「埴生の宿(はにゅうのやど)」の歌にある「埴生の宿」の意味についてわかりやすい解説を知りたい。
『日本童謡事典』の「埴生の宿」の解説によれば,
「みずからの生まれ育った花・鳥・虫に恵まれた家を懐かしみ讃える歌…」「「埴生の宿」とは,床も畳もなく「埴」(土=粘土)を剥き出しのままの家のこと,そんな造りであっても,生い立ちの家は,「玉の装い(よそおい)」を凝らし「瑠璃の床」を持った殿堂よりずっと「楽し」く,また「頼もし」いという内容。
『日本の唱歌 上 明治篇』のによれば,「イギリスのビショップ(Henry Bishop,1786-1855)の「楽しきわが家」(Home,Sweet Home)に,里見義が作詩したもの。…原詩に忠実で,「訳詩」というべきかもしれない。…」「…「埴生の宿」とは,元来「貧しい粗末な家」という意味である…」
「…古語では,「たのし」にも「たのもし」にも「富んでいる」という意味がある。里見はこのことを知っていて,「心は富めり」という心境を表すためにこの単語を使ったのであろうか。…」
『新明解国語辞典』のに、「埴生」「粘土性の土」の意の雅語的表現。「―の宿〔=土で塗った,みすぼらしい家〕」
『世界の愛唱歌:ハンドブック』の「埴生の宿」:によれば,「土間にじかに筵(むしろ)を敷いて寝る粘土で作った家が埴生の宿…」「それほど貧しい家であっても,我が家が一番楽しくていいものよ,」「玉の装い(よそおい)=宝石を散りばめたような素晴らしいところ,羨まじ=うらやましくない,瑠璃の床=宝石を散りばめた床…」
『埴生の宿(はにゅうのやど)』
埴生の宿も わが宿 玉の装い うらやまじ
のどかなりや 春の空 花はあるじ 鳥は友
おお わが宿よ たのしとも たのもしや
書読む窓も わが窓 るりの床も うらやまじ
きよらなりや 秋の夜半 月はあるじ 虫は友
おお わが窓よ たのしとも たのもしや