A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記68 「デラックスマーガレット」

2007-07-30 22:48:39 | 書物
タイトル:デラックスマーガレット 2007年9月号
表紙:小藤まつ
デザイン:川谷康久
発行:集英社
発行日:2007年7月28日
内容:
特集 夏・Hな体験特集
矢幡亜貴、Maria、広瀬なつめ、工藤郁弥、源なお美、下北沢ミツオ、宮藤華ほか

購入日:2007年7月28日
購入店:ブックファースト渋谷店
購入理由:
おそらく9割の人に誤解されていることを前提に断っておくが、私はこの特集が読みたくて購入したわけでは断じてない。そういう話を期待した方、ごめんなさい。
今回のデラックスマーガレットに掲載されたこだまけいの『この星の上、夜のすきまに』を読むため購入。ちなみに特集とはなんの関係もない。
縁あって彼女のマンガを近年読み続けているが、今回は40Pの長編。ポップコメディなスタイルでその世界を形作ってきた彼女だが、今回もあいかわらずのライトな言語感覚、細部のディテールの豊かさにより物語を盛り上げている。
少女マンガ雑誌を店頭で買うことに抵抗はないものの、この特集はないだろうと思い、しかし買っている私が言うのも変な話であった。

未読日記67 「勅使河原宏展」

2007-07-25 23:23:46 | 書物
タイトル:勅使河原宏展 限りなき越境の軌跡
デザイン:大溝裕(Glanz)
発行:埼玉県立近代美術館、財団法人草月会
発行日:2007年7月14日
内容:
同名展覧会の図録。

家元継承といけばな
竹のインスタレーション
陶芸と『利休』と茶会
映画と草月アートセンター
前衛芸術運動と「世紀」

購入日:2007年7月16日
購入店:埼玉県立近代美術館
購入理由:
勅使河原宏の生誕80年を機に開催されている展覧会の図録。
残念ながら展覧会は、この美術館では規模も小さく、出品作品も展示も物足りないものとなってしまった。壮大な竹のインスタレーションを数々手がけた宏なのだから、美術館の入り口や建物全体を使って、スケールの大きいインスタレーションを見せてほしかった。草月流の創流80周年と無理やり合わせたのと、展覧会準備期間の少なさがこのような物足りなさが残る展覧会となってしまった理由だろう。以前、世田谷美術館で開催された<勅使河原蒼風展>はまれに見る充実した展覧会であった。実に調査・研究されたボリュームのある内容と展覧会カタログはいまも愛着がある図録のひとつである。この宏展カタログは、サイズが大きく収まりが悪く、ページ数も少ないし、学芸員の書き下ろし論文ひとつない。過去に書かれた宏関連のテキストを収めたのはよいとしても、それでも少ない。さらに、この勅使河原宏展は、宏を以前から知っている人はともかく、初めて名前を知った一般の人、学生などにははなはだ不親切な内容である。「映画と草月アートセンター」のセクションにいたっては、資料、展示の情けなさにがっかりしてしまう。これだけで展覧会ひとつ開けるくらいの充実した活動なのだから、もっと研究の成果を見せてほしいところだ。
しかし、勅使河原宏という傑出した人物の全貌とはいかないまでも、その片鱗は触れることができるのでまずはよしとしよう。次は生誕100年を機により大規模に、その全貌を見せてほしいと思う。そのための布石としてこの展覧会を予告編としてとらえることにしよう。

勅使河原宏展 限りなき越境の軌跡
2007年7月14日(土)―10月8日(月・祝)
埼玉県立近代美術館

未読日記66 「努力論」

2007-07-24 23:49:55 | 書物
タイトル:努力論
著者:幸田露伴
発行:岩波書店/岩波文庫
発行日:1940年2月16日(2004年5月17日第5版)
内容:
「努力している、もしくは努力せんとしている、ということを忘れていて、我がなせることがおのずからなら努力であってほしい」。何かをなそうとしても、ままならぬことの多いこの世の中で、いたずらに悩み苦しまずにのびのびと勢いよく生きるにはどうすればよいか―達人露伴の説く幸福論。(解説=中野孝次)
(本書表紙解説より)

購入日:2007年7月15日
購入店:BOOK-OFF 学芸大学駅前店
購入理由:
以前、京都の本屋で見かけて欲しかった本。その時は、金銭上買えなかった。その後、欲しいと思っていたら、古本で見つけ手に入れることができた。
「努力論」というタイトルから、説教臭く感じられそうだが、当然まだ読んでないのでそれはわからない。しかし、明治の幸田露伴ならそんな本でもかまわないとも思う。
幸田露伴ついでに娘・幸田文の「木」は、植物関係図書として気になっているし、「流れる」は雑誌en-taxiで取り上げられていて、これも読みたい1冊。さらに、「木」と言えば、白州正子の「木」も<青山二郎の眼>展(世田谷美術館)に合わせて読みたいと考えているが、いまだ手をつけられずにいる。そういえば今年は岩波文庫創刊80周年だとかで、岩波文庫をいろいろ読もうと正月に少し思いついたりもしたが、結局あまり手をつけられていない。これも「努力」がたりないということか。

未読日記65 「ベルリンの幼年時代」

2007-07-20 22:34:52 | 書物
タイトル:ヴァルター・ベンヤミン著作集12 ベルリンの幼年時代
著者:ヴァルター・ベンヤミン 小寺昭次郎訳
発行:晶文社
発行日:1971年9月30日
内容:
幼年時代とはいったい何か
危機の時代に己れの生の証しとして書き遺した厳しく清澄な感受性にみちた自伝

過去とは未知の未来を浮びあがらせる透し絵だろうか。己にとっての幼年時代を辿ることで、生の証しを求めたベンヤミンの遺した最も厳しく美しい散文。ファシズムの時代にあって、生を希求しながらなお、死を孕まざるを得なかった清澄な感受性に貫かれた、文学者ベンヤミンのもうひとつの肖像をつたえる卓抜な自伝の試み。(本書帯より)

購入日:2007年7月15日
購入店:古本遊戯 流浪堂
購入理由:
これもベンヤミン著作集から。
私はベルリン好きなのだ。本では「ベルリン物語」橋口譲二、「ベルリンの瞬間」平出隆、「THE BERLIN WALL」土田ヒロミ・・・音楽では「ベルリン」ルー・リード、映画では「ベルリン 天使の詩」ヴィム・ベンダース、「BeRLiN」利重剛・・・。ベルリンという都市、それも東西冷戦時代に建てられた壁というものに思春期の頃から私は興味があった。こんど、ベルリンに行きたいと考えてはいるが、まずは「ベルリン」という単語が冠されたこの本を読むことにしよう。
これは、現在読書中のプルースト「失われた時を求めて」のパリからベンヤミンの「ベルリン」へと移行するひとつの移動であり旅である。都市をめぐる記憶、思い出、幼年時代というものをテキストにより考察する試みでもある。



未読日記64 「ボードレール」

2007-07-19 22:26:01 | 書物
タイトル:ヴァルター・ベンヤミン著作集6 ボードレール 新編増補
著者:ヴァルター・ベンヤミン 川村二郎・野村修・円子修平訳
ブックデザイン:平野甲賀
発行:晶文社
発行日:1975年9月30日
内容:
19世紀の首都パリの喧噪の中で苦悩の「芸術の生」を送った天才詩人の像を刻む芸術批評の精髄。新編増補版
あらゆる「近代芸術」が担わねばならなかった克服しがたい悪条件を、全身に引きうけて闘った遊民ボードレール。詩人の「夢」は、同じ路地づたいに生きた革命的陰謀家ブランキの「行動」とまさしく通底していた。この「芸術の生」を透徹した弁証法的思考によって批評化したベンヤミンの最高作と謳われる遺稿のすべてを集成した新編増補版。
(本書帯より)

購入日:2007年7月15日
購入店:古本遊戯 流浪堂
購入理由:
ベンヤミンによるボードレール論をまとめた著作集の6巻目。この全集はなかなか古本屋に出回ることがないため、つい衝動買いをしてしまった。いつぞや名古屋の古本屋で『暴力批判論』『文学の危機』を購入して以来か。ベンヤミンはいつかきちんと精読をしてみたい批評家なのだが、なかなか手がつけられないでいる。しかし、いまプルーストの『失われた時を求めて』を読んでいるので、19世紀パリつながりで次はボードレールへと読書をつなげていこうと考えているので、このベンヤミンの本はボードレールの読書により深い道を与えてくれることになるかもしれない。

2007年7月18日9時35分

2007-07-18 22:52:36 | Weblog
・・・ている「次の段階の措置」の年内完了に北朝鮮が応じる姿勢を見せたことで、今後、作業部会の開催など具体的な手順をどう詰めるかが焦点となる。ただ、申告の範囲や無能力化の対象をめぐって米朝間で激しく対立することが予想され、難航は必至だ。
 韓国首席代表の千英宇(チョン・ヨンウ)外交通商省朝鮮半島平和外交本部長は会合後の記者会見で、「北朝鮮は最短の期日内に、今年以内、5~6か月内にも、申告と無能力化まで行う意思があることを示した」と述べた。
 これについて米国首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補は、「目標とする時間的な枠組みについて良い議論ができた」としながらも、年内完了で合意したかどうかは明らかにしなかった。日本政府筋も「そういう理解はしていない。(北朝鮮は)適切な時期に行う用意があると述べた」と説明した。ヒル次官補によれば、目標期間は最終日の19日に議長国・中国が発表する議長声明に盛り込・・・
(2007年7月18日読売新聞より)

未読日記63 「勅使河原宏カタログ」

2007-07-18 22:47:40 | 書物
タイトル:勅使河原宏カタログ
編・著:草月出版編集部
ブックデザイン:長友啓典+K2
イラスト:平松尚樹
発行:株式会社草月出版
発行日:1982年11月10日
内容:
人を魅了する笑顔、細やかな心くばり、スタイリストにして紳士―その内側にひそむ自由な精神と強烈な創造への意志。子供時代から現在にいたるまで、勅使河原宏のすべてをこの一冊におさめて。

目次から
・一年間にわたって徹底密着取材した“勅使河原宏のすべて"を初公開。
・初恋から芸術観まで、しゃべりすぎたと後悔しきりの●なんでも聞いてよ―一○○の質問。
・絵画、映画、陶芸、いけばなを通じて、精神の自由の大切さを語る●インタビュー
・友人や先輩、仕事仲間らがその素顔を明かす●私の知っている勅使河原宏―13人が語る。
・他に、人物論、作家論、代表的映画作品のスチール、ガウディの建築写真、エッセイ、年譜を収録。
(本書帯より)

贈呈日:2007年7月14日
草月関係の方より頂いたもの。たいへん貴重な勅使河原宏本である。草月出版が発行元だけに、草月会員向けとしか思えない週刊誌的な俗っぽさがある。例えば、<なんでも聞いてよ100の質問>だ。「ファーストキスは?」「得意な料理は、ピラフ?」「好きな女性のタイプは?」などというどうでもいい質問には苦笑を越えて寒気をおぼえるが、これも80年代という時代のせいだろうか。しかし、ロングインタビューやエッセイにおいては、勅使河原宏という人物のエッセンスは充分感じられるので、貴重な資料であることに間違いはない。

未読日記62 「ゲルマントの方Ⅱ」

2007-07-17 23:45:17 | 書物
タイトル:失われた時を求めて6
     第三篇 ゲルマントの方Ⅱ
著者:マルセル・プルースト 鈴木道彦訳
装丁:木村裕治
カバー画:キース・ヴァン・ドンゲン「接吻」
発行:集英社/集英社文庫ヘリテージシリーズ
発行日:2006年8月23日
内容:
発作を起こした祖母が、まるでうら若い娘のような姿で息を引きとる(第三篇Ⅱ 第一章)。パリのアパルトマンに、以前とくらべて明らかに変化し成熟したアルベルチーヌが、不意に語り手を訪ねて来る。このころ、語り手は夜会でゲルマント公爵夫人と言葉を交わしたり、また夕食に招かれたりするようになる。こうして、パリの社交界で最も輝かしい存在に近づいた語り手に、華やかだが滑稽で醜い上流社会の人たちの生態が見えてくる(第三篇Ⅱ 第二章)。
エッセイ:四方田犬彦
(本書カバー裏解説より)

購入日:2007年7月8日
購入店:丸善 日本橋店
購入理由:
ひたすら上流社会の社交界での描写の比重が多くなる「ゲルマントの方」は、語り手は夜会の情景を観察し、そして記述し続ける。これだけ言葉を紡いでいっても、全13巻の書物になってしまうことに驚嘆するが、言葉を読むことが「見る」ことにつなるがる書物はそうはない、だろう。

未読日記61 「メゾン四畳半」

2007-07-16 23:57:27 | 書物
タイトル:メゾン四畳半 藤森照信
アートディレクション:犀
発行:エルメスジャポン株式会社
発行日:2007年6月
内容:
同名展覧会のカタログリーフレット。
会場風景写真、藤森照信による作品解説、藤森照信略歴、主要著作リスト、建築作品リスト収録。

入手日:2007年7月7日
入手場所:メゾンエルメス8階 フォーラム
詳しくはわからないが、メゾンエルメス8階のフォーラム会場内に四畳半の家を3件制作するというプロジェクトだったようだ。そのため展覧会終了後にカタログが完成し、現在行われている展覧会会場で配布されていたもの。
エルメスに四畳半という響きだけでも藤森の企画力・行動力には感嘆する。
ちなみに現在は以下の展覧会を開催中。

ホルヘ・パルド展:無題
Jorge Pardo : Untitled
2007年6月27日―9月9日
メゾンエルメス8階 フォーラム

未読日記60 「POLA新鋭展2007」

2007-07-16 23:44:08 | 書物
タイトル:POLA新鋭展2007 「あなたの物語を楽しんで下さい」
発行:ポーラミュージアムアネックス
発行日:2007年7月3日
内容:
同名展覧会のリーフレット。
本年は荒木珠奈(インスタレーション)、ムラタ有子(絵画)の2人。
今回のキュレーションは西松典宏。
「あなたの物語を楽しんで下さい」西松典宏(美術番組プロデューサー)によるテキスト収録。

入手日:2007年7月7日
入手場所:ポーラミュージアムアネックス
ムラタ有子は、ポラリスというダブポップバンドのCDジャケットを手がけていて、私はそこで彼女の作品を知った。なぜか、今回の彼女のテーマは「かわいい」だという。もっとも「あなたの物語を楽しんで下さい」などという長ったらしくて、意味不明なサブタイトルでは、テーマにもならないので作家の方でテーマを設定したということか。しかし「かわいい」は失敗な気がする。
ちなみに、荒木の「蛹の舟」という小さな紙の舟をたくさん吊り下げた作品は、現在資生堂ギャラリーにて開催中の蔡國強の作品と近く、私には蔡の方が印象深かった。

POLA新鋭展2007 「あなたの物語を楽しんで下さい」
荒木珠奈・ムラタ有子
2007年7月3日―7月29日
ポーラミュージアムアネックス

時光―蔡國強と資生堂
2007年6月23日―8月12日
資生堂ギャラリー