A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 470 不器用

2017-03-31 23:40:08 | ことば
 人間ていうのは存外不器用なものでサ、そして恋愛っていうのは、その人間を不器用にしてしまう最たるものでしょう? なにしろ僕に言わせれば、恋愛っていうものは、「あなたが世界で一番好きだ」ってことを絶対に言えない状態から始まって、「世界できみが一番好きだ」っていうところでキッチリと終わるもんだからね。そこで終わりだから、それがそのまんま結婚に結びつくかどうかはまた別だけどサ。
橋本治『恋愛論 完全版 (文庫ぎんが堂) 』イースト・プレス、2014年、40頁。

ここまで簡潔に恋愛の過程をまとめた言葉に感嘆する。不器用は「物語」の始まりか。



memorandum 469 恋愛に関する一番重要なテーゼ

2017-03-30 23:27:42 | ことば
 恋愛に関する一番重要なテーゼっていうのが何かって言いますとね、それは「他人を愛させたら勝ち」なんですね。「他人に自分を愛させたら勝ち」「他人を愛してしまったら負け」「他人に愛されてしまったら身の不運」、これですね。
橋本治『恋愛論 完全版 (文庫ぎんが堂) 』イースト・プレス、2014年、10頁。

負けを認める。



memorandum 468 「弾丸はおばかさんだし、運命はいじわるなんだよ」

2017-03-29 23:16:42 | ことば
「弾丸はおばかさんだし、運命はいじわるなんだよ」この格言はとっさの時に出てくるんです。弾丸はひとつ、人間も一人なのに、弾丸はどこにだって飛べるのに、運命は人間を好きなように翻弄する。あっちこっち、あっちこっちって。人間は雀の羽のようにしてもてあそばれる。決して自分の将来を知ることはできません。
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』三浦みどり訳、岩波書店(岩波現代文庫)、2016年、365頁。

ロシアの女性従軍兵士の言葉から。未来はわからない。運命はいじわるだ。

memorandum 467 好きになりたい

2017-03-28 23:58:29 | ことば
工科大学の実験助手をして年金がもらえるまで働いたんだよ。みんなが好いてくれた。先生方も学生たちも。なぜって、私の中にみんなを好きになりたいって気持ちが、喜びがたまっていたからね。生きてるってそういうことだと思ったんだよ、戦争のあとはそれ以外ないと思ってた。神様が人間を作ったのは人間が銃を撃つためじゃない、愛するためよ。どう思う?
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』三浦みどり訳、岩波書店(岩波現代文庫)、2016年、185頁。

ロシアの女性従軍兵士の言葉から。戦後に限らず、生きること、働くとはどういうことか考えさせられる。

未読日記1292 『ミズマクおおがき2017 ~大垣の新進美術家たち~』

2017-03-26 22:15:30 | 書物
タイトル:ミズマクおおがき2017 ~大垣の新進美術家たち~
タイトル別名:MIZUMAKU OGAKI 2017: Up-and coming artists of our Ogaki
編集:公益財団法人大垣市文化事業団
デザイン:伊藤晶子
発行:大垣 : 大垣市・大垣市教育委員会
発行年:2017.3
形態:15p ; 21cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場 : 2017年3月4日-4月9日:大垣市スイトピアセンター アートギャラリー
   出品作家: 稲川江梨、近藤洋平、ヨコヤマ茂未
   主催: 大垣市・大垣市教育委員会
内容:
稲川江梨
近藤洋平
ヨコヤマ茂未

頂いた日:2017年3月26日
 大垣市スイトピアセンターアートギャラリーにて開催された「ミズマクおおがき2017 ~大垣の新進美術家たち~」展の会場にて頂きました。どうもありがとうございます。
 本展の目当ては、今夏Gallery PARCにて「Gallery PARC Art Competition 2017」で入選して個展を開催する近藤洋平の作品を見るためだった。ファイルは何度も眼にしていたが、実作をまとまって見る機会は初めてで、とても興味深く見れた。会期中に執筆することになるだろうテキストに向けてもヒントをもらった。おまけにこのようなステイトメントや作品画像が掲載された小冊子が無料配布されており、参考資料まで得ることができて大垣まで来た甲斐があった。

【ご案内】京都新聞2017年3月25日「ギャラリー」

2017-03-25 23:48:30 | お知らせ
本日の京都新聞朝刊の美術欄「ギャラリー」に展評を書かせていただきました。
週末のご予定のご参考になれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

奥田善巳展(京都トアロード画廊=一乗寺出口町 4月23日まで 月休)
鮫島ゆい展(VOU=東洞院通四条ル 3月28日まで)
松田啓佑展(eN arts=円山公園内 4月16日まで 月〜木休)
谷川美音展(Finch Arts=元立誠小前 3月26日まで)
HIRASE展(虹=蹴上 26日まで)
山崎なな展(KUNST ARZT=三条通神宮道東入ル 36日まで)
天牛美矢子展(16=三条通白川橋西入ル上ル 26日まで)


【ご案内】退職のご挨拶

2017-03-24 23:42:25 | お知らせ
日頃より大変お世話になっております。

私事ですが、この度、3月24日をもちまして契約期間満了につき京都国立近代美術館を退職することとなりました。
在職中は格別のご指導とご高配をいただき、心より感謝を申し上げます。
2012年4月より5年間、みなさまとの出会いから本当に多くのことを学ばさせていただきました。
どうもありがとうございました。

今後のご連絡、お仕事のご依頼等は、以下にお願いいたします。
e-mail: takeshirata[@]gmail.com
*ご連絡の際は、[]を外してください。

今後の所属先は未定ですが、個人では引き続き、批評、研究、企画など美術の仕事を継続してまいります。
またお目にかかれますことを楽しみにしております。

末筆ではございますが、皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げ、退職の挨拶と
させていただきます。

memorandum 464 自分の仕事を楽しむべきである

2017-03-23 23:42:36 | ことば
 労働者であれ、画家であれ、自分の仕事を楽しむべきである。そうでなければ、観る人が楽しめるわけがない。誰かがつらい思いをして作ったレースを身につけるのはあまりうれしくない。絵と同じように、レースも職人が楽しんで作るものであってほしい。
 生きることに情熱を抱いていれば、仕事も楽しくなる。
 芸術にまつわる仕事はすべて、楽しんでなされているように見える。

ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』野中邦子訳、国書刊行会、2011年、303頁。

日本ではとかく仕事、労働は苦労、苦役になってはいないだろうか。もちろん何かを生み出すのはつらい部分もあるのは事実である。だが、仕事は楽しさ、喜びがあってほしい。自分もまたそのように仕事をしていきたい。