A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1258 『仲田の海』

2016-11-28 23:12:03 | 書物
タイトル:仲田の海
シリーズ名:大愛知なるへそ文庫
著者:伊藤正人
表紙題字・挿絵:伊藤正人
発行:名古屋 : 大愛知なるへそ新聞社
発行日:2016.10
形態:22p, 15cm
内容:
仲田の海

頂いた日:2016年11月28日
 著者よりご恵贈いただきました。どうもありがとうございます。
 本書は、あいちトリエンナーレ2016に出品された山田亘のプロジェクト「大愛知なるへそ新聞」に連載された伊藤正人の小説「仲田の海」の文庫本。
あいちトリエンナーレの会場である名古屋の栄にかつて走っていた市電をモチーフに、一夏に子どもが体験する初めてのお使いの物語。
トリエンナーレ出品作家の作品内での発表のため、まだ試作という点もあるのは仕方ないが、いつか文芸誌に投稿するなどストレートに小説・文芸の海に行ってもいいのではないかと思う。

memorandum 390 つつき始める

2016-11-24 23:36:59 | ことば
ただ空で考えるだけでは題目(テーマ)はなかなか出て来ないが、何か一つつつき始めるとその途中に無数の目当てができすぎて困るくらいである。そういう事でも、興味があるからやるというよりは、やるから興味ができる場合がどうも多いようである。
寺田寅彦「写生紀行」『寺田寅彦随筆集 (第1巻) (岩波文庫) 』岩波書店、1963年、249頁。

興味があるからやるのではなく、やるから興味が出る。何事も動き始めると、興味は広がるということか。それはわかってはいるのだが、何事も億劫な性格でつつき始めるでに時間がかかる。

memorandum 389 背中

2016-11-23 23:30:37 | ことば
自分の事は顔さえわからないのだ。だれかが「自分の背中だけは一生触れられない」と言った事を思い出す。
寺田寅彦「自画像」『寺田寅彦随筆集 (第1巻) (岩波文庫) 』岩波書店、1963年、148頁。


自分のことは自分がいちばん知っているようで、自分自身の顔は見えず、背中も触れることができない。
明日を知らぬ身なのも当然だ。
寺田寅彦が自画像を描く事柄についての随筆「自画像」からの一文。

未読日記1257 『清親と安治 : 光線画の時代』

2016-11-22 23:25:31 | 書物
タイトル:清親と安治 : 光線画の時代
別書名:KIYOCHIKA + YASUJI
編集:山口県立萩美術館・浦上記念館
編集協力:藤本憲治
デザイン:工藤結里子
発行:萩 : 山口県立萩美術館・浦上記念館
発行日:2012.9
形態:262p : 挿図, 肖像 ; 30cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 平成24年9月8日-10月8日:山口県立萩美術館・浦上記念館
   執筆・編集: 吉田洋子
   タイトルは奥付による
   おもに図版
   清親の肖像あり
   参考文献: p244-245
   年表: p246-249
   出品目録: p250-261
内容:
ごあいさつ
1章 清親の光線画
2章 清親の画業
3章 清親の弟子、安治の光線画
論文
 「光線画の時代」吉田洋子
参考文献
年表
出品目録
謝辞

購入日:2016年11月21日
購入店:山口県立萩美術館・浦上記念館
購入理由:
 ヤマガミユキヒロ「ロケーション・ハンティング」展アーティスト・トークのための参考文献として購入。
 小林清親についていろいろな文献を調べたが、本書は現時点で小林清親の図録としては決定版であり、最高品質だと思う。同一作品の摺違いも縮小ではなく、1ページづつ図版掲載され、研究に応えてくれる。本書購入の決め手になったのは、清親の版画以外の水彩等の作品、清親の弟子・井上安治の図版がまとめて掲載されていることであった。とかくこれらの作品は簡易に取り上げられることが多いが、本書は丁寧にページを割いている。吉田氏の論文では、「光線画」に関する新たな知見、発見が論じられ、得ることが多い。参考文献も充実している。売り切れてなくてよかった。


未読日記1256 『尾崎放哉全句集』

2016-11-21 23:47:58 | 書物
タイトル:尾崎放哉全句集
シリーズ名:ちくま文庫, [お-57-1]
著者:尾崎放哉
編者:村上護
カバーデザイン:間村俊一
カバー写真:尾崎放哉記念館提供
発行:東京 : 筑摩書房
発行日:2008.2
形態:476p ; 15cm
注記:年譜: p399-406
内容:
「咳をしても一人」などの句で知られる自由律の俳人・尾崎放哉。前途を嘱望されたエリート社員だったが、家族も仕事も捨て、流浪の果て、孤独と貧窮のうちに小豆島で病死。その破滅型の境涯は、同時代の俳人・種田山頭火と並び、いまなお人々に感銘を与えつづける。本書は、遁世以後の境地を詠んだ絶唱を中心に全句稿を網羅するとともに、小品・日記・書簡を精選収録する。遁世漂泊の俳人の全容を伝える決定版全句集。

俳句
 1遁世以後(大正一三年〜大正一五年)
 2俗世の時代
  定型俳句時代(明治三三年〜大正三年)
  自由律俳句時代(大正四年〜大正十二年)  
 3句稿(大正一四年〜大正一五年)
  句稿1
  句稿2
 4俗世の時代・拾遺
  定型俳句時代
  自由律俳句時代

小品・随筆・書簡
 夜汽車
 入庵雑記
 大正十三年八月二十二日 住田蓮車あて書簡
 大正十三年十二月十五日 佐藤呉天子あて書簡
 大正十五年三月二十三日 萩原井泉水・内島北朗あて書簡

年譜
解説 村上護
索引

購入日:2016年11月20日
購入店:丸善 京都本店
購入理由:
 尾崎放哉は東京時代に兄の蔵書にあり、手にしたことがあった。その時は興味本位でパラパラと目を通しただけだったが、昨年、種田山頭火を読む機会があり、とてもおもしろかったので、次は同時代の自由律の俳人・尾崎放哉に興味が湧いた。いつか読もうと思いつつ、なかなか手に取る時機を逸していたが、少し落ち着いたので購入。
 尾崎放哉は、「咳をしても一人」など、「一人」という言葉がよく出てくる。私もまた「一人」身ゆえ、この冬は尾崎放哉の句を読みつつ、さみしさを紛らわそう。