本質を見抜く「考え方」中西 輝政サンマーク出版このアイテムの詳細を見る |
書名 :本質を見抜く考え方
著者名 :中西輝政
出版社 :サンマーク出版
刊行年 :2007/11/30
日付 :2008/03/12
定価 :1700円
入手法 :図書館
読書ペース/分:2.66P
評価:◎
今月 13冊目 今年 82冊目
【書抜き】
*むずかしいことをやさしく書くことのむずかしさに挑戦し、やさしく表現できたときにこそ、そのテーマはさらに一段と深まる。
*人は答えが出ないことに耐えられず、早まって誤った判断を下すことが多い。正しい判断のためには、しばらく答えが出ない「宙ぶらりん」の状態に耐える習慣づけが必要である。
*言葉の貧弱さとは、単に語学力や語彙量の問題ではありません。ひと言でいえば、「自分の言葉をもたない」ということです。自分の言葉をもたないということは、自分の考えを持たないということにつながります。言葉が貧弱だと、自分の「考え」も貧弱になってきます。
*いろいろと言い換えて「考え」に具体的な「言葉」を与える、しかも「自分」の言葉を与えることこそ、「考える」という作業そのものの具体化なのです。
*「むずかしいことをやさしく」表そうとすることで、考えは進む。またその単純で簡単な考え方こそが、実際の世の中では役に立ち、考えを人に伝えようとするときにも威力を発揮する。
*むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに。
*真理の核心、この世の本質は、パラドックスだと思います。そういう逆説の世界を愛する心をもたないと、一見無秩序で、どうなっているかわからないこの世界は、まったく読み解けません。互に矛盾するもの、パラドックスを愛せ。これが、ものごと深くを考えるときの大切な心得の一つです。
*外交の本質は、「早く見つけ、遅く行動し、粘り強く主張し、潔く譲歩する」ことです。情報はできるだけ早くキャッチして、検証に時間をかけ、あえて遅く行動するのです。交渉するときは、徹底的に「粘り強く」交渉しなくてはなりませんが、妥結の最後の感覚というのをつねに持っていて、そのときは潔く、ぱっと譲歩しなくてはならないということです。
*世の中には、永遠に答えの出ない問題もあるのです。「大事な問題ほど、結局、答えは出ないものだ」と見切りをつけることが、まずは大切ではないかと思います。
*「変わるもの」に目を奪われていると、もっとも大切なものを見失う。変化とは、まったく違うものに変化するのではなく、「不変であるもの」がつねに底に流れていると考えると、すべての状況が納得できる。
*便利に「整理された」事実や数字は見やすいかもしれませんが、自分にとって大切なことは、あくまでも自分の頭で考え、そのために、生のバラバラの事実や数字から「真実」を見出そうとするこだわりを身につけることなのです。
【コメント】
*正しいものの見方、考え方をするために大切なのは、他人の考えに染まらないでいかに「自分の頭」で考えることだと説く。国際政治学という専門分野で経験した実例をもとに一般にも通用する「ものごとの本質を見抜く考え方」を分りやすくやさしく表現している奥行きのある本である。