書名 :解決学 15の道具
著者名 :飯久保廣嗣
出版社 :日本経済出版社
刊行年 :2004/06/23
日付 :2005/08/24
定価 :1,500円
入手法 :図書館
評価:◎
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【書抜き】
*思考の道具
①問題の課題化
・たんなる状況でしかない問題を分析や行動につながる表現にすること
・つぎの行動がイメージできない、あいまいな表現を使わない
・問題の表現を単に言い換えるだけでは、実際の分析、行動につながらない
②分離・分解
・大ぐくりで漠然とした問題を、構成要素に分けること
・抽象的に表現されている状態を、具体的で処理しやすい部分に分ける
・大きな問題であればあるほど、「顕微鏡」で見るような視点で分離する
③優先順位
・複数の問題から、優先して手をつけるものを判断する
・重要度、緊急度、拡大傾向の三要素で評価して取り組む順位を決める
・優先順位を意思決定における判断基準と混同してはならない
④判断基準
・達成したい成果や制約条件にウエイトづけし、選択や決定の基準にする
・できるだけ幅広い見地から、多くの項目を列挙し、判断基準を確立する
・すべての項目を絶対条件と相対条件に分類する
⑤分析課題
・分析の対象となる項目を具体的な課題として表現する
・大きすぎる課題は分離・分解②の道具を使って具体化する
・「見直す」「検討する」など、あいまいな表現を使わない
⑥情報収集
・なんのために、どんな情報を収集するかを明確にする
・なにが(だれが)、どこで、いつ、どの程度---四つの次元で収集、整理する
・原因究明の情報収集は手順に従いシステマティックに行う
⑦原因の検証
・原因は発生した自称および比較対象と矛盾しないかどうかで消去する
・原因が事実関係に一項目でも矛盾する場合は真の原因になりえない
・原因の検証が甘いと適切な対策は打てない
⑧対策
・なんのために「対策」を講じるのか目的をはっきりさせる
・対策には、暫定対策と原因除去対策がある
・原因除去対策が非現実的な場合は適応対策もありうる
⑨決定事項
・いま、自分が何を決定しようとしているのか明確に表現する
・状況をばらして階段を下るだけでなく、上がって俯瞰する視線も重要
・戦略的発想には決定の次元をあげて考えることも必要
⑩選択肢
・解決策を考案する際も複眼思考を大切にする
・期待成果や制約条件をふまえて立案する
・立案に先立ち、原因分析が必要な場合もある
⑪マイナス要因
・意思決定する場合に、選択肢それぞれの負の部分を正しく認識する
・論理的な指摘と感情的な指摘を混同しない
・マイナス要因それぞれの発生確率、重大性を判断して意思決定する
⑫重大領域
・人間はリスクを伴う領域から逃れることはできない
・問題やトラブルが発生しやすい、危険な「領域」がある
・重大領域の分析によって、将来対策を重点的に構築することができる
⑬具体的な問題現象
・重大領域の認識と具体的現象は混同されやすい
・具体的現象を開示し、リスク対策のヌケ、モレを防ぐ
・起こりうる具体的な現象を列挙したら、発生確率、重大性で絞り込む
⑭予防対策
・リスク発生の原因をあらかじめ除去、問題、トラブルの発生度を低減させる
・日本人は比較的予防対策が得意である
・リスクの中には対策が講じられない場合もある
⑮発生時対策
・リスクの発生を完全に阻止できる保証はできない
・発生したときの影響を低減するコンティンジェンシーが最も重要である
・発生時対策を意識すれば、問題が発生してから混乱することは少なくなる
*情報は「集めてから考える」のではなく、「考えてから集め、そして考える」のです。これを肝に銘じるだけでだいぶ作業効率は上がるでしょう。
*技術は江家インですが、才能は磨耗します。生半可な知恵者で、自分は要領がよいと思い込んでいる人は、問題を前に大きな失敗を犯しがちとなります。普通の能力を持って努力する人のほうがよほど安心で確実だったりするわけです。
*大きな問題は「分けて」見る。ときには高いところから俯瞰する。
*決め打ち、思い込みは捨て、複数選択肢を用意する。
【コメント】
問題解決を正確かつ効率的にすすめることによって、誰もが豊かな人生を送れるよう「考えるヒント」を提供してくれる。具体的な実例にそった説明で読みやすく、しかも構成もしっかりしていて、いい内容の本だった。
「論理的な思考技術の基本は、思い込みと決めつけの排除である。」同感!