竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
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水の地球すこしはなれて春の月  正木ゆう子

2019-04-03 | 今日の季語


水の地球すこしはなれて春の月  正木ゆう子


本句を鑑賞している文章を読むと、宇宙空間の一点から地球と月とを眺めている、といった内容のものが多いのだが、個人的には違和感を覚える。
宇宙空間から眺めて「水の地球」はわかるが、「春の月」はおかしい。
地球から眺めてはじめて月は「春の月」なのだから。
少なくとも、「春の月」という措辞から月の岩石ばかりの冷たい地表を連想する人はいないはず。
上五では月から地球を眺め、下五では地球から月を眺めている、と解釈すると詩としての美感を損なうことなく違和感は解消される。
この視座の変換のダイナミズムこそ、本句の大きなスケール感の源なのではないか。
「すこしはなれて」は、物理的あるいは視覚的距離というより、視座の変換の素早さの表現と読みたい。
あるいはSF的に、月旅行から地球に帰ってきた人の感想と考えると一番しっくりくるようだ。

(参照   https://ameblo.jp/brmedit/entry-12000107614.html】


ドヤ街に孤老の放吟春の月 たけし

鉄筆のガリの音だけ春の月 たけし

赤煉瓦ガス燈馬車道春の月 たけし

春の月自明の嘘をはばからず たけし

スキップに弾む吾の影春の月 たけし
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