一角に藤棚残し地鎮祭 川村伊津子
私の家には3度の転居に耐えた
50年を超える藤の樹がある
20年前に作った藤棚が5年ほど前の強風で倒れて無残な形になった
それでも根と、息の一部を残したところ
未だに季節になると若葉が勢いよく茂っている
花も往年の勢いにはおよぶべくもないが咲いてくれる
藤は家族の来し方にしっかりと映っているのだ
掲句にひとさらの感傷を感じるのは私だけではあるまい
(小林たけし)
【藤の花】 ふじのはな(フヂ・・)
◇「藤」 ◇「山藤」 ◇「野藤」 ◇「藤棚」 ◇「白藤」 ◇「藤波」 ◇「藤房」 ◇「藤見」
マメ科の蔓性落葉木。山野に自生し、また観賞用として藤棚を作って栽培される。幹の長さ10メートル以上、他物にからみ、右巻き。5~6月頃、薄紫色または白色の蝶形の四弁花を長い花穂で垂れる。
例句 作者
いちやうに年寄る少女谿の藤 柳田芽衣
ひるすぎの背中に藤の余りたる 柿本多映
ふくらはぎの深さに藤の花咲けり 月野ぽぽな
ふるさとの井戸のくらがり藤散りこむ 桂信子
むらさきの風にしだるる藤の花 山川庫
丸太ン棒ころがっており藤の花 森岡洋子
人去れば藤のむらさき力ぬく 澁谷道
何も要らずして藤棚に潜り込む 立岩利夫
喪ごころに言葉こもらふ藤の下 文挾夫佐恵
女の心触れあうてゐて藤垂るる 桂信子
いちやうに年寄る少女谿の藤 柳田芽衣
ひるすぎの背中に藤の余りたる 柿本多映
ふくらはぎの深さに藤の花咲けり 月野ぽぽな
ふるさとの井戸のくらがり藤散りこむ 桂信子
むらさきの風にしだるる藤の花 山川庫
丸太ン棒ころがっており藤の花 森岡洋子
人去れば藤のむらさき力ぬく 澁谷道
何も要らずして藤棚に潜り込む 立岩利夫
喪ごころに言葉こもらふ藤の下 文挾夫佐恵
女の心触れあうてゐて藤垂るる 桂信子