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「IPO(新規公開株)をわかりやすく解説|」

2024-05-07 07:49:46 | 日本

◎上場前の値上がりしやすい株式を買う方法と注意点

IPOとは、新たに証券取引所に上場する新規公開株を上場前に購入することです。新規公開株は上場後に値上がりする可能性が高いため、多くの投資家に人気があり購入は抽選となることもあります。


◎IPO(新規公開株)とは

株式会社には、上場している企業と上場していない企業があります。証券取引所に上場している企業は、株式市場で投資家が株を買ってくれることにより資金調達をすることが可能です。上場すると新聞や「会社四季報」などにも掲載されるようにため、会社の知名度が上がります。また、上場をするには証券取引所による審査もあるため、社会的信用も高まります。
 
IPOとは「Initial(初期) Public(公開) Offering(募集)」の頭文字を取った言葉で、新たに証券取引所に上場する株を上場前に投資家に分配することを言います。IPOを購入するためには証券会社への申し込みと、人気の株を購入する場合は購入抽選に当たることが必要です。


◎IPO(新規公開株)への投資は儲かる?

IPOは何故そんなに人気があるのでしょうか?IPOで株が売り出される価格を公募価格といいますが、公募価格よりも市場での初値が高くなることが多いとされています。投資知識のない人でも「IPOで購入して、上場と同時に売る」という単純な方法でも儲けを出すことが可能なため、人気の投資手法となっています。
 
しかし、IPO株の全てが市場で高く売れるわけではありません。2020年にIPOの募集が行われた会社の数は93社。このうち上場の承認取り消しが19社あり、上場後に公募価格を割ったものは23社でした。これを見るとIPO投資で利益が出せた会社は約68.9%ということになります。
IPO投資、楽に利益が出せそうでいいわね~でも絶対に利益が出るわけじゃない部分は注意しないといけないわね
特に人工知能(AI)のソリューション事業を行っているヘッドウォータース(4011)の公募価格は2,400円だったのに対し初値は2万8,560円になり、株価が10倍となる「テンバガー銘柄」が生まれることになりました。


◎IPOを購入するまでの流れ

IPOを購入する方法をご説明します。
 
・IPOのスケジュールを確認する
近年のIPOは年間80件~90件程度になっています。上場する時期も異なるため、つねにIPOの募集があるわけではありません。こまめに情報をチェックしておく必要があります。
 
・証券会社に口座を開設する
IPOに申し込むには、証券会社に口座がないと申し込めません。また、IPOによって取り扱いのある証券会社が異なります。IPOを取り扱う会社には幹事証券会社と引受証券会社があり、幹事証券会社が複数ある場合にはそのうちの1社が主幹事証券会社となります。主幹事証券会社は他の証券会社に比べてIPOの割り当てられる数が圧倒的に多いため、IPOは主幹事証券会社に申し込むと良いでしょう。主幹事証券会社になれる証券会社は限られているので、取り扱い実績の多い証券会社にあらかじめ口座を開設しておくとよいでしょう。
 
・ブックビルディングに申し込む
IPOを購入したい場合、ブックビルディングに申し込むことが必要です。ブックビルディングとは証券会社が投資家の申込によって株の公募価格を決定し、購入者の抽選を行う方式です。IPOには申込上限株数が決まっており、その上限を越えて申し込むことはできません。
 
・購入申込をする
ブックビルディングによって公募価格が決定し、抽選に当たればIPOが購入できます。購入を申し込むタイミングは証券会社によって異なり、抽選前に購入を申し込む会社もあれば、あらかじめ抽選を行った後に購入を申し込む会社もあります。ここで購入申込を忘れると株を購入できなくなってしまうため、注意しましょう。
 

◎IPOを購入する時にチェックしたいポイント


・上がる見込みのあるIPOか?
IPOであれば必ず利益が出せるということでは限りません。できるならば公募割れを起こしそうな銘柄は避け、大きな利益が得られる銘柄に投資したいでしょう。悩んだ時はIPO予想サイトの意見を参考にし、情報収集をすることも一つの方法です。しかし、市場の値動きは上場時の状況によっても異なる場合があり、上場前にプラスになるかマイナスになるかを確実に知る方法はありません。
 
・IPOの抽選方法は?
IPOは証券会社によって抽選方法が異なります。具体的には申込口数単位での抽選か、申込者単位での抽選かの二種類です。前者の場合は、たくさん申し込んだほうが有利になりますが、資金の少ない投資家には不利になります。申込者単位のほうが平等ではありますが、こちらは大勢が申し込むことで当たりづらくなるという側面もあります。
 
・いつまでにお金を用意すればいいの?
IPOに申し込みをする時点で購入資金を拘束する証券会社もあれば、抽選に当たってはじめて資金が拘束される証券会社もあります。IPOの購入に必要な資金は不足することがないよう、あらかじめ口座に入れておきましょう。
IPOでも必ず株価が上がるわけじゃないし、せっかく抽選に当たっても資金不足で買えなかったら勿体ないわよね。気を付けなきゃ!


◎IPOのメリット・デメリット

IPO投資のメリットは、儲かる可能性が高い点です。その理由は簡単で「株の公募価格に比べて、初値は値上がりする場合が多い」からです。上場後に値上がれば、事前に購入していた株式を初値で売るだけで利益を得られます。
 
IPO投資のデメリットは「抽選に当たらなければ買えない」ことです。IPO株を買いたい投資家は多く、人気の銘柄の倍率は高くなりがちです。また、IPO株でも必ず値上がりするわけではないことにも注意が必要です。IPOといえども株を買う以上は情報集めを行い、値上がりが期待できる銘柄なのか、人気はあるのかどうかを見ておく必要があるでしょう。


◎IPOを利用する企業のメリット・デメリット

新規上場を行う企業にとっても、IPOを利用することで広く資金を集めることができるメリットがあります。IPOによって企業の知名度や信頼度も上がるため、企業のブランドイメージの向上や採用力アップにも繋がります。
また、上場の審査に通るためにはコンプライアンスの遵守、正確な財務報告を実現する社内管理体制の強化が必須です。そのため、上場には多くの労力とコストが必要になります。企業が上場を目指す場合、その過程で社会的な信頼を高めると同時に社内体制を整えることにもなるでしょう。
 
一方で、上場し株式を公開することによって経営の自由度が狭まることがデメリットとなります。企業は経営において株主の意向を無視することができなくなり、また継続的に資金調達していくためには、IR公開などといった投資家へのアピールも必要となります。


◎オーバーアロットメントとは

ブックビルディングでのIPO株の需要が想定以上になった時、IPO株の追加販売を行うことをオーバーアロットメントといいます。オーバーアロットメントを行う場合、証券会社は創業者などのすでに株を保有している株主から株式を借り、それをIPO株として追加で販売します。


◎投資家から見たメリット・デメリット

投資家から見たオーバーアロットメントのメリット・デメリットは、どのようなものなのでしょうか。
 
・株価の乱高下を防いでくれる
オーバーアロットメントは、IPOでの想定以上の需要による供給不足を改善する措置です。事前にオーバーアロットメントを行うことにより、上場後の株価の急騰・急落を抑えることに繋がるでしょう。
 
・需要が高まっていることを確認できる
オーバーアロットメントが行われる株は、多くの投資家が注目しているということです。上場前に注目銘柄を見つける目印としても活用できます。証券会社のHPを見るとオーバーアロットメントの状況についても発信しているので、手軽に確認できるのも嬉しいポイントです。
 
・IPOの当選確率が上がる
IPOの購入希望者が多くなった場合、抽選で当選した人しか株を購入できません。オーバーアロットメントが実施されると、売り出される株式の数が増えるので当選確率が上がります。しかし追加で売り出される数にも上限があるため、それでも購入希望者が多かった場合は抽選となります。
IPOの当選確率が上がる上、事前に人気がわかるなんていいことづくめじゃない!オーバーアロットメントが起きていたら、申込まないと勿体ないわ

・上場後の売り圧力が高まる可能性
オーバーアロットメントは、メリットばかりではありません。オーバーアロットメントが行われると株式に注目が集まり、IPOでの公募価格に対して上場時の初値が数倍に跳ね上がることもあります。その場合、投資家の多くは高騰した初値で売ろうとするため、上場直後に株価が急落してしまうことも珍しくありません。


◎オーバーアロットメントの売り出し株数上限と返済期限

証券会社がオーバーアロットメントのために株主から借りた株式は、どのように返済されるのでしょうか。また、オーバーアロットメントの株数の上限について解説します。
 
・オーバーアロットメントによる返済期限は30日
オーバーアロットメントでは証券会社は株主から株を借りて投資家へ追加販売を行い、上場後に返済します。返済には期限が定められており、申し込み期間終了後の翌日から30日後です。証券会社は市場で株式を取得するシンジケートカバー取引やIPO公募価格で株式を取得するグリーンシューオプションといった方法で、株式の返済をするのが一般的です。
 
・オーバーアロットメントによる売り出し株数には上限がある
オーバーアロットメントで売り出せる株数には、上限が設けられています。上限率はIPOの募集・売り出し株数の15%となっており、例えばIPOが10万株の売り出しであれば、オーバーアロットメントの上限はその15%の1万5,000株です。


◎オーバーアロットメントの株価への影響

IPOの募集期間中にオーバーアロットメントが実施された場合、上場後の株価は初値で高騰し、その後急落するという傾向があります。その過程を説明します。
 
1. オーバーアロットメントによってIPO購入権利の数が増え、より多くの投資家が株に注目、抽選に参加することになる
2. 上場株にオーバーアロットメントが行われたことで値上がりすると考える投資家が増え、上場時に買い注文が殺到
3. 初値が公募価格の数倍以上に跳ね上がり、急騰相場になる
4. その時点で株を保有している投資家の多くが、跳ね上がった相場に対し利益を確定しようと売り注文を入れる
5. 売り圧力が高まることで株価が急落する
 
IPO株の売り出し株数を増やすオーバーアロットメントは、人気IPO株の当選確率を上げ投資家にとってメリットのある制度です。しかし、その後株価の急騰・急落という動きをしやすいので、投資をする際には冷静な判断が必要になるでしょう。


◎まとめ

いかがでしたでしょうか?IPOといえど損をする可能性はありますが、初値は値上がりする可能性が高いという部分においてIPOは投資初心者でも成功しやすい投資方法と言えます。IPO株を購入するには抽選に当たる必要があるためハードルは高めですが、気になる方は一度ブックビルディングを申し込んでみると良いでしょう。また、IPOを購入するには証券会社での口座開設が必要です。

・IPOとは?
新規公開株を上場前に購入することです。
.IPOは何の頭文字?
「Initial(初期)Public(公開)Offering(募集)」の頭文字です。
.2020年のIPO募集会社数は?
93社。うち上場の承認取り消しが19社、上場後に公募価格を割ったものは23社でした。
.ブックビルディングとは?
証券会社が投資家の申込によってIPO株の公募価格を決定し、必要に応じ購入者の抽選を行うこと。

・.IPOのメリットは?
通常の相続税の非課税枠とは別に計算され、500万円×法定相続人の数
.IPOのデメリットは?
抽選に当たらなければ買えない点、必ずしも初値が値上がりするわけではない点です。
.上場企業から見たIPOのメリットは?
知名度や信頼度、企業のブランドイメージの向上、採用力アップが期待できます。
.上場企業から見たIPOのデメリットは?
経営の自由度が狭まること。IR公開のコストが増えること。

・.オーバーアロットメントとは?
証券会社がIPOの追加販売を行うこと。
.オーバーアロットメントのメリット
株価の乱高下を防ぐ、需要が高まりを確認できる、IPOの当選確率が上がること。
.オーバーアロットメントのデメリット
上場後の売り圧力が高まること。













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