ヌーシャテル湖』のほとりに、水際から湖面に張り出して各スイートが張り出しています。

     

     
     朝食は、メイン・ダイニングの外のテラスで。



【マルク・ヴェイラ】
古代ローマの皇帝アウグストウスも憧れた、ヨーロッパで最も美しい湖『アヌシー湖』畔のホテル。
シェフは、フランス料理界の鬼才と言われています。

     
     絶対に一人で食べきれない朝食。

     
     メロンが、ハーブで微かに香りを付けたシロップに。

     
     ジャムも、たかがジャム、されど3つ星シェフ手作り。



【シャトー・ド・クレイエール】
シャンパーニュ地方の首都『ランス』は、フランス歴代国王が戴冠式をあげた、ゴシックの名カテドラルが有ります。

シャンパーニュの業界の発展に大きな貢献をした、『ルイーズ・ポメリー』婦人が建てた、シャトーがホテルになっています。

     
     お庭に面した、『ヴェランダ(硝子で囲ったサンルーム)』
     のテーブルが最高。

     
     紅茶がティー・バッグなのが残念ですが、ただのティ-・バッグ
     では無いのが良い。
     専用ティー・ポットは、蓋の穴から<枝>が出て来るのです。



【ルヴェルノワ】
最後に、またブルゴーニュに戻って。
ワインの町『ボ-ヌ』の直ぐ郊外、静かな田舎道に沿って、広大な敷地に囲まれています。

朝食の部屋は、田舎の農家風の内装になっています。

     
     
     
     
     ビュッフェはとても充実。
     質実剛健な内容と、かなりのボリュームです。



いかがでしたか?

たまには「浮世離れした」世界を覗いてみるのも、良い気分転換になると思います。

さあ、紅茶ダケ飲んで、出かけるか!
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『ボージョレー』も解禁したし、秋の夜長は無粋な「政治談義」よりうまい酒!

2010-11-17 23:55:14 | グルメ
サンマが食いたい。


食材の豊かさは、質も量も、その豊富さにおいて世界に類を見ないフランスですが、残念な事に「秋の味覚」が限られる。

サンマが無い。
松茸も無い。

ああ、秋にサンマを食わずして、何の日本人たるや!


しかし、フランスには「秋の到来を告げる」物が有ります。

そう、芳醇なる香り、馥郁たる香り、とともに秋を運んで来る『ワイン』です。


11月の第三木曜日は『ボージョレー・ヌーヴォー』の解禁日。

江戸時代の庶民に取って、「初鰹」が縁起物であったが如く、フランスで「ボージョレー・ヌーヴォー」無くして、秋がくるけえ、ってなもんだ。



と言う訳でもないのです、実は。



確かに、ニュースで一言は触れます。

しかし、世の中、重要な事、深刻な問題、嬉しい事や悲しい事、社会を揺るがす出来事や、人生を見つめさせられる事、などが山ほど有る訳です。

それに比べりゃあ、「安酒の新酒」なんて、たいした事では無い。



とは言うものの、やっぱりフランスも秋の到来とともに、美味い物が世にドット出て来る。

その中にあって、ワインは正に仕込みの真っ最中で、人様の口に入るのは、早くて半年後、もしかすると10年後、なのです。


ワインは、人間と同じで、生まれたばかりでは、物にならない。

大切に育て、躾を施してやって、始めて人様の前に出せる様になる。

ただ、ボージョレーだけは、造って直ぐ飲むのです。

だから、秋の味覚。



     
     「朝日と霧とともに葡萄畑は秋を迎える」


今、この時点でワインの生産地に行ってみると、畑はかくの如し。

秋口の霧が、摘み取った後の葡萄の樹々の上に、深く広がって来ます。


ひと月ほど前に収穫された葡萄の果実は、醸造所で発酵が終わったばかり。

摘み取った葡萄の房は、コウ(木ヘンに更)から<実>を取り外し、果皮を少し破った状態で「発酵タンク」に送られます。


     
     現在は、このようなステンレス・タンクで発酵させます。


発酵と言うのは、酵母が葡萄の果汁の当分を分解する科学反応の事で、その過程で<アルコール>と<熱>と<炭酸ガス>とが発生します。

酵母は、28℃位で発酵を始め、33~5℃くらいが一番効率が良く、37度を超えると死滅します。
ほっておくとドンドン発酵温度が上昇するので、昔「木の桶」で発酵させていた頃は、温度管理が大変でした。
いまは、タンク内の温度はセンサーで常に把握し、コンピューターが管理しているので、35℃を越え始めると、タンク側面の鉢巻き状の帯野中に「冷水を流して」、温度を下げる様になっています。

タンク内は、炭酸ガスが発生するので、上部の蓋を開けておきます。
醸造所内にガスが充満して、事故死を遂げる様な事も、昔は多かった様です。


     
     タンク上部の開口部から中をのぞくと、発酵中の果実が見える。


タンク内部では、発生するガスが上に上がる為、潰された果実が上に押されて、発酵中の葡萄液の上部に「かさぶた状」に集まって来ます。

そのままにしておくと、発酵中の液体と果皮のコンタクトが少なくなり、色が移りにくいので、かき混ぜる必要が有ります。
現代は、タンクの下部に付いている<蛇口>から、発酵中の液体をパイプで抜き取って、上の開口部から散布する形で「撹拌」します。

その昔、木の大桶で仕込んでいた頃は、下半身裸の<オッサン達>が、上に乗って(ガス圧で沈まない!)膝くらいまで沈んだ状態で「足踏み」を繰り返して「かき混ぜて」居ました。


完全に葡萄の当分が無くなると、「えさ」が無くなって『酵母』は死滅します。
それで『一次発酵(アルコール発酵)』が終了。
そこまで1~2週間かかります。

そのまま、果皮や種が混じった状態で更に2週間くらい置いておいて、撹拌だけ続けます。
この時期を「醸し」と言います。

それで、あの「赤い色」と「タンニン」とを充分に抽出させます。

それで、出来上がった「赤ちゃんワイン」を熟成用の樽に移し、残りの「酒粕」で「滓取り焼酎」に当たる『マール』という蒸留酒を造ります。


     
     出来上がった新酒を取り出した後の「酒粕」
     これを『マール』と言って、それを煮出して蒸留して造る焼酎も『マール』と言う。


この時点でのワインは、まだまだギスギシして、シブいだけの「飲めた代物では無い」状態です。

それを樫の木の樽に移して、冬を越す頃、樽の中で果汁の元々含まれる<リンゴ酸>が、微かに残ろ酵母に依って<乳酸>に変わります。
その過程を2次発酵、又は『乳酸発酵』といい、それを経て始めて、まろやかさのある「飲めるワイン」の誕生となる訳です。

     
     ブルゴーニュ独特の『カーヴ』と呼ばれる地下室。

後は、直ぐ所品として出荷する安いワインから、この状態で2年くらい熟成させる「高級ワイン』まで色々有るのです。
「樽熟期間」は、ワイン中の各種有機物やアミノ酸や酵母の残骸等が『澱』を造り出すので、3ヶ月毎に「上澄み」を別の樽に移し替える「清澄作業」が必要となります。

安いワインは、含まれる成分が「単純」なので、長期間熟成させる<必要>も<理由>も有りません。
樽に入れておくと、樽の<木>のタンニンに負けてしまうので、ステンレス発酵桶のママで、ボトリングまでを過ごします。

高級ワイン、いわゆる『銘醸酒』と言われるものは、ボトルに移した後も、瓶内熟成を経て10年以上の時間が、深みと奥行きとを持ち、複雑にして玄妙なる、馥郁とした味わいを造り出します。


さて『ボージョレー』です。


パリから南に3~400キロ南に広がるブルゴーニュ地方に含まれ、南側の部分です。

その辺りは、名高い『ブルゴーニュ』の銘酒を生み出す土壌とは違って、どれだけがんばっても、大したワインにはならなかった土地でした。

「性格が弱い」ワインと言うのは、長期保存や長距離の輸送には耐えないので、現地で消費されてしまう、と言った種類のワインでした。


最大の消費地が、もう少し南に下った大都会『リヨン』だったのです。

今と違って、情報に限りが有った時代は、「ボージョレーのワイン」など、人々に知られてもおらず、パリの人がリヨンに行って、「何やら土地っ子が自慢してる」テーブルワインを飲んでみたら、これが結構いける、と言う事になったのです。


何しろ、長期熟成に向かない「弱い性格」のワインは、出来ると直ぐに飲まれる訳です。
そうすると、逆に「フルーティー」さが溢れた、非常に「フレッシュ」なワインである訳で、パリの人々にはそれが「新鮮に」受け取られたのです。

そのうち、パリまで持って行って飲まれる様になって行きます。

安くて美味い。


他の一般的赤ワインとの大きな違いは、「早く造って早く飲んでもらう」事。

従って、早く発酵させ、短期間で充分色素を抽出出来る様に、果実を砕きません。

タンクに入れる際のショックと、自重で少しだけ潰れた状態で、一気に発酵させる為に圧力を掛ける。

つまり、発酵タンクの上部の蓋を解放しないのです。

その為、ひとたび発酵が始まるや、果実の内部で発酵し始め、タンク全体も「ガスに逃げ場が無い」事で全体に糖分の分解する速度を早める結果になるのです。

しかも、ちゃんとん色素が抽出されやすい。
2次発酵も同時に起こる。

と言う製法が確立した事に依って、他の地方のワインが、未だ2次発酵も起きていないうちに、出荷出来る様になりました。

そうすると、戦前の「古き良き時代」から戦後の狂乱期に、いかに早くボージョレーを飲むか、と言う競争が起こりました。

主に、ワインへのあこがれが大きいイギリスの「数寄者」達のあいだで、生産地から、ロンドンまでいかに早く運ぶか、と言う事が多いに好奇心を引き起こし、当然賭けの対象にもなり、大流行りになったのです、

戦後は、一部の連中の間ではお祭り騒ぎとなり、あれこれ必死で「列車時刻表」を調べて、如何に効率よく早く列車で運ぶかを自慢する。
そのうち『フェラーリ』をロンドンまで200キロで飛ばして、運ぶヤツも出て来る。
ヘリをチャーターして運ぶ。


どんどんエスカレートして行って、きりがなくなり、それ以上も無くなって来た。

そんな事は、一般のフランス人達は関係ない出来事であったのですが、「早飲み競争」の激化に、トラブルが発生しない様、政府が「生産と出荷」とに一定のルールを定める結果となったのです。

まあ、大げさに言えば、そのような具合で「11月の第3木曜日」以前には出荷してはいけない、事と相成りました。

お祭り好きと「フランスの事」に能書きを言うのが好きな日本人達が、早速これに飛びつき、バブルとともに輸入量が飛躍的に増え始めた頃から、特例として『輸出用』だけは、輸出相手国での消費が規定の日時以前に行われない事、を条件に「先に出荷する事」が認められるようになり、『日付変更線』のお陰で、日本が世界で一番早く『ボージョレー・ヌーヴォー』が飲める、という事で、大きな宣伝になった様です。


まあ、時期物、初物、という事以外に対した意味は無いワインでは有りますが、ボージョレーのお陰で、ワインに対する認識が深まり、かなりの日本の人達の間で、ワインが日常化した結果を生んでくれました。

その意味で、有り難い事では有ります。


「酒に能書きなど不要!」


秋の夜長に、ボージョレーで、日頃の政府への不満を引き飛ばしましょう。

「サケは世間の憂さを払う玉箒」と申します。


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ノルマンディーの至宝『カマンベール』

2008-12-10 02:51:04 | グルメ
<フランスの食材>と言えば、ワインとチーズ。

どちらも、質量共に世界に類を見ない豊かさです。

今回は、その『ノルマンディー地方』と『カマンベール』の間の秘密を、お伝えしてみようと思います。

<海岸では漁業、内陸では酪農>

『西ローマ帝国』を滅ぼしたゲルマンの諸部族のうち、最後のゲルマン人の移動、「北方ゲルマン」(いわゆるヴァイキング)の南下により形成されたのが『ノルマンディー公国』です。

ところで、西ローマ帝国の崩壊時に<蛮族>相争いながら土地を求めて移動し、定着して地域性が形成されつつあった頃、遅れてやって来た北方ゲルマン人ヴァイキングに残されていた土地は、およそ魅力的とは言いがたい森とやせた石灰層の土地で、農耕には全く不向きでした。

海岸に定着した彼らは、元々の技術で海の幸を求めて暮らせましたが、一歩内陸に入ると、放牧して暮らすしか術は有りませんでした。(最も彼らにその時、農業の技術も無かったのですが)。

ヤギと豚と羊から、だんだん乳牛にウエートが移り、ジャージー種(いまだにイギリス領の島原産と言われているベージュの肌の牛)から、焦げ茶の斑点を有する『ノルマンディー種』の牛が発生し、酪農が土地の重要な産業になって行きました。

酪農と言えば、ミルク。そして、バターと生クリームとチーズです。

ノルマンディーはチーズの宝庫。
『ポン・レヴェック』、『リヴァロー』、『ヌーシャテル』等、世界中にその名を轟かせているチーズが目白押しです。

それらの中でも、ノルマンディーと言えばやはり『カマンベール』。
もはやフランスを代表するチーズと言えるでしょう。

<チーズの成り立ちをもっと良く知ろう>

『原産地呼称管理法』APPELLATION D’ORTIGINE CONTROREE、のシステムをご存知でしょうか。

ある土地の、歴史と伝統から生み出されて来た特産物の、製品としての価値とその信用性を守る為に、生産地名をその製品名として名乗る権利を法的に擁護し、ほかの類似品にその名前を名乗らせない様に、規制する法律です。頭文字を取って<AOC>と表記されます。

特に、土地の固有性が製品の個性に大きく左右する農作物に多く使われ、代表的な物が、ワインとチーズです。

例えば、シャンパーニュ地方の法的規制された限定地域内で、土地特有の石灰質の土壌と気候との元で育った、特定種の葡萄を原料に、伝来の厳密なプロセスで製造された発泡酒のみが、シャンパーニュ(シャンパン)と名乗る事が出来るのです。

生産コストが安い(!)というだけで、韓国で作らせた紬織りを『大島紬』と大書して販売する日本の現状は、それを生み出し育んで来た奄美大島と、土地の人々と、その歴史への冒涜と言えるでしょう。

『大島紬』とは、奄美に生きる人々が代々伝わる手法により、土地の原料だけを使用して製造した特産物で、今の日本の流通業のやり方は、奄美が歴史と島民の生き方が生み出した『知的財産』の侵害であり、経済的被害どころか、その土地の否定に繋がることになりかねません。

A.O.Cのチーズも同じです。

チーズは元来各農家で、親父から教わったやり方で、細々と作っていた換金作物でした。
各村や町はおろか、各農家ごとに独自に(自分勝手に?)作り、色、形、味、香りそれぞれに異なっていたはずの物だったのです。
現代のような「細菌学」も「発酵学」も存在せず、バクテリアによるタンパク質の分解プロセスも知らず、ただ経験とカンと習慣とその家の言い伝え、だけで作られていたのです。
市場での売れ行きが良く、人気があっても、その村と周辺だけの消費にとどまっている程度の産物でした。


<カマンベールの成り立ちは意外な事に・・・>

技術や知識の社会的蓄積や、流通等が発達していなかった時代において、技術革新に励み、そのノウハウの蓄積がなされていた唯一の場所は、修道院でした。
葡萄栽培や、発酵プロセスの技術の発展も、広大な領地を有するそれらの修道院の管理下に有りました。

そこへ革命が勃発します。

特権階級の特権の廃止、修道院の領地の細分化と競売が行われ、農村は一挙に農奴制から自作農制へと移行し、同時に彼らの特権であった「知識」も流出して行きます。

ワイン生産技術もそのうちの一つで、一気に国内に広がり、同分野でのフランスの他のヨーロッパ諸国に対する優位性が確率するに至った訳です。

チーズも、その例に漏れませんでした。

シャンパーニュとブルゴーニュの境にほど近い町『モー』のある修道僧が数人、僧院を追われて逃避行のさなか、ノルマディーの小さな町ヴィムーティエで途方に暮れているところを、マリー某という町娘に献身的に匿われました。
修道僧は、親切のお礼に、モーの修道院秘伝のチーズ、ブリーの製法のノーハウを、マリーに残します。

彼女は数年後、近くのカマンベール村の農家「アレル家」に、そのチーズ造りのノーハウとともに嫁ぎます。
そう、これがカマンベール・チーズの生みの親、マリー・アレルの物語です。

その孫娘が、鉄道の開通式に臨席した皇帝ナポレオン3世に、アレル家自慢のチーズを献上し絶賛を浴びます。
時の権力者の賞賛を得た事と、産業革命のシンボルである鉄道の誕生とそれによる流通の拡大という、まさに時代の波に乗って、カマンベールはナショナル・ブランドにのし上がって行きます。

前述のA.O.C.の法律にのっとって、<CAMANBERT DE NORMANDIE>と表示して出荷出来るカマンベールは、以下の説明にある行程を経て、特定の地域で生産されます。
ただこのチーズは、同法律が制定されるよりずっと以前に全国的に有名になり、大メーカーが各地で工場生産していたため、ノルマンディー圏外での生産とその販売の中止を求める事が不可能でした。そこで、一般的な加工品は<CAMANBERT>とだけ名乗る事は認められたのでした。

A.O.C.の権利を有する生産者は、所在地により指定されており、それ以外の生産者は、ノルマンディー内で意欲的に丁寧に手作りしても<CAMANBERT DE NORMANDIE>とは名付けられません。そういう生産者達は、<CAMANBERT FERMIER (農場製)>と銘打って出荷している現状も、知っておくべきかもしれません。

ちなみに現在、カマンベール村は人口わずか200人、牛の数のほうが確実に多い、眠った様な静かな村です。
その名称が村の名前に由来するこの有名なチーズを、実際に造っている生産者は、しかしながら村にただ一人。
まだ40代の、フランソワ・デュランさんは、この静かな土地がすっかり気に入り、住み着いてチーズ造りを始める様になって、まだ10年余。しかし、伝統の製法を厳格に守り、徹底したこだわりのもとに製造しています。
生産量に限りが有るためなかなかお目にかかれませんが、
<CAMANBERT DE NORMANDIE FABRIQUE AU VILLAGE DE CAMANBERT > FRNACOIS DURAND
(カマンベール村内生産のカマンベール・ド・ノルマンディー)フランソワ・デュラン
という堂々とした金色のラベルには、彼の誇りが伺えます。勿論マリーの肖像も!
口に含むと、濃厚なミルクの味わいが広がり、飲み込んだ後までも尾を引き、そのコクに思わず微笑みがこぼれる事請け合いです。

なおヴィムーティエの町にはカマンベール博物館があり、昔ながらの道具類が展示され、製造過程が分かりやすく説明されています。また、世界中で造られているカマンベール(!)のラベルのコレクションも必見です。
町役場の前の広場には、青銅の「牛」の彫刻が堂々と立っており、かのマリー・アレルがその横で静かに微笑み佇んでいます。



<<カマンベールの出来るまで>>

チーズと一口に言っても、実に様々なタイプが有ります。

まず、原料別に4種類に分かれます。

1)牛のミルク (ヴァッシュ)
2)ヤギのミルク (シェーブル)
3)羊のミルク (ブルビ)
4)それらの混合
イタリアのモッツアレーラは本来水牛のミルクで造りますが、これは1)のヴァリエーションです。

次にミルク自体の違い。

ア) しぼったままの、無殺菌状態の元乳で造るタイプ (LAIT CRU)
イ) 低温殺菌(60~70度)で殺菌したミルクのタイプ (LAIT PASTEURISE)
ウ) 脂肪分(生クリーム)を取った後や、別のチーズを造った後の絞り汁の、
脂肪分の薄い液で造るタイプ (PETIT LAIT)

当然、ア)が一番おいしい。ところが、この製法を、EU委員会は禁止しようとしている!
高温殺菌(120度!!)の長期保存用の工業製品ミルクを使わせようとしているのだ。それだと、大量生産の工場製チーズと一緒くたになってしまう。

美食大国フランスの文化が、たいしたチーズを造っていないEUの他の国々のやり方に、飲み込まれてしまうかも。。。(どこの世界でも、官僚の想像力の無さには情けなさを通り越して、ただただ悲しくなるのみ。。。)

最後に、熟成方法の違い。

あ) 造って直ぐ食用になるタイプ。いわゆる英語圏で<カッテージ・チーズ>と呼ばれるものがそのタイプです。
フランス産ですと、フロマージュ・フレ(FROMAGE FRAIS)と呼ばれます。
リヨンの周辺では、『フィッセル』と呼ばれて、刻んだアサツキを添えて供されたりします。
い) 表面にカビを付けて、短期間(数日~数週間)熟成させるタイプ。柔らかいのが特徴です。(テンダー・タイプ)
う) 熟成期間中、アルコール(コニャックやカルバドス等産地によります)で何度か表面を拭いて、カビの状態を促進させる   タイプ( ウオッシュ・タイプ・チーズ)
  ノルマンディー産なら「リヴァロー」等。
え) 長期熟成(1年~数年間)させるタイプ。山岳地法に多い製法です。一般的に大型で、固い、ハード・タイプ。
  トムとジェリーのジェリーがだいすきな、穴ぼこだらけのチーズ(多分グリュイエールですね)はこのタイプになります。

カマンベール・チーズは、分類すると、無殺菌生牛乳で数週間熟成のテンダー・タイプにあたります。

生産農家の一日のプロセスは、次の通りです。

1) 早朝6時頃からミルクを暖める作業で、一日が始まります。前の晩に搾乳し、12度Cで保存したミルクを32度まで暖め  て、乳酸菌を加えると発酵が始まります。
2) 遠心分離機で乳脂肪分を20%取り除きます。
3) 仔牛の第四胃から採集した凝乳酵素を添加します。
4) 100リットル入りの容器内で凝固した状態(カード)に、薄いジュラルミンのへらで縦横に切れ目を入れます。
5) 直径11,5cm 高さ13cmの筒に、大振りのおたまで一掬いづつ入れて行きます。
6) 1~2時間置きに、同じ作業を3~4回繰り返すと、筒が一杯になります。
7) その間、水分(脂肪分の抜けた薄いミルク)が少しづつ抜けて行きます。さらにその筒を上下ひっくり返します。
8) ひっくり返す事5回、最後のお玉一杯を入れて1~2時間後、筒からはずす頃には既に夜の8時を廻っています。
9) 最後に塩を振り、カビを付け(ペニシリンの一種の白カビです)、3週間以上熟成させます。
  その間も、温度管、風の通し方、ひっくり返すタイッミングのはかり方等々、かかる手間ひまは膨大です。

熟成完了後、紙でくるみ、経木の丸い箱にいれると、おなじみ『カマンベール』チーズの誕生です!

さあ、心して頂きましょう。一杯の赤ワインとともに。

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中央市場探訪記 3

2008-11-18 05:08:19 | グルメ
ご好評(?)に付き、<中央市場ランジス>の探訪を続けましょう。

前回<季節柄>という事で、<キノコ>をご紹介しました。
今回は、引き続き<青果>なので、あまたの売られている商品の中から、あまり日本ではお目にかからないものを取り上げてみようと思います。


こんなの見た事有りますか?

これは<根セロリ>と言います。


葉っぱ付きだと、<セロリ>だと解りますよね。。。

これは、いわゆる茎を食べるのでは無く、あくまで<根っこ>を食べるのが前提、のセロリなのです。

この<鬼のゲンコツ>みたいなヤツを、茹でて、千切りにして、マスタードを利かせたマヨネーズ・ソースで和えて食べます。
ゴリゴリした食感ですが、味はまごうかた無き『セロリ』そのもの。

フランスの、一膳飯屋みたいなレストランの<定番>の前菜に、『クルディテ』というものが有ります。
生の<ニンジン>の千切り、スライスした<キュウリ>、角切りの<ビート(甜菜=砂糖ダイコン)>、同じく千切りの<紫キャベツ>等と共に、この<根セロリ>の千切りを合わせ盛りにして、ドレッシングを掛けただけ、という一品です。
学食や社食でも必ず<定番>のはず。

新鮮な野菜をモリモリ食べる時、欠かせない食材です。


これは<黄ブロッコリー>です。

一見ブッキー(古い?ブキミって言いたい)ですが、最近出回り始めた、ブロッコリーの一新種。
食べ方は、旧来の<ブロッコリー>と全く同じです。
色目がいいので、サラダに映えますネ。

所で、いわゆる『フランス料理』という<レストラン料理>には、実は<スープ>は有りません。

スープとはそもそも<家庭料理>である。
造るのに手間がかかる割に、値段は安いので、<客単価>があがらない。
先にスープを食べてしまうと(飲むとはいわない!)、お腹が張って、料理があまり食べられなくなってしまう。
安い一膳飯屋のイメージ。

等が主な理由なのですが、でも秋口から冬の間は、スープも復権します。
特に<カボチャのスープ>は定番カモ。


写真では<大きさ>がよくわかりませんが、直径50センチ以上は有りそうな<ドテカボチャ>。

フランスの八百屋で数少ない<切り売り>する野菜の一つです。

ただ、<カボチャ>は観賞用というのが有って。。。



何とも不思議な形、例えば<クラゲ型>だったりとか、<イボだらけ>やら、<水玉模様>や<シマウマ柄>なんてのが、時々家庭のデコレーションとして、サイドボードの上や、玄関の靴入れ戸棚の上等に飾られています。



カボチャと言えば、こんなのも。
『ヒョウタンカボチャ』
ウリとカボチャの中間種。

ところで、日本人が見て首を傾げ、なんだか聞いて頭を抱えるのがこの野菜。



これは<ダイコン>です!

この写真のは、洗ってあるのか色がやや薄いですが、もっと<真っ黒>なのも。。。
でも中は白いのが不思議。

近年、中国野菜がこちらでも栽培される様になり、『白菜>等と並んで、<白いダイコン>もそれほど入手艱難では亡くなりました。
しかし以前は、この『黒ダイコン』を剥いて<大根おろし>を作った物です。
中は白いけれど筋だらけ!!


それにしても、<所変われば>とは申しますが。

和食には欠かせない、ごく当たり前に存在していて、その有り難みも忘れがちな物の一つが『ネギ』でしょうか。
フランスは、和食を作る材料はかなり何でも手に入るのですが、絶対にないものが、日本風の<ネギ>なのです。


これは<ポワロー>

日本で俗に<ポロネギ>と呼ばれています。
どう違うか、といいますと。

先ず、<筒型>になっていないのです。
ですから、下手すると中に砂が入っていて、どうしようもない事も。
それより決定的なのは、<香り>が無いに等しい。

固いし、美味しい『ヌタ』が作れません!
ネギのみじん切り、も繊細さに欠ける。。。

フランス料理では、それこそ冬の家庭料理の<野菜のスープ>の、中心素材。
夏は、<ブイヨン>で茹でて、クタクタになった状態で、冷たくしてビネガーを掛けて食します。
それはそれで、夏の風物詩としては美味しいですよ。

面白いのは『ニンニク』の売り方。


<三つ編み>状態。



その<三つ編みのニンニク>を鴨居から吊るして、ダイニングルームの室内装飾にしてある事も良く見かけます。


所で、これな~んだ?


これは『ルーバルブ』と言います。
日本語では『大黄(だいおう)』と呼ばれて、漢方薬の薬草として知られています。

昔から田舎では、他の菜っ葉や前述のポワローなどと一緒に煮潰して、野菜スープ(ドロドロの)にしたりします。
それ自体はやや<酸味>があり、その酸味を生かして、砂糖で煮込んでジャムにもなります。
懐かしい、昔の味。


そろそろ<果物>もご紹介しなければ片手落ち、と言うものでしょう。


『フィッグ・ド・バルバリー(=北アフリカのイチジク)』

と呼ばれている、『団扇サボテン」の実です。
当然皮を剥いて食べるのですが、さっぱりした甘みで、<ドラゴン・フルーツ>に似た味。

モロッコ等では夏場から市場に山盛りに売られていて、皆<露天>で皮を剥いてもらってかぶりついています。
モロッコの田舎の国道沿いに、延々と何キロにも渡って<団扇サボテン>が並木のごとくに植えられていて、一斉に実を付けている様は、とってもエキゾチックです。
やや離れて見ると、『ミッキー』が群れを成しているようなシルエット!

それから、季節を問わず、ヨーロッパ人が大好きなフルーツが、いわゆる<ベリー>類。


定番の『フランボワーズ』

日本語は『木いちご』。
英語で<ラズベリー>と言いますね。
フランス人は、大人も子供も大好き。
大盛りにホイップクリームを乗っけてだ出せば、立派なデザートです。
フランボワーズのタルトも定番中の定番。



<ベリー各種>取り合わせ。

高級フルーツ店にそのまま出せるようなプレゼンテーションです。

そろそろ晩秋の日本で、伝統的果物と言えば、『柿』ですね。
日本の秋は、<柿>が無いと始まらない。
洋風のフルーツの氾濫に押されて、やや肩身が狭い思いをしているのでは、、、と遠くから心配しております。

その<日本の果物を代表する>柿が、何とフランスにも、ちゃんと有るのです。


その名も<KAKI>

なんと、カキがフランス語になっています。
しかも、<エキゾチック>な物ではなくて、秋の八百屋さんには普通に出回る、<普通の>フルーツなのです。

あなたが冬場のコート・ダジュールにいらっしゃらば、ニースの後背地の村々で、あちこちの家の庭先に、摘み残りの柿がたわわに残っている光景を目にする事でしょう。

『トンボ柿』のような、やや縦長の種類で、実は<渋柿>なのです。
柔らかく熟す迄待って、とろとろになって甘くなった所を食べます。

南仏の、気の利いたレストランでは、<柿のシャーベット>なんてのも、出してくるかも。

いかがですか。
フランスの市場は、面白いでしょう?



9棟もある大きな建屋の夫々の中は、中央の通路を挟んで両側に、こんな感じの<卸商>のブースが並んでいます。
その狭い中央の通路は、売り手、買い手、台車、フォークリフトに自転車までが右往左往して、でも少しも騒がしい事は無く、静かに活気に満ちています。

一棟しか無いのに、世界第二の売り上げ、『築地市場』の半分の売り上げ高を誇る<鮮魚>のセクションをご報告出来なかった心残りを秘めながら、3回にわたって続けました、『パリ中央市場ランジス』の訪問記は、これでおしまい。

またいつか。
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パリの胃袋<ランジス市場>探訪記 2

2008-11-12 07:47:45 | グルメ
前回に引き続き、<パリの胃袋>中央市場ランジスをご紹介しましょう。

その前に、かってのパリ中央市場<レ・アール>の跡地は、70年代初頭の<ポンピドウー大統領のパリ再開発>の一環で、<地下ショッピング・センター>と、プールその他パリ市の施設、および公園に姿を変えています。



ここは、地下5階が<郊外高速鉄道>のターミナル駅、4階から上がショッピング・モールなのですが、かなりユニークなのです。
それというのも、日本と違ってスペースにゆとりの有るフランスは、本来<地下街>を造る必要性がないのです。
そこで、彼等は<地下にも太陽>を求めた!

つまり、、内側をガラスで囲った逆ピラミッド型にすることで、地下でも<自然光>が入る。



出来た当時は、パリでも最も<イケてる>ところで、日本で言うと今の東京の<六本木ヒルズ>みたいな所でした。

70年代から80年代にかけて15年間くらい、建築家、ショッピング・モールのデザイナー、都市開発の行政当局、ゼネコン、ショッピング・モールの経営団体、等日本から多くの<視察団>が訪れたものでした。

その敷地に隣接して、『サン・トウスタッシュ教会』があります。
数世紀間、変わらず見続けて来た<レ・アール>が移転して、心なしか寂しそうです。



教会内の小祭室に、『レ・アールの引っ越し』という題の彫刻群が飾られていたのが、印象的でした。




では、またランジスに戻りましょう。

パリ首都圏のみならず、ヨーロッパ各地から買い付けに来るこのランジスは、千八百万人の胃袋を満たしています。
毎日の入荷が百六十万トン。
毎日、搬入搬送をふくめて二万六千台のトラックが出入りし、二万人のバイヤーが訪れます。

そんなランジス市場のなかで、もっとも規模の大きいセクションが<青果>です。
つまり、野菜と果物。



このような建屋が、なんと9棟(!)も立ち並んでいるのです。

中に入ると、両側の<卸業者>のブースの前には、それこそ<世界中>からもたらされた、ありとあらゆる<青果>が並んでいます。



今の時期は、何と言っても<キノコ>です。


秋の味覚の最高峰が、この『セップ』茸。

日本人が『松茸』をありがたがる様に、ヨーロッパ人は『セップ』をことのほかありがたがります。
日本では、なぜかイタリア語の<ポルチーニ茸>で通っているようですが。。。
この写真は小型ですが、大きいセップは、七人の小人のお家そっくり。
なぜか目からウロコです。


これは日本ではお目にかかれないかも。
クロ茸。

正式名称は、何と『死者のトランペット』と言います。
全身黒ずきんの<死神>が吹き鳴らすラッパみたいに細長くて黒いから。。。
これを干したものは、えも言われぬ芳香が漂い、椎茸以上にいい出汁がとれます。


これは『ジロル茸』。

ステーキの赤ワイン・ソースの付け合わせには欠かせません。
バターでいためても良し、クリーム煮にもよし。


これは、『ヒラタケ』の一種。

とってもポピュラーなキノコで、秋のお料理の付け合わせに、頻繁に登場します。

今回はこれくらいにして、続きはまた次回。
お楽しみに!
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パリの胃袋を担う<ランジス中央市場>探訪記 1

2008-11-09 05:46:49 | グルメ

エミール・ゾラの『パリの胃袋』で曰く。
「<レ・アール>では全てが売られている。女まで!」

パリのド真ん中に、かって中央市場が有りました。
そのものズバリ、<市場>と言うイミの言葉『レ・アール』と呼ばれていました。

あらゆる食品が飛び交い、周りには美味しいステーキや魚料理で名を成すレストランが取り囲み、運搬人や売り手や買い手が入り交じり、その道の女性達が立ち並んで、みな24時間フル回転で活気に富んでいたそうです。

しかし、その場所に何世紀もの間続いて来た市場は、無秩序に混雑し不潔で、そこに住むネズミは犬より大い(!)とまで言われておりました。
朝から晩迄物資を運び込むトラックその他の車両がひしめき合い、戦後は既に二進も三進も行かない状態になってしまっていたのです。

ついに1960年代には、バルザックが讃えたさしもの<パリ名所のレ・アール>も、さすがに不評になって来ました。

そこで、都会と<市場>は共存しない。「中央市場は郊外に移転」という事になったのです。

場所の選定は、まずアクセスの容易な所。
搬入にも、販売にも、搬送にも便利な場所を。

パリに隣接する近さで、陸と空からのアクセスが便利で、、、という事で、パリの南8キロ(パリの出口から4キロ)の<オルリー空港>に隣接する、ランジス村が選ばれました。

高速道路はすぐ横を通り、鉄道線も引き込めて、便利な事この上なし。

あらゆる物資流通の一大拠点を造ろう!

大号令のもと、1969年、<食肉>が最初に移転終了で開業。
その後も<青果><鮮魚><生花><酪農品>などの各セクションが順次移転していって、『パリ中央市場ランジス』が開業したのです。


その<ランジス市場>を訪れてみましょう。



朝まだき、眠い目をこすりながらパリを出て、高速を10分も走ればもう到着。

何と、<高速道路の料金所>のようなゲートが霧の中に出現。

バイヤーは年間パスを持っていて、ヴィジターは入場費を払って、市場内に入ります。

場内は235ヘクタールもの敷地で、何と東京ドームの80倍!

早朝1時半に始まり、5時半まで続く<鮮魚>のセクションから始まり、5時から9時迄<精肉>、8時から11時迄<青果>と続き、11時から14時迄<生花>で締めくくり。
閉まる程に、清掃と、次の日の搬入と続いて行きます。




赤で示されたのが<精肉>の建屋群、黄色が<乳製品>、青が<鮮魚>、緑が<青果>、そしてピンクが<生花>です。

その他レストランが20数件、銀行も20数行、そして、動物検疫と植物検疫の出先、さらに税関、レンタカーのオフィス、ガソリンスタンド、旅行代理店等々。
ゴミ焼却場と、製氷工場まで有ります。

さすがに<鮮魚>はもう閉まっておりましたので、<精肉>のセクションを訪れてみました。



とりあえず中に入ると、いきなりコレです。

ちなみに<精肉>のセクションは、<赤肉><白肉><家禽><臓物>に別れます。
『赤肉』とはその名の通り<赤い肉>、すなわち<牛>と<羊(子羊)>です。
『白肉』はこれまたその名の通り白い肉で<仔牛>と<豚>。
『家禽』はチキンとウズラ、食用バト、鴨等。



このランジス市場は、築地など日本と違って、いわゆる<セリ>は有りません。

どのセクションも、夫々<卸業者>のブースが並んでいて、店舗に並べられた<商品>を見ながら、売り手と買い手で値段の交渉をする、『相対(あいたい)取引』システムなのです。



売れたばかりの<枝肉>や<ブロック肉>を、まとめて吊るして<配送待ち>。


<精肉>はそろそろ後片付けを始めていたので、まだ取引の続く<乳製品=チーズ>の建物の一つに移動。



フランスは、<チーズ>は質量共に世界一。
700種類くらいのチーズが、常に流通しているそうです!



それにしてもでかいのは、アルプスの『エメンタール』
何しろトラックのタイヤくらいも有り、一個の重さが70キロ!


一人では持てない。。。

両側に並ぶ卸商のブースの前には、ありとあらゆるチーズが積み重ねてあります。


東部フランス『ロレーヌ』地方の、牛のミルクの『トンム・ド・ロレーヌ』です。

ちなみにチーズは、<牛乳製>と<ヤギ乳製>と<羊乳製>、さらに<水牛乳>なんてのも有って、それらのミックス製も有ります。


ピレネー地方の<羊>のチーズ、『ポーリネトワーズ』
どうです、美味しそうでしょ?

続きは次回。
お楽しみに!

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美味しい国フランス <至福のマリアージュ>

2008-03-05 06:31:37 | グルメ
フォーションの『塩味ゴーフレット』と<シャンパン>のマリアージュ(組み合わせの妙)について。

先日、愚妻が所用で日本に行って、その帰りのエール・フランスでたまたまビジネス・クラスに乗った時の話です。
食前のおつまみに、<フォーション>のビスケット(塩味)とシャンパンが出されたそうな。
「その取り合わせの何と美味しかった事(!!)』
と叫んでおりました。
小さな薄いビスケットが十枚くらいしか入っていない小袋と、小型のガラスのコップに一杯の(安!)シャンパンの取り合わせの、あまりの美味しさに、もっともっと欲しくて、<機内食>なんかいらないから、ただただ<それ>だけ食べていたかった(!)、とのたもうておりました。

たまたま今日<フォーション>の近くを通ったので、探してみたら、ありましたね。
『GAUFRETTES AU SEL DE GUERANDE』という名前でちゃんと<大箱>で売っておりました。
直訳して、<ゲランドの塩の薄焼き>。



直径2センチくらいの、ごく薄い、ちょうどポテト・チップスのような升目模様入り。
食べてみると、<塩味>なんですが、これがそこはかとないバターの香りと共に、名産地『ゲランド』の塩入バターで生地を練って作られている事が、口中全体に広がる上品な味わいで、伝わって来ます。



フランス北西部<ブルターニュ>地方は、ブリテン島から渡って来たケルト人が住み着いた場所。
未だに『ブルトン語』を保持していて、独特のキリスト教信仰と共に、魅力溢れる地方です。

北海岸線はリアス式海岸と荒海。
マルイーン(西語マルビナス)まで進出した<海賊>の拠点で、大航海時代は<ケベック>まで到達しました。
南海岸線は<大西洋>に面した穏やかな太陽に恵まれた地です。

その南側海岸地帯に、中世以来の城壁に囲まれた、小さな町が『ゲランド』



城門をくぐると、細い通りが行き交い、直ぐに中心をなす教会に至ります。
そして、<お塩>を売っている店があちらコチラに見られるのです。





それもそのはず、この町は中世以来の塩の生産で名高く、一端途絶えかかっていた製塩技術を、戦後若い世代の人達が復活させて、今では料理の世界では、『最高の塩』との称号を送られるまでになっているのです。



日本の水田の様な<塩田>を作り、海から引き込んだ海水を十センチ位の深さに溜め、高さの差が十センチくらいの十数枚の<塩田>を次々と流し送りながら乾燥させて行くのです。
最後は写真の様に長い取っ手の付いた<かき手>で片隅に寄せて行きます。

含まれるミネラル分が他に例を見ない豊かさで、そのため実に微妙なニュアンスの味わいと甘みや苦みを感じ、馥郁とした味わいの塩が取れるのです。
特に一番最初に乾燥を始める<泡>の部分を集めた物が、『FLEUR DE SEL(塩の華)』と呼ばれ、その豊な香りが珍重されて来ました。
最近は日本でも買える様になりましたが、有名フランス料理のシェフ達が使うこの塩は、1Kgで6800円くらいで売られている様です。



話を<ゴーフレット>に戻してみると、その<塩>味の薄焼きが美味しくない訳が無い。

というより、たかが<塩センベ>。
そして、ありふれた(失礼!)<シャンパン>。
もちろん、夫々美味しい事はどなたも異論は無い所だと思うのですが、その二つを組み合わせたときの<相乗効果=マリアージュ>の醸し出す効果たるや。。。
『ゲランドの塩』の持つミネラル分と、<シャンパン>の主成分たるぶどう『シャルドネ種』の独特のミネラル香とが、ピッタリ相まって、この<味>を生み出したのでしょうか。

ワインの分野で、<マリアージュ>と言う言葉を使います。
ブレンドの生み出す相乗効果のもたらす結果のことです。
まさしくこれが<マリアージュ>だ(!)と、愚妻はまだ横で叫んでおります。

ぜひご賞味ください。
コメント
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