A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記688 『photographers' gallery press no. 11』

2013-01-27 23:28:16 | 書物
タイトル:photographers' gallery press no. 11
発行責任:北島敬三
編集責任:米田拓朗
デザイン:纐纈友洋
編集:笹岡啓子、王子直紀、中村早
制作:岸幸太、高橋万里子、田代一倫、大島尚悟
発行:photographers' gallery
発行日:2012年11月15日
定価:2,940円(本体2,800円+税)
形態:327p ; 25.7cm
内容:
「『大正十二年九月一日 關東地方 大震火災記念寫真帖』解題──“破局の時間”のモンタージュ」伊藤俊治

写真
『大正十二年九月一日 關東地方 大震火災記念寫真帖』
『昭和九年七月 新潟土木出張所管内 直轄工事被害状況寫真』
『熱海線丹那隧道工事寫真帖 東口』
『熱海線丹那隧道工事寫真帖 西口』

「断層帯を貫通する──『熱海線丹那隧道工事寫真帖』」平倉圭
「稲妻写真論」橋本一径
「ピクチャーへ──災厄写真考」倉石信乃
「災害の“ウラ”を読む──東日本大震災と災害記録」長谷見雄二 × 中谷礼仁 対談

「Sigmund Freud/Symptomatic Future──フロイト、または、症候としての未来」豊島重之 
「宮沢賢治と東北力」岡村民夫
「『港づくり』と『八戸づくり』──吉田初三郎の八戸市鳥瞰図から」高橋しげみ
「高橋由一、〈似ている/似せる〉ことの論理──絵画を掘削せよ!」久保仁志
「惜別 深瀬昌久──深瀬さん、向こう岸が見えますか?」瀬戸正人

pg chronicle

購入日:2013年1月26日
購入店:MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店
購入理由:
 特集は、写真とカタストロフィ。関東大震災、大規模な土砂災害、最難関の鉄道トンネル工事を記録した写真帖が200頁にわたって掲載されている。言うまでもなくこれらの写真は、東日本大震災における被災地の記録写真をめぐる災害表象について問題を投げかける。

 立ち読みでおもしろい特集だと思ったが、後半には吉田初三郎の鳥瞰図について書かれた論文が掲載されていたので迷わず購入。まさか写真雑誌に吉田初三郎の名前を見つけるとは思わなかった。

未読日記687 『眠れなくなる宇宙のはなし』

2013-01-26 22:30:05 | 書物
タイトル:眠れなくなる宇宙のはなし (宝島SUGOI文庫)
著者:佐藤勝彦
ブック・デザイン:鈴木成一デザイン室
イラスト:長崎訓子
発行:宝島社
発行日:2012.12
定価:629円+税
形態:268p ; 15.2cm
内容:
宇宙論のベストセラー待望の文庫化

宇宙の95%は正体不明
古代インドの宇宙観から、相対性理論、最新・ブレーン宇宙論まで。
(本書帯より)

宇宙論の決定版ロングセラー、待望の文庫化!古代から現代に至る宇宙観の変遷をたどり、人間が宇宙の真の姿をひもといてきた様子を物語のように描きます。古代インドの奇妙な宇宙観、コペルニクスによる宇宙像の大転換、アインシュタインが描いた宇宙、そして最新の「11次元時空」の仮説まで、平易な図解を添えてわかりやすく解説。長崎訓子さんの味わい深いイラストも必見です。宇宙論の権威、佐藤勝彦氏が贈る最高傑作!
(カバー裏解説より)

はじめに(文庫版の出版に際して)
第一夜 ひとはなぜ宇宙を想うのか
第二夜 神の手による宇宙の創造
第三夜 合理的な宇宙観の誕生
第四夜 天動説から地動説への大転換
第五夜 広大な銀河宇宙の世界へ
第六夜 ビッグバン宇宙論の登場
第七夜 新たな謎と革命的宇宙モデル

購入日:2013年1月26日
購入店:MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店
購入理由:
 明日に岐阜のなうふ現代で開催される「岐阜と宇宙民藝」展関連イベント「シンポ宇宙民藝」のための予習として購入。
 前日にいまだ予習するとはいかがなものかとは思うが、ギリギリまであがいてみないと気が済まず、サラッと読めそうな本書を購入した。文章は平易で読みやすく、宇宙好きとしては知的好奇心を掻き立てられたという点ではオススメな1冊。しかし、この手の入門書を読んだ次に何を読むべきかが問題だと思うので、ブックガイドが欲しかった。

未読日記686 『うばたま』

2013-01-19 22:17:59 | 書物
タイトル:うばたま
著者:隼田大輔
デザイン:山崎正樹(hiyocostudio)
プリンティングディレクション:小林章夫、吉野文彦
発行:隼田大輔事務所
印刷・製本:大伸社
定価:3,500円(税別)
形態:1冊 ; 22.3×30cm

購入日:2013年1月19日
購入店:雅景錐
購入理由:
 写真家・隼田大輔による本書は月の光のみで撮影された風景写真をまとめた写真集である。月の光のみで撮影された写真といえばイギリスのダレン・アーモンドが満月の光だけで撮影した幻想的な写真作品《fullmoons》がある。コンセプトとしては重なってしまうが、ダレンの写真は光、隼田の写真は闇(夜)がテーマである。それゆえ、写真から受ける印象はかなり異なる。まるで月光の表と裏、光と闇を両者は撮影していると言えるのではないか。いつか2人展として両者の作品を満月に合わせて開催したらおもしろいのではないかと考えた。

未読日記685 『うつせみ』

2013-01-07 21:58:09 | 書物
タイトル:うつせみ
タイトル別名:utsusemi
編集・発行:「うつせみ展」実行委員会
カタログデザイン:森川穣
ウェブデザイン:今村遼佑
翻訳:原田明和
撮影:笹倉洋平
発行日:2012.12
形態:55p ; 21cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2012年9月22日-10月14日:常懐荘
   主催: 「うつせみ展」実行委員会、常懐荘維持再生委員会
内容:
ごあいさつ
図版
「ゆたかさ」秋庭史典(美学研究者)
作家紹介及び「うたかた展」展示風景
別紙封入:トーク「うつろなるゆたかさについて」

献本日:2013年1月3日
 実家から帰ったところ、主催者の方よりお送り頂いていた1冊。どうもありがとうございます。本書は、昨年秋に愛知県小牧市にある常懐荘を会場に開催された「うつせみ展」の展覧会カタログである。出品作家は、今村遼佑、碓井ゆい、大舩真言、越野潤、近藤洋平、寺田就子、森川穣、森太三の8名。

 写真で見ると、白い本のように見えるが、実は薄く「うつせみ」と書かれている。この繊細さ、尋常ではない気配を醸している。
 さらに驚いたのが本の中身である。図版として展示作品の写真が掲載されているものの、キャプションや作家名が一切ない。作品や作家の情報は、巻末に同時開催された「うたかた展」の展示風景とともに作家の経歴、出品作品リスト、掲載ページのノンブルが表記され、初めて展示作品の概要が分かるのである。つまり、図版ページは会場となった常懐荘の空間を追体験するような誌面構成になっているのである。賛否が分かれるとは思うが、カタログの位置付けとして新しい試みである。
 新春からきりっとした仕事を見せられ、心新たにした。