竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

一角に藤棚残し地鎮祭 川村伊津子

2020-05-23 | 今日の季語


一角に藤棚残し地鎮祭 川村伊津子

私の家には3度の転居に耐えた
50年を超える藤の樹がある
20年前に作った藤棚が5年ほど前の強風で倒れて無残な形になった
それでも根と、息の一部を残したところ
未だに季節になると若葉が勢いよく茂っている
花も往年の勢いにはおよぶべくもないが咲いてくれる

藤は家族の来し方にしっかりと映っているのだ
掲句にひとさらの感傷を感じるのは私だけではあるまい
(小林たけし)

【藤の花】 ふじのはな(フヂ・・)
◇「藤」 ◇「山藤」 ◇「野藤」 ◇「藤棚」 ◇「白藤」 ◇「藤波」 ◇「藤房」 ◇「藤見」
マメ科の蔓性落葉木。山野に自生し、また観賞用として藤棚を作って栽培される。幹の長さ10メートル以上、他物にからみ、右巻き。5~6月頃、薄紫色または白色の蝶形の四弁花を長い花穂で垂れる。

例句 作者

いちやうに年寄る少女谿の藤 柳田芽衣
ひるすぎの背中に藤の余りたる 柿本多映
ふくらはぎの深さに藤の花咲けり 月野ぽぽな
ふるさとの井戸のくらがり藤散りこむ 桂信子
むらさきの風にしだるる藤の花 山川庫
丸太ン棒ころがっており藤の花 森岡洋子
人去れば藤のむらさき力ぬく 澁谷道
何も要らずして藤棚に潜り込む 立岩利夫
喪ごころに言葉こもらふ藤の下 文挾夫佐恵
女の心触れあうてゐて藤垂るる 桂信子
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