A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

美術回顧2014

2014-12-31 23:33:22 | 美術
2014年の最後に今年印象に残った展覧会を挙げて、本年を締めくくります。順位はなく、鑑賞順です。どうもありがとうございました。

美術館編
村上華岳展 : 霊と艶をもとめて(2014年2月1日~3月16日)笠岡市立竹喬美術館
アンディ・ウォーホル展「永遠の15分」(2014年2月1日~5月6日)森美術館
丹羽康博「詩としての行為」 : APMoA Project, ARCH vol.10(2014年6月20日~7月21日)愛知県美術館
NIPPONパノラマ大紀行~吉田初三郎のえがいた大正・昭和~(2014年7月26日~9月15日)名古屋市博物館
ゴー・ビトゥイーンズ展 こどもを通して見る世界(2014年5月31日~8月31日)森美術館
熊谷守一展「守一のいる場所」(2014年9月5日~10月19日)岐阜県美術館
美少女の美術史~憧れと幻想に彩られた私たちの偶像~(2014年9月20日~11月16日)静岡県立美術館
Art trip vol.01窓の外、恋の旅。/風景と表現(2014年9月27日~11月30日)芦屋市立美術博物館
ジャン・フォートリエ展(2014年9月27日~12月7日)国立国際美術館
フィオナ・タン「まなざしの詩学」(2014年12月20日~2015年3月22日)国立国際美術館

ギャラリー編
若杉聖子作品展「Snow Blossoms」(2014年3月19日~4月6日)ギャラリーあしやシューレ
森口ゆたか展「あしたの光」(2014年4月22日~5月4日)ギャラリーすずき
水内義人のライトアーカイブス~パブリック・パブリッシュ・パブ~(2014年5月12日~5月25日)FUKUGAN GALLERY
吉岡千尋「muqarnas」(2014年6月17日~6月29日)アートスペース虹
村上将城×Seth High「Works On Paper」(2014年9月5日~9月21日)gallery near
いくしゅん『愛。ただ愛』(2014年9月14日~9月28日)FUKUGAN GALLERY
横山大介 写真展「ひとりでできない」(2014年10月4日~10月26日)CAP STUDIO Y3
山口和也「KAKIAIKKO」 : TRACES -三人の跡-(2014年11月22日~11月30日)trace
六人部郁子 個展(2014年12月9日~12月14日)ギャラリーモーニング
大野浩志展(2014年12月15日~12月27日)Oギャラリーeyes

番外
伊藤正人「声にすること scene:03 -Jacobsplan-」(2014年5月31日21:00~25:00くらい)Pub Arco
宮本博史+あべのま「プロジェクトのためのリサーチ・プロジェクト まずは、聴いてみないと ku・ra・shi」


今年見た展覧会は816ほど。多いのか少ないのかよくわかりません。
選出にあたっては、私がイベント参加、テキスト執筆等で関わった展覧会は除外しました。

美術館編、ギャラリー編ともに共通しているのは、巨匠、ベテラン、中堅、若手のアーティストによる回顧展、新作展に良質なものが多かったことでしょうか。あるいは単に私が保守的なだけかもしれません。
「ゴー・ビトゥイーンズ展」は、サンテリ・トゥオリ《赤いTシャツ》(2003)、リネカ・ダイクストラ《女の人が泣いています(泣く女)》(2009)が最高でした。
「美少女の美術史展」は、普段の私の趣味ではないものも見られて、刺激を受けました。
「窓の外、恋の旅。/風景と表現」は、ヤマガミユキヒロ《新宿コーリング》(2014)に打ちのめされました。

ギャラリー編は、よい展覧会が多く選出に悩みました。今年は豊作でした。京都はクローズするギャラリーが多い一年でありましたが、同世代のアーティストが着実に力のある仕事をしているのを見ると、頼もしい感がします。

番外編として2つ加えました。
1つは、伊藤正人によるパフォーマンスのようなリーディングイベント「声にすること」。アイリッシュパブのなか、店主のきびきびした動作を見つつ、酔った頭で伊藤さんのか細い声に耳をすました時間は、冬の今でも鮮やかに思い出す気持ちのいい時間でした。

2つ目は、大阪・あべのまで宮本博史さんとあべのまが毎月行っているリサーチプロジェクト。私は、vol.5「思春期のスマホ写真スライドショー大会(ガラケーでもいいよ)」とvol.6「年賀状はつらいよ ~押し入れの年賀状 持ち寄り会~」に参加させて頂きましたが、どれも濃密で楽しい時間を過ごさせて頂き、生活や文化のおもしろさにあらためて気づく機会となりました。

とかくアート界は、好き嫌いや党派・派閥・学閥・女子会・同郷での交流が多いようですが、根なし草の私にはどうでもいいことです。
いつもバタバタとしておりますが、またどこかで皆さまとお話させて頂くのを楽しみにしております。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

活動報告2014

2014-12-30 23:11:10 | Weblog
2014年の終わりに今年一年の活動をまとめてみました。
2014年も大変多くの方にお世話になりました。イベントに来て下さった方、テキストをお読み頂いた方、気にかけて頂いた方などなど本当に皆さまあってのお仕事だと心より感謝しております。ご縁がありましたら、ぜひご一緒に何かやりましょう。
2015年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

【キュレーション・企画】
2014.1.18 SlideShowStudies(SSS) vol.2 Next Slide...山口和也「光の対話」、trace、京都
2014.5.10 SlideShowStudies(SSS) vol.3 Next Slide...宮本博史「M家の場合」、つくるビル202号室マルニアトリエカフェ、京都

【論文・テキスト】
2014.2 「CHAOSMOS PAINTINGS」『nakajima mugi: blue on blue』Gallery OUT of PLACE、奈良
2014.3 「彫刻の不条理について」『花岡伸宏 Nobuhiro Hanaoka』リーフレット、MORI YU GALLERY、京都
     「置物の日常」友枝望著『CLUSTER』友枝望、広島
2014.6 修士論文「大正・昭和の観光案内図の変遷――吉田初三郎を中心に」
2014.7 「碑文」『薬師川千晴展:絵画碑』会場配布資料、Gallery PARC、京都
     「須永順子 笑う池」『須永順子個展:笑う池』ギャラリー知、京都
     「絵画のかたち」『長尾圭展 めぐり めぐる』リーフレット、Oギャラリー、東京
2014.8 「A SENSE OF PAINTING」『A Sense of Mapping―私の世界の測り方―松本絢子・山城優摩展』Gallery PARC、京都(未発表)
2014.9 「家族アルバムの時代―宮本博史を中心に」『映像試論100』第4号、Port Gallery T、大阪
2014.10 つくるビルゼミコラムvol.1「年表をつくる」つくるビルウェブサイト
     「11月1日」手塚敦史著『おやすみの前の、詩篇』書評、『ふらんす堂通信』142号、ふらんす堂、東京
2014.11 つくるビルゼミコラムvol.2「「年問題」を考える。」つくるビルウェブサイト
     「双子のタイポロジー」藤安淳ウェブサイト
2014.12 つくるビルコラムvol.3「美術雑誌なんかいらない!」つくるビルウェブサイト

【トーク、講演、シンポジウム】
2014.3.7 宮本博史「self community 家族について(box archive)&おふくろの味」トークイベント、Calo Bookshop & Cafe、大阪
2014.3.23 預言と矛盾のアクロバット Ideas on the move #3「仮想授業:はじまりのドクメンタ」、京都芸術センター3階ミーティングルーム2、京都
2014.7.26 KAMO 14th Meeting、Calo Bookshop & Cafe、大阪
2014.8.10 「A Sense of Mapping―私の世界の測り方―松本絢子・山城優摩展」関連トークイベント「地図感覚のこと」、Gallery PARC、京都
2014.9.25 つくるビルゼミ9月、つくるビル202号室、京都
2014.10.14 つくるビルゼミ10月「「□□□□年問題」を考える。」つくるビル202号室、京都
2014.11.17 つくるビルゼミ11月「美術雑誌なんかいらない!」つくるビル202号室、京都
2014.11.29 enoco[study?]#2 堀川すなおワークショップ&中間発表、大阪府立江之子島文化芸術創造センター4階ルーム2、大阪
2014.12.15 つくるビルゼミ12月「このフライヤーがすごい2014」つくるビル202号室、京都

【審査】
2014.1 Gallery PARC Art Competition 2014、Gallery PARC、京都
     入選:むらたちひろ、ASM実行委員会(代表・企画:森川穣 作家:松本絢子・山城優摩)、薬師川千晴
2014.9 「アーティスト・サポート事業 enoco [study?]#2」、大阪府立江之子島文化芸術創造センター、大阪
     入選:堀川すなお

【セレクター】
2014.12 「almanac #13 depositors meeting 12」art & river bank、東京
     セレクト作家:伊藤正人、常本若菜、丹羽康博、薬師川千晴、横山大介

【企画協力】
2014.12.13 〈プロジェクトのためのリサーチ・プロジェクト〉まずは、聴いてみないと ku・ra・shi Vol.06「年賀状はつらいよ ~押し入れの年賀状 持ち寄り会~」あべのま、大阪

【装幀】
2014.2 手塚敦史著『おやすみの前の、詩篇』ふらんす堂、2014



未読日記973 『イメージ人類学』

2014-12-28 23:44:09 | 書物
タイトル:イメージ人類学
タイトル別名:Bild-Anthropologie : Entwürfe für eine Bildwissenschaft
著者:ハンス・ベルティンク
訳者:仲間裕子
装幀者:間村俊一
カヴァージャケット・表紙写真:Marcel Duchamp, Cast Shadows, 1918
発行:東京 : 平凡社
発行日:2014.10
形態:375p ; 22cm
注記:文献一覧: p355-366
内容:
イメージはノマドである
人類学的アプローチにより〈イメージ=メディア=身体〉の相互作用をはじめて理論化。『美術史の終焉?』の著者によるイメージ学の記念碑的著作、待望の日本語版。

目次
日本語版への序文
まえがき
第1章 イメージ=メディア=身体――主題の概説
第2章 イメージの場所2――人類学的試論
第3章 人間像(イメージ)としての身体像(イメージ)――表象の危機
第4章 紋章と肖像画――身体の二つのメディア
第5章 像(イメージ)と死――太古の文化における体現化(写真をめぐるエピローグとともに)
第6章 イメージと影――ダンテのイメージ論とその芸術論への変容
第7章 メディアの透明性――写真のイメージ
原注
訳者あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引

購入日:2014年12月27日
購入店:紀伊國屋書店 梅田本店
購入理由:
 お値段的に躊躇する値段だが、来年に控えるtimelake展テキストの参考になるかと思い購入。また、学会でお世話になった仲間裕子先生の訳著という点も購入を後押しした。年末年始は本を読んでのんびり過ごせるか・・。


未読日記972 『KAKIAIKKO』

2014-12-27 23:50:43 | 書物
タイトル:KAKIAIKKO : Kazuya Yamaguchi
著書:山口和也
発行:京都 : 山口和也
発行日:2014.11
形態:57p ; 30cm
注記:ed. 1/30 限定30部
内容:
神戸のライブハウス"Big Apple"にて、二年間に渡って描かれた "KAKIAIKKO" 全24作品が収録された作品集。

購入日:2014年12月25日
 著者より購入。京都・traceにて開催された「TRACES -三人の跡-:山口和也 KAKIAIKKO」(2014年11月22日~11月30日)のフライヤーの作品集発売の記載があり、これは欲しいと思いに週末に昼頃出かけたが、刷り直しをしており、今日中に着くということだった。だが、夕方に予定があり納品まで待っていられず、予約だけして帰ることになった。その後、購入せねばと思いつつ、すれ違いや予定が合わなかったりで購入できずにいた。さてどうしたものやらと思っていたところ、忘年会のお誘いを受けてようやく購入できた。しかもエディション1をご用意頂きありがとうございます。

 本書は、2012~2013年の2年間、神戸のライブハウスBig Appleで毎月、ミュージシャンと即興演奏・即興制作によって描く「KAKIAIKKO」の作品集である。私は最終回となる野村誠編しか見れていないのだが、とてもおもしろいイベントであった。会場ではライブの印象が強く残った面もあったが、今回の展覧会、作品集を見て、音楽から自立した絵画として強い存在感があり驚いた。とても見応えのある絵画ですばらしかった。
 もうひとつ驚いたのが、会場にあったファイルに峯村敏明氏のテキストがあったことである。これは山口の転機となった絵画の全国公募展 関口芸術基金賞(TAMON賞)の審査員評であった。これがまたすばらしい審査評であった。恩師が山口和也を評価していた先見の明には脱帽するしかない。


未読日記971 『過去は死なない』

2014-12-26 23:53:37 | 書物
タイトル:過去は死なない――メディア・記憶・歴史 (岩波現代文庫)
タイトル別名:The past within us : media/memory/history
著者:テッサ・モーリス-スズキ
訳者:田代泰子
発行:東京 : 岩波書店(岩波現代文庫, 学術 ; 312)
発行日:2014.6
形態:vii, 341, 27p ; 15cm
注記:2004年8月岩波書店刊行の岩波現代文庫版
    参考文献: 巻末p1-24
内容:
長き論争を超えて、歴史への新たな対話はいかにして可能になるか。その主題は東アジア諸国間で我々自身が直面する課題であり、世界の至るところでさまざまな問題が噴出している同時代の課題である。本書は、過去のイメージを多様な角度から再生産する小説・写真・映画・インターネットなど数多くのメディアが提示する歴史像を解読し、求められていることは「歴史への真摯さ」であることを読者に示唆する。歴史問題を考察する人にとって必携の書。

目次
第1章 過去は死んでいない
第2章 想像しがたい過去―歴史小説の地平
第3章 レンズに映る影―写真という記憶
第4章 活動写真―歴史を映画化する
第5章 視角―漫画の見る歴史
第6章 ランダム・アクセス・メモリー―マルチメディア時代の歴史
第7章 “歴史への真摯さ”の政治経済学に向かって
著者あとがき
解説 成田龍一
図版出典一覧
参考文献

購入日:2014年12月22日
購入店:BOOKOFF 京都三条駅ビル店
購入理由:
 2014年11月27日の朝日新聞朝刊で読んだ高橋源一郎の論壇時評「孤独な本 記憶の主人になるために」で知った1冊。週末に大阪に行ったときに書店で中を見てみたら、第3章に家族アルバムの記述があり、これは読まねばと思ったが、その時はお金がなくて保留にしていた。たまたま別件で入ったブックオフの書棚で探したら見つけたので購入。

未読日記970 『日本の歴史をよみなおす(全)』

2014-12-25 23:37:32 | 書物
タイトル:日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
著者:網野善彦
カバーデザイン:神田昇和
カバー装画:五台山清涼寺蔵『融通念仏縁起絵巻』より
装幀者:安野光雅
発行:東京 : 筑摩書房(ちくま学芸文庫, [ア-17-2])
発行日:2012.4第24刷(2005.7第1刷)
形態:409p ; 15cm
注記:「日本の歴史をよみなおす 正・続」(1991,1996年刊)の合本
    シリーズの巻号はジャケットによる
内容:
日本が農業中心社会だったというイメージはなぜ作られたのか。商工業者や芸能民はどうして賤視されるようになっていったのか。現代社会の祖型を形づくった、文明史的大転換期・中世。そこに新しい光をあて農村を中心とした均質な日本社会像に疑義を呈してきた著者が、貨幣経済、階級と差別、権力と信仰、女性の地位、多様な民族社会にたいする文字・資料の有りようなど、日本中世の真実とその多彩な横顔をいきいきと平明に語る。ロングセラーを続編とあわせて文庫化。

目次
日本の歴史をよみなおす
はじめに
第1章 文字について
第2章 貨幣と商業・金融
第3章 畏怖と賤視
第4章 女性をめぐって
第5章 天皇と「日本」の国号
あとがき

続・日本の歴史をよみなおす
はじめに
第1章 日本の社会は農業社会か
第2章 海からみた日本列島
第3章 荘園・公領の世界
第4章 悪党・海賊と商人・金融業者
第5章 日本の社会を考えなおす
あとがき

購入日:2014年12月22日
購入店:BOOKOFF 京都三条駅ビル店
購入理由:
 こちらも探していた本とは別に読みたかった1冊なので購入。主に天皇に関する記述に興味がある。


未読日記969 『東と西の語る日本の歴史』

2014-12-24 23:52:59 | 書物
タイトル:東と西の語る日本の歴史 (講談社学術文庫)
著者:網野善彦
カバーデザイン・装幀:蟹江征治
カバー図版:後三年合戦絵詞(東京国立博物館蔵)
発行:東京 : 講談社(講談社学術文庫, [1343])
発行日:2007.4第26刷(1998.9第1刷)
形態:340p ; 15cm
内容:
日本人は同じ言語・人種からなるという単一民族説にとらわれすぎていないか。本書は、日本列島の東と西に生きた人々の生活や文化に見られる差異が歴史にどんな作用を及ぼしてきたかを考察し、考古学をはじめ社会・民俗・文化人類等の諸学に拠りながら、通説化した日本史像を根本から見直した野心的な論考である。魅力的な中世像を提示して日本の歴史学界に新風を吹き込んだ網野史学の代表作の一つ。

目次
学術文庫版まえがき
1 はじめに
2 「ことば」と民俗―東と西の社会の相違
3 考古学からみた東と西
4 古代の東国と西国
5 「僦馬の党」と「海賊」
6 東の将門、西の純友
7 源氏と平氏―東北・東国戦争と西海の制覇
8 東国国家と西国国家
9 荘園・公領の東と西
10 イエ的社会とムラ的社会
11 系図にみる東西
12 東は東、西は西
13 東と西を結ぶもの
14 東国と九州、西国と東北
15 東の文化と西の文化
あとがき(原本)
解説 山折哲雄
索引

購入日:2014年12月22日
購入店:BOOKOFF 京都三条駅ビル店
購入理由:
 こちらも探し物の途中で見つけた前から読みたかった1冊。東に生まれ育ち、現在は西で生活する私にとって、東西の比較はとてもおもしろい。

未読日記968 『人間の条件』

2014-12-23 23:34:47 | 書物
タイトル:人間の条件 (ちくま学芸文庫)
タイトル別名:The human condition
著者:ハンナ・アレント
訳者:志水速雄
カバー・デザイン:渡辺千尋
装幀者:安野光雅
発行:東京 : 筑摩書房(ちくま学芸文庫, [ア-7-1])
発行日:2014.1第26刷(1994.10第1刷)
形態:549p ; 15cm
注記:原著(University of Chicago Press, 1958)の翻訳
    底本: 「人間の条件」(中央公論社, 1973年5月刊)
    叢書番号はブックジャケットによる
内容:
条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アレントの主著のひとつである。

目次
プロローグ
第1章 人間の条件
第2章 公的領域と私的領域
第3章 労働
第4章 仕事
第5章 活動
第6章 〈活動的生活〉と近代
謝辞
訳者解説
文庫版解説(阿部齊)

購入日:2014年12月22日
購入店:BOOKOFF 京都三条駅ビル店
購入理由:
 新聞で見た新書を探しに立ち寄ったのだが、前から欲しかった本を見つけてしまい衝動買い。目下、複数の仕事を抱えているので、しばらく積読になるが、ちまちまと読んで行こうと思う。

未読日記967 『おみやげと鉄道』

2014-12-22 23:52:57 | 書物
タイトル:おみやげと鉄道 名物で語る日本近代史
著者:鈴木勇一郎
カバーイラスト:いぬんこ
装幀:坂本陽一(モッツ)
発行:東京 : 講談社
発行日:2013.2
形態:286p ; 19cm
内容:
おみやげは万邦無比の文化である!
日本各地の駅を訪れると、饅頭や羊羹、弁当などの食品が、その土地の名物として売られている。私たちにとって当たり前のこの光景は、実は他の国ではほとんど見られない(ロンドンのターミナルで「ビッグベン当」のようなものは見あたらない)。この類い稀なる「おみやげ」という存在は、鉄道を筆頭とする「近代の装置」が、日本の歴史、文化と相互作用して生まれたものだった。近代おみやげの誕生と発展のありさまを描き出す、本格的歴史研究。

目次
序章 おみやげの起源とおみやげ文化
第1章 鉄道と近代おみやげの登場
第2章 近代伊勢参宮と赤福
第3章 博覧会と名物
第4章 帝国日本の拡大と名物の展開
第5章 温泉観光とおみやげ
第6章 現代社会の変容とおみやげ
終章 近代の国民経験とおみやげ

あとがき
名物索引

購入日:2014年12月20日
購入店:紀伊國屋書店 梅田本店
購入理由:
 今年の秋に見かけて読みたいと思っていた1冊。少し仕事が落ちついたので、おみやげを買う年末年始に合わせて読もうと思い購入。私の関心としては「鉄道」という「近代の装置」が与えた文化変容にある。それは吉田初三郎の鳥瞰図にも関連することだと思うので、ツーリズム研究としても参考にしたい。


未読日記966 『ニーチェと哲学』

2014-12-21 23:22:05 | 書物
タイトル:ニーチェと哲学 (河出文庫)
タイトル別名:Nietzsche et la philosophie
著者:ジル・ドゥルーズ
訳者:江川隆男
カバーデザイン:戸田ツトム
カバーフォーマット:佐々木暁
ロゴ・表紙デザイン:粟津潔
本文フォーマット:佐々木暁
発行:東京 : 河出書房新社(河出文庫)
発行日:2008.8
形態:465p ; 15cm
内容:
ドゥルーズ初期の代表作であるとともにニーチェの復権の烽火となった名著の画期的な新訳。ニーチェ哲学を体系的に再構築しつつ、「力能の意志」、そしてニヒリズムの極限形式にして存在の一義性としての〈永遠回帰〉をあざやかに論じ、生成/存在、肯定/肯定の肯定としてのニーチェ/ドゥルーズの核心をあきらかにする。

目次
第1章 悲劇的なもの
 1系譜の概念
 2意味
 3意志の哲学
 4弁証法に抗って
 5悲劇の問題
 6ニーチェの進化
 7ディオニュソスとキリスト
 8悲劇的なものの本質
 9実存の問題
 10実存と無垢
 11骰子の一擲
 12永遠回帰のための諸帰結
 13ニーチェの象徴主義
 14ニーチェとマラルメ
 15悲劇的思考
 16試金石
第2章 能動的と反動的
 1身体
 2諸力の区別
 3量と質
 4ニーチェと科学
 5永遠回帰の第一の側面――宇宙論的で自然学的な理説としての永遠回帰
 6力能の意志とは何か
 7ニーチェの術語法
 8起源と転倒した像(イマージュ)
 9諸力の測定問題
 10序列
 11力能の意志と力能の感情
 12諸力の〈反動的‐生成〉
 13意味の価値の両面性
 14永遠回帰の第二の側面――倫理的で選択的な思考としての永遠回帰
 15〈永遠回帰〉の問題
第3章 批判
 1人間諸科学の変形
 2ニーチェにおける問いの定型表現
 3ニーチェの方法
 4先行者たちに抗って
 5悲観主義とショーペンハウアーに抗って
 6意志の哲学のための諸原理
 7『道徳の系譜』の構図
 8ニーチェとカント――諸原理の観点から
 9批判の実現
 10ニーチェとカント――諸帰結の観点から
 11真理の概念
 12認識、道徳、宗教
 13思考と生
 14芸術
 15思考の新たな像(イマージュ)
第4章 怨恨(ルサンチマン)から疚しい良心へ
 1反動と怨恨(ルサンチマン)
 2怨恨(ルサンチマン)の原理
 3怨恨(ルサンチマン)の類型
 4怨恨(ルサンチマン)の諸特徴
 5彼はよいか、彼は悪いか
 6誤謬推理(パラロギスム)
 7怨恨(ルサンチマン)の展開――ユダヤ教の僧侶
 8疚しい良心と内面性へ
 9苦痛の問題
 10疚しい良心の展開――キリスト教の僧侶
 11歴史以前の観点から考察された文化
 12歴史以後の観点から考察された文化
 13歴史の観点から考察された文化
 14疚しい良心、責任、有罪
 15禁欲主義的理想と宗教の本質
 16反動的諸力の勝利
第5章 超人――弁証法に抗って
 1ニヒリズム
 2同情の分析
 3神は死んだ
 4ヘーゲル主義に抗って
 5弁証法の諸転身
 6ニーチェと弁証法
 7高次の人間についての理論
 8人間は本質的に「反動的」であるか
 9ニヒリズムと価値変質(トランスミュタシオン)――焦点
 10肯定と否定
 11肯定の意味
 12二重の否定――アリアドネ
 13ディオニュソスとツァラトゥストラ
結論
原注
訳者解説 ニーチェの批判哲学――時間零度のエクリチュール
訳者あとがき

購入日:2014年12月20日
購入店:紀伊國屋書店 梅田本店
購入理由:
 来年春に開催されるグループ展のための執筆するテキストの参考文献として購入。まだ書く内容を整理しているところだが、どうなりますやら。