書名 :現場力を鍛える~「強い現場」をつくる7つの条件
著者名 :遠藤功
出版社 :東洋経済出版社
刊行年 :2004/02/26
日付 :2005/02/15
定価 :1,600円
入手法 :図書館
【書抜き】
*戦略とは所詮「仮説」にすぎない。戦略を具体的な戦術に落とし込み、実行していく過程で検証、軌道修正をしながら、粘り強く結果を出していくことが経営そのものである。
*企業活動の「影」ではなく、「実体」に目を向けよう。「強い企業」とは、競争戦略、オペレーション、リーダーシップの三要素の品質を高める努力を続けている企業である。
*正しい戦略を正しくやりきる。それが経営である。
*経営は「逆ピラミッド」で考えろ。正しいことを正しくやりつづけることこそが、競争力の本質である。
*「正しくやりきる」とは「当たり前」のことを全員が最後まできちんとやりきることである。
①結果を出すのは自分たちだという強い自負・誇り・当事者意識を現場がもっている。
②現場が会社の戦略や方針を正しく理解・納得し、自分たちの役割をきちんと認識している。
③結果を出すために、組織の壁を乗り越えて結束・協力し、知恵を出し合う。
④結果が出るまで努力を続け、決して諦めない。
⑤結果を出しても奢らず、新たな目標に向かってチャレンジしつづける。
*「現場力」は品質・コスト・スピード・持続性の四つのものさしで測定することができる。一見両立が困難と思われる二律背反的な目標を同時に克服することが真の現場力である。
*「現場力」が競走上の優位性にまで高められていることを、「オペレーショナル・エクセレンス」と呼び、持続力の長い優位性を企業にもたらす。
*自分の目で見て、自分の耳で聴き、自分の肌で感じ、自分の頭で考える「三現主義」を徹底させよ。現地現物は理屈に勝る説得力を持っている。
*「強い現場」の7つの条件
①企業哲学としての「現場力」
・真の現場力は、手法やツールだけに頼っていては確立できない。現場力の重要性を信念として持ちつづけ、企業レベルにまで昇華させなければならない。
・自社独自の価値観や行動規範、仕事のやり方を「ウェイ」として明文化し、伝承、発展させる企業努力が不可欠である。
②脱・事なかれ主義
・戦略や組織は会社のハードウェアにすぎない。価値観、行動様式というソフトウェアを変えよう。一人ひとりの「行動」がその起点である。
③主権在現
現場の意志、責任感こそが現場力の推進力である。そのために必要な権限は現場に与えなければならない。
④自立的サイクルを埋め込む
・PDCAサイクルを回しつづけることによって、進化する現場が生まれる。Achievement(効果検証)を加えて、改善の質を高めよう。
・問題点の源流まで遡って、真因を特定する。そのためには、5回の「なぜ」がきわめて有効である。
⑤見える仕組み
・問題点が見えること。それがすべての出発点である。
⑥オルガナイズ・スモール
・ぶら下がる人間をなくし、主体性を持たせるには、小さなチームを数多くつくって、たくさんの「みこし」を担がせるのがもっとも有効である。
⑦継続する力
・現場力の強化は、景気の波や会社の業績とは切り離して考えるべき、恒常的な企業努力である。個の情熱と組織の執念が結びついて、現場力のDNAは宿るのである。
・同じ情熱を傾けつづけられることを才能という。
・継続は力なり。そして、継続は経営の意志からのみ生まれる。
【コメント】
早稲田大学ビジネススクールの人気講座「現場学」を単行本化。現場力の実践的な鍛え方を伝授 する良書。
現場力といえばトヨタウェイ。トヨタウェイの解説書的な感も拭えなかった。
でも、さすがに早稲田大学の講座を単行本化しただけあって構成もしっかりしており、シンプルでわかりやすい内容だった。
*個の情熱と組織の執念が結びついて、現場力のDNAは宿るのである。
そうだ、そうなんだ!「個の情熱と組織の執念」、いい言葉だと思う。