A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1251 『台所のおと』

2016-10-31 23:37:35 | 書物
タイトル;台所のおと
著者:幸田文
発行:東京 : 講談社(講談社文庫)
発行日:1995.8
形態:297p ; 15cm
内容:
女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角だつな。さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変ったことに気付く…音に絡み合う女と男の心の綾を小気味よく描く表題作。他「雪もち」「食欲」「祝辞」など十編。五感を鋭く研ぎ澄ませた感性が紡ぎ出す幸田文の世界。

台所のおと
濃紺
草履
雪もち
食欲
祝辞
呼ばれる
おきみやげ
ひとり暮し
あとでの話

購入日:2016年10月29日
購入店:紀伊国屋書店 梅田本店
購入理由:
 In Studies vol.4「ア・ターブル! ごはんだよ!アートだよ!」の参考文献として購入。
 本書は鷲田清一『「聴く」ことの力——臨床哲学試論』(ちくま学芸文庫)で知り、引用された会話がすばらしく、読んでみたいと思っていた。ちょうど今回のテーマにも重なるので、思い出して購入。読み始めて、人生の綾、心の機微が美しく繊細な日本語によって文章化されており、すばらしい。漫画だが、弘兼憲史の『人間交差点』を思い出した。幸田文の文章は日本語のボキャブラリーが豊富という以上に、言葉が生きている。

未読日記1250 『わたしの献立日記』

2016-10-30 23:41:51 | 書物
タイトル:わたしの献立日記
シリーズ名:中公文庫, [さ-61-1]
著者;沢村貞子
カバー:安野光雅
発行:東京 : 中央公論新社
発行日:2015.10第4刷(2012.9初版)
形態:239p ; 16cm
注記:「新潮文庫」 (1997年3月刊) を「中公文庫」として再刊したもの
    叢書番号はブックジャケットによる
内容:
さあ今日も、ささやかなおそうざいを一生懸命こしらえましょう—女優業がどんなに忙しいときも台所に立ちつづけた著者が、日々の食卓の参考にとつけはじめた献立日記。その行間からは一本芯の通った生活ぶりがうかんでくる。工夫と知恵、こだわりにあふれた料理用虎の巻。

目次

食と生活
わたしの献立日記
献立日記・一冊め(昭和41年4月〜42年2月)
献立日記あれこれ
献立日記・三十冊め(昭和63年1月〜9月)
季節の食卓十二ヶ月(昭和47年・51年・57年・61年の献立日記より)
あとがき
解説 平松洋子

購入日:2016年10月29日
購入店:紀伊国屋書店 梅田本店
購入理由:
 In Studies vol.4「ア・ターブル! ごはんだよ!アートだよ!」の参考文献として購入。
 本書を知ったのは、東京・ギャラリーαMで見た「トランス/リアル - 非実体的美術の可能性 vol.3 末永史尚・八重樫ゆい」展であった。ギャラリーには本棚が設けられており、展示のたびに「作家の本棚」として出品作家がセレクトした本が並ぶ。その中で八重樫ゆいさんが本書をセレクトしていたのである。絵画と献立?不思議な疑問に駆られて手に取り、その後のアーティストトークを聞くと、なぜこの本が本棚にあるのか腑に落ちた。

 本書を開いて驚くのは、「献立日記」という軽さやユルさより、沢村の記録魔ぶりである。これもアーカイブである。写真やイラストなどがないので、料理の名前や食材を知らないと、自身の食体験の未熟を感じる。本書に影響されてか、私も日記に食べたものを記録するようになった。沢村と異なり、私の献立は貧相だが、記録し始めたことで食事を見直す機会となった。日記の効用だろうか。

未読日記1249 『小林清親: “光線画”に描かれた郷愁の東京』

2016-10-29 18:19:54 | 書物
タイトル:小林清親: “光線画”に描かれた郷愁の東京 (別冊太陽 日本のこころ 229)
タイトル別名:小林清親 : "光線画"に描かれた郷愁の東京 : 没後一〇〇年
       Kobayashi Kiyochika
       小林清親 : 光線画に描かれた郷愁の東京 : 没後100年
監修:吉田洋子
編集:竹内清乃、菅原 悠
撮影:大屋孝雄
デザイン:青柳幸永(あをぐみ)
校正:栗原 功
発行:東京 : 平凡社
発行日:2015.6
形態:167p ; 29cm
注記:監修: 吉田洋子
   おもに図版
   小林清親の肖像あり
   小林清親略年譜: p167
内容:
明治のはじめ、西洋画の技法を駆使し、新たな感覚で描かれた「東京名所図」は、圧倒的な指示で人々に迎えられた。変わりゆくものを見つめ続けた”最後の幸世絵師”の画業に迫る。

荷風の歩いた東京
「近代絵画の巨人 小林清親」吉田洋子

”光線画”浮世絵を変えた九十三図
 「”光線画”のはじまり」吉田洋子
 「光と影」吉田洋子
 暁方 陽光 夕暮れ 夜景
 「江戸情緒」吉田洋子
 花の名所 隅田川 秋 冬
 「文明開化の諸相」吉田洋子
 洋風建築 電柱 乗り物 町工場 洋画 軍事 博覧会
 「大火」吉田洋子

多彩な画業の展開
 「「猫と提灯」と花鳥動物画」浅野秀剛
 「時局を描く——ポンチ絵と戦争画」日野原健司
 「江戸回帰——武蔵百景・肉筆画・武者絵・美人画」小山周子

”光線画”の水脈——井上安治と小倉柳村
「”光線画”の後継者と追随者」折井貴恵

コラム
西洋絵画技法を吸収する
清親と写真
箱根・静岡の風景
光線画の教科書
人物画——清親の挑戦
それぞれの橋——清親・ホイッスラー・広重
清親と広重
「東京名所図」以前の清親
水彩画家清親
清親と作家との交流——杢太郞と荷風

小林清親の生涯
小林清親略年譜

購入日:2016年10月27日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 ヤマガミユキヒロ「ロケーション・ハンティング」展アーティスト・トークのための参考文献として購入。
 図録も購入しており資料としては充分なのだが、本書はコンパクトに構成・編集されているので、清親の画業の概略がつかみやすい。また、弟子の井上安治の図版が数こそ少ないものの割と大きく掲載されているのがうれしい。


未読日記1248 『清親 : 光線画の向こうに』

2016-10-28 23:18:22 | 書物
タイトル:清親 : 光線画の向こうに
別書名:Kobayashi Kiyochika : a retrospective
編集:町田市立国際版画美術館(村瀬可奈、滝沢恭司)
制作:ニューカラー写真印刷株式会社
制作進行:田中利樹(ニューカラー写真印刷株式会社)
デザイン:松田聡子(ニューカラー写真印刷株式会社)
発行:町田 : 町田市立国際版画美術館
発行日:2016.3
形態:277p ; 28cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2016年3月12日-4月17日:町田市立国際版画美術館
   おもに図版
   小林清親年譜: p244-251
   主要参考文献: p252-255
   作品目録: p256-265
内容:
ごあいさつ
「小林清親-その画業・人と時代-」岩切信一郎
図版
プロローグ 新時代の胎動 - 江戸後期から明治初期にかけて
1 清親登場! - 光線画と洋風表現
2 社会を描く - ポンチの清親
3 歴史を描く - 国粋主義の時代
4 戦争を描く - 浮世絵の終焉へ
5 小画面の世界 - 挿絵と絵葉書
6 風景画ふたたび - 新旧のはざまで
エピローグ清親以降 - ノスタルジアの系譜
「光線画の向こうに - 清親像をめぐって」村瀬可奈
作品解説
現代の地図でみる光線画
小林清親年譜
主要参考文献
作品目録

購入日:2016年10月26日
購入店:図録ドットJP
購入理由:
 ヤマガミユキヒロ「ロケーション・ハンティング」展アーティスト・トークのための参考文献として購入。テキストを書き終えた後に、小林清親の「光線画」とヤマガミ作品との比較を思いつく。
 図録は町田市立国際版画美術館でも購入できたが、現金書留での手続きが煩雑なため、上記のウェブサイト経由で購入。時間もお金も節約できて便利なサイトで助かる。


未読日記1247 『少食が健康の原点』

2016-10-27 23:50:36 | 書物
タイトル:少食が健康の原点―万物への愛と慈悲がエネルギーを生む
著者:甲田光雄
COVER ILLUSTRATION:SHIMIZU MINORU
COVER DESIGN:HARA TAKAO
PHOTO TYPE SETTING:MIYAMOTO TOSHIO
発行:東京 : たま出版
発行日:1994.2第4版(1991.8初版)
形態:350p ; 19cm
注記:参考文献:p347〜350
内容:
人体機能を活性化し、健康と長寿をもたらす未来の食生活はこれだ。開業医が長年の臨床体験と豊富な医学データで実証する宗医一体の総合エコロジー医療から腹六分目の奇跡をあなたに。
◎現代医学 ◎民間療法 ◎西式健康法 ◎断食療法 ◎生菜食健康法 etc.


「推薦のことば・甲田先生を第二のガリレオにするな」理学博士 武者宗一郎
はじめに
1 少食(愛と慈悲)が健康の原点
2 少食を実行する上での注意事項
3 少食の効用
4 少食の実際
5 厳しい少食の実例
6 どこまで少食になれるか
7 少食でもやってゆける理由
あとがき
参考文献

購入日:2016年10月26日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 In Studies vol.4「ア・ターブル! ごはんだよ!アートだよ!」の参考文献として購入。
 本書を知ったのは、2015年12月3日の日経新聞夕刊のリレーコラム・読書日記でサンプラザ中野氏が取り上げていたことだった。少食がアトピーやアレルギーの改善に効用があるとする記述に興味を魅かれて読もうと思ったものの、他の仕事で忙しくしていた。だいぶ時間がたったが、今回の企画で本書を思い出し、手に取ってみることにした。


未読日記1246 『農の美学―日本風景論序説』

2016-10-26 23:20:53 | 書物
タイトル:農の美学―日本風景論序説
著者:勝原文夫
写真:土門拳
装幀:林 佳恵
発行:東京 : 論創社
発行日:1979.11第2刷(1979.9第1刷)
形態:ix, 298p ; 20cm
注記:副書名はカバーにのみあり:出版者確認による
内容:
農村風景の変貌と修景の論理
戦後30余年の日本全国に亘る農村調査での見聞に鑑み、60年代以降の高度経済成長の齎らした日本風景の荒廃を古来日本人の風景観の核心をなす”原風景”を基としてやわらかな感性で告発する、農業と農村=復権の主張!

はじめに
第1部 原風景の思想
 1 風景享受と原風景
 2 原風景としての「ふるさと」にイメージ——アンケート調査数例の結果から
 3 ひとつの国民的原風景の形成——小学校国定国語教科書に現われた風景
第2部 風景論の系譜
 4 明治以降のわが国における風景論
 5 発行時における『日本風景論』の評価
第3部 農村修景の美学
 6 農業・農村景観美と風景論
 7 わが国におけるルーラル・デザイン成立の可能性
 8 農村計画と美化
 付 農村修景に関する若干の覚書
第4部 現代人と農業
 9 都市と緑——生産緑地を中心に
 10 農業の段三次産業化について
 付論1 日本人と庭——日本人の風景観
あとがき
論文初出一覧

購入日:2016年10月24日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 ヤマガミユキヒロ「ロケーション・ハンティング」展アーティスト・トークのための参考文献として購入。
 本書を知ったのは、前田英樹氏の『独学の精神』(ちくま新書、2009年)だったか。その後、いくつかの風景論関係の文献を読んだ際にも参考文献として挙がっており、手に取らねばと思っていた。残念ながら近隣の図書館に所蔵がなく購入。


未読日記1245 『mysm+Y Vol.2』

2016-10-25 23:03:54 | 書物
タイトル:mysm+Y
卷号:Vol.2
編集:万友文庫編集室
製本:mysm社中
発行:大阪 : +Y Gallery
発行日:2016.9
形態:20p ; 22cm
内容:
「作品の視覚的同一性とその力学について」黒川 弘毅
「洗う女考(後編)産婆と奪衣婆」吉本 直子
「反復」(前編)」北辻 良央
「なにわ図絵 Ⅱ — 毛馬道行」きさらぎ 櫂
執筆者プロフィール
「70's展—情熱と理知 - passion & intelligence」より
編集後記

頂いた日:2016年10月22日
 大阪・+Y Galleryよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 「mysm+Y(みずむぷらすわい)」は、美術批評、散文など美術と言葉に関する同人誌。今号では、+Y Galleryで4月に開催された「70's展—情熱と理知 - passion & intelligence」の出品作家・黒川弘毅氏の論考などが掲載されている。黒川氏の論考は短いものだが、形而上的な言葉に鮮やかな光の力学を感じる。作品を作るとは、見るとはどういうことか、制作者が手繰り寄せた本物の言葉がここにはある。橋本平八の『純粋彫刻論』のように、言葉が彫琢されている。彫刻家に限らず、美術に真摯に向き合う人々に読んでほしいテキストである。

未読日記1244 『たべるのがおそい vol.2 』

2016-10-24 23:15:51 | 書物
タイトル:文学ムック たべるのがおそい vol.2
特集:地図—共作の実験
編集:西崎憲, 田島安江
編集協力:佐々木孝、宮島亜紀
表紙・本文デザイン:片岡好、宮島亜紀
挿画:ありかわりか、片岡好、小林小百合、佐藤ゆかり、重藤裕子、寺澤智恵子、三紙シン、宮島亜紀
DTP:黒木留実(書肆侃侃房)
発行:福岡 : 書肆侃侃房
発行日:2016.10
形態:171p ; 21cm
内容:
【巻頭エッセイ】
「文と場所 立つべき場所、失った場所」金原瑞人

【特集〈地図−共作の実験〉】
「リャン—エルハフト」石川美南×宮内悠介
「星間文通」円城塔×やくしまるえつこ
「三人の悪人」西崎憲×穂村弘

【創作】
「私たちの数字の内訳」津村記久子
「チーズかまぼこの妖精」森見登美彦
「回転草」大前粟生
「ミハエリの泉」四元康祐

【翻訳】
「遅れる鏡」ヤン・ヴァイス 阿部賢一訳
「カウントダウンの五日間」アンナ・カヴァン 西崎憲訳

【短歌】
「せかいのへいわ」今橋愛
「公共へはもう何度も行きましたね」岡野大嗣
「忘れてしまう」吉野裕之
「二度と殺されなかったあなたのために」瀬戸夏子

【エッセイ】
本がなければ生きていけない
「すこし・ふくざつ」倉本さおり
「無限本棚」中野善夫

購入日:2016年10月22日
購入店:紀伊国屋書店 梅田本店
購入理由:
 朝日新聞の書評で知り、「地図」好きとして興味を惹かれて購入。小説、翻訳、短歌、エッセイと豊富な内容で、どれも手軽に読める読み物で楽しい。もっとも、読むのがおそくてまだあまり読めていない。
 近年、新たな文学誌が多種刊行されているが、文芸誌に見られるような新たな「美術ムック」というのはほとんど見かけない。たしかに新たな美術批評誌も刊行されてはいるが、このような手に取りやすさは微塵もない。文学誌のような美術誌ができないだろうか。私が書かせてもらえるなら、文芸誌に書きたい。

【ご案内】enocoニュースレター11

2016-10-23 23:09:04 | お知らせ
 大阪府立江之子島文化芸術創造センターのenocoニュースレター最新号(11号)に過日参加しました「アーティスト・サポート・プログラム enoco [study?]#4 クロストーク&募集説明会」のレポートが掲載されています。
 お近くでお見かけしましたらぜひお手にとって頂けると幸いですが、ホームページからもダウンロードできます。
http://www.enokojima-art.jp/news-letter/data/enoco_newsletter_11.pdf

enocoニュースレター 11号
発行|大阪府立江之子島文化芸術創造センター
編集|高坂玲子・近藤美智子(enoco企画部門)
表紙・特集ページデザイン|鯵坂兼充・米須清成(SKKY.Inc)
撮影|福家伸哉
イラスト(表紙)|マメイケダ
イラスト(エノケン、似顔絵)|タダユキヒロ
アートディレクション|後藤哲也(OOO Projects)
デザイン|小池一馬(OOO Projects)
発行日:2016.10


未読日記1243 『寺田寅彦随筆集 第5巻 』

2016-10-22 19:34:19 | 書物
タイトル:寺田寅彦随筆集 (第5巻) (岩波文庫)
シリーズ名:岩波文庫, 緑31-037-5
編者:小宮豊隆
カバー:杉松 欅
カバー画:木下杢太郎『百花譜』より
発行:東京 : 岩波書店
発行日:2008.8第73刷(1963.6第20刷改版、1948.5第1刷)
形態:310p ; 15cm
内容:
一週間も田舎へ行っていたあとで、夜の上野駅へ着いて広小路へ出た瞬間に、「東京は明るい」と思うのであるが、次の瞬間にはもうその明るさを忘れてしまう。……けんかでなしに別居している夫婦の仲のいいわけがわかるような気がする。(「破片」四)

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三斜晶系
俳句の精神


購入日:2016年10月18日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 寺脇扶美 個展「紫水晶からの往復書簡」のテキストを書いた際に寺田寅彦に興味を抱いて購入。