A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

【ご案内】森岡真央展「ママ、きいてちょうだい」

2018-07-04 22:23:41 | お知らせ
審査員をさせて頂きました展覧会企画公募・Gallery PARC Art Competition 2018 ♯01「森岡 真央:ママ、きいてちょうだい」が7月6日(金)より7月22日(日)まで開催されます。

森岡 真央:ママ、きいてちょうだい
2018年7月6日(金)〜7月22日(日)
Gallery PARC
http://www.galleryparc.com/exhibition/exhibition_2018/2018_07_06_morioka.html

実物を見ないと大変わかりづらいの作品ですので、ぜひ会場でご覧頂くことを強くおすすめします。誰かに話したくなるくらいの驚きを与えてくれるでしょう。お天気に気をつけてお出かけください。

なお、恒例の審査員によるレビューテキストは、京都芸術センターの勝冶真美さんです。こちらもお楽しみに。

【ご案内】福田真知展「SURFACE/フンイキ」

2018-07-02 22:48:42 | お知らせ
大阪・The Third Gallery Ayaにて開催されます福田真知展のフライヤーにテキストを寄稿させていただきました。

また、7月6日からホテルグランヴィア大阪で開催されます「ART OSAKA 2018」でも福田さんの展示が個展形式であります。
蒸し暑い日が続いておりますが、どちらも会期が短いので、お見逃しのないようぜひお出かけください。

福田真知展「SURFACE/フンイキ」
2018年7月3日[火]-7月8日[日]
火曜-金曜 12:00–19:00 土曜・日曜 12:00–17:00
The Third Gallery Aya

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ART OSAKA 2018
The Third Gallery Aya Exhibition PLUS #6121

2018年7月6日[金]-7月8日[日]
7月6日[金]14:00–20:00*招待客・プレス関係者のみ
7月7日[土]11:00–20:00
7月8日[日]11:00–19:00
ホテルグランヴィア大阪 26階 6121号室

http://www.thethirdgalleryaya.com/exhibitions/2018/06/surface.php


存在の時間
平田剛志

 人物が揺らいでいる。福田真知の映像作品《jewel》と写真作品《SURFACE / フンイキ》は、人物を後ろ姿から定点撮影または365度から数百枚撮影した後、画像編集ソフトPhotoshopによって不透明度を1パーセントで合成して制作された。福田は、絵の具を何色も塗り重ねるように、写真を重ねて人物の「フンイキ」を平面(SURFACE)に変換・複製(reproduction)したのである。それにより、画面には微かな動きや揺らぎが生じ、絵画的な写真・映像が生成されるのだ。

 このような複層的な写真として、多重露光によって複数の人物を撮影した北野謙の「our face」シリーズが想起されよう。しかし、両者は複数枚の写真素材という膨大な量は共通でも、対象は異なる。北野は複数の人物の写真を1枚の画像に重ね合わせた「集団」の写真である。対して、福田は撮影時間や角度は異なるものの、すべて一人の人物を撮影した写真である。また、北野の被写体は正面像で、福田は背中ないしは365度からの撮影である。以上の点から、福田は人物を正確に再現したり、数量を提示することが目的ではないことがわかる。

 では、なぜ福田はカメラで被写体を撮影、記録しながら、Photoshopで写真を加工・編集するのだろうか。それは、写真の機能である写実性、記録性を捨像するためである。福田が画像に求めるのは、被写体の正確な「記録」ではなく「雰囲気」である。この雰囲気を可視化するために「不透明化」が行われるのである。そもそも「雰囲気」とは、その場や人を取り巻く空気や気配、気分であり、正確に規定できない「状態」である。存在する人やものが発する曖昧で不確かな雰囲気は、記録ではなく薄れゆく記憶のなかにこそあるものだろう。

 福田作品は、不透明な肖像を通じて、写真や映像の客観性、再現性とは何か、既存の形式やジャンルである絵画と写真・映像、静止画と動画、写実性と抽象性という見えない領域をも揺るがすのである。

「リプロダクション・ノート」 『Reproduction』(成安造形大学、2017年、17-19頁)を加筆修正。