ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド3(ネタバレあり)

2019-09-28 14:27:00 | 日記
甲斐さんが、この作品について話された時に
「(シャロン・テート役の)マーゴット・ロビーが出て来ると
パーッとした曲がかかる」とおっしゃってましたが

これには、ほとんどセリフがなく、短く切り取られた日常生活の映像だけで
幸せそうなシャロンの様子や、交遊関係の華やかさが伝わるようにする効果があったんじゃないかと…?

本を買いに行ったり、夫妻でパーティに出席したり
生まれて来る赤ちゃんの服を友達に見せたり、ランチを食べたり
自分の出演した作品をかけている映画館に入って行ったり…

…って、もし、ボクがボーっと見ていなければ(笑)
シャロンが買った本「ダーバヴィル家のテス」は、ポランスキー監督へのプレゼントで
監督は、1979年に「テス」として映画化したとか

夫妻で出席したのが、雑誌「プレイボーイ」の創始者ヒュー・ヘフナーの自宅…
プレイボーイ・マンション…のパーティであり
ヘフナーは、ポランスキー監督の次作「マクベス」に出資することになっていた…

ちなみに、事件後に監督が撮ったこのシェイクスピアの「マクベス」は
「バケツをひっくり返したような血みどろの映画になった」んだとか…(汗)
…といったことに気づいたかも知れないし(苦笑)

また、実際に残っている「ベビー服を手にして微笑むシャロン」の写真は
事件の3日前に撮られたものだったとか
シャロンがお忍びで観た「サイレンサー/破壊部隊」で
ブルース・リーが「カラテ・アドバイザー」を務めているのは

シャロンの元カレで、セレブ御用達の美容師
そして事件の被害者の1人でもあるジェイ・ジブリングが
ブルース・リーの行った国際空手選手権でのデモンストレーションに驚き
ハリウッド中の知り合いにそのすごさを語って
ブルース・リーのハリウッド進出のきっかけを作り
シャロンやマックィーンに紹介したからだとか
細かなトリビアをご存知の方には、意味深な描写や小ネタが満載だったんじゃないかと…?

それはともかく、タランティーノ監督は…
「ミニスカートと白いブーツのまま、あの悲劇のために、あの時代に凍結されてしまった
あの惨劇でしか知られていない彼女を、シャロン自身として
普通にただ、何でもない日常を楽しませてあげたかった」…と語ってますが

レオ様演じるリックが出演したという設定のドラマ「FBI」や
「大脱走」の主演候補だったというエピソードと共に流れた映像には
レオ様の姿がインサートされているのに対し

映画「サイレンサー」の映像には、オリジナル映像が使用されていて
マーゴットは「彼が子供の頃にあの映画を観て、すごく気に入ったことを知っているから
オリジナル映像を使いたがったことは驚かないわ」とコメントしてます(笑)

ただ、タラちゃんが「シャロンは、この作品の心臓」であり
「1969年のツァイトガイスト(時代の精神)」であると位置付けているのは
単に「シャロンのワンフ」というだけではなく(笑)

シャロン・テート事件を機に、ヒッピーたちのイメージが、一気に血生臭くなり
ハリウッドの黄金時代が終わり、ニューシネマが本格的に台頭して来る…
その前の最後の幸せな時代の象徴として描きたかったかららしい

…が、ここから、この作品最大のネタバレに入ります!(笑)
「イングロリアス・バスターズ」で、ユダヤ人部隊にヒトラーとナチ幹部を
「ジャンゴ~繋がれざる者」で、黒人奴隷に南部の白人農場主たちを
それぞれ皆殺しにさせちゃったタラちゃん(笑)

「タランティーノ歴史捏造(笑)三部作」となる今作でも
マンソンファミリーは、シャロン・テート事件を起こさず
リックとクリフに返り討ちに遭う…という結末を用意してました(笑)

タラちゃんが、シャロンの日常をスケッチ風に描き
「ドラマがなくても、映画がどこに向かっているのか判るはずだから
ずっとカウントダウンが続いているから」とコメントしていた通り

スクリーンに表示される日付を目にし、惨劇の日…8月9日が迫って来ると
「こんなに若くて幸せそうなのに…」と胸を痛めていたのに(笑)
まるで、お化け屋敷に入って「いつ出るか?どこから来るか?」と身構えていたら
出口の近くで「お化け屋敷は隣の建物ですよ!」と教えられた気分(笑)

映画の最初に、クリフが愛犬にエサを与える時
目の前にエサを置いても、奥歯で舌を鳴らすまで「待て」としつけていたシーンが
あんな極限状態で活きて来たり(笑)
セリフを覚えるのにテープレコーダーを使っていたリックが
侵入者に驚いた拍子に、テープレコーダーをプールの中に落として感電死とか
かつて撮影で使って、そのまま保管していた火炎放射器(笑)で丸焼きとか

リックの家で繰り広げられた「惨劇(笑)」も知らず
友人たちと楽しく過ごしていたシャロンは「いつまでも幸せに暮らしました」とさ(笑)
…って、まあ「ワンス・アポン・ア・タイム」は
「むかぁし、むかし」という、おとぎ話の始まりの言葉ですしねぇ(笑)

タラちゃんは、この作品を「自分にとっての『ROMA』」と言ってるんだけど
その発言について…「アルフォンソ・キュアロン監督が、10歳の時に過ごした
メキシコシティのローマ地区を描いたように
自分が育ったロスのハリウッドという街を撮りたかった」とか

あるいは「『アメリカン・グラフィティ』みたいにしたかった
ジョージ・ルーカスが、1962年の夏のある土曜の夜を切り取ってみせたように
69年のとあるハリウッドの3日間を切り取ったんだ」と説明してます

まあ、そのために、昔の建物が残っている通りに
実在した店の看板や映画・音楽などの広告を貼り付けたり、閉業した店を復元したり
当時の車を集めて、道路の両車線にズラリと並べたり

…って、CG嫌いで有名な監督のこだわりゆえに
9週間の準備を経て、約2時間、3ブロックに渡り
現実の高速道路を封鎖しての撮影となったおかげで
車なしでは生きていけないロスの街は、1日中大渋滞となったらしい(苦笑)
もっとも、沿道にも見物客がズラリと並んだみたいだけど…(笑)

ともあれ…「69年は、前向きで大胆で掟破りの方向への変化だった」とタラちゃん
「今は、PC(政治的な正しさ)が最優先され
抑圧が強まり、誰もリスクを取らない
進歩的な時代に刺激的であるのは難しくない
現代こそ、刺激的なクリエイターがもっと必要だ」と語ってますが

ただでさえ、良識派が眉をひそめる作品ばかり(笑)撮り続けている方だし
実際に「マンソンの映画を撮っている」と思った
地元住民の反対運動が起きたりもしたようです(苦笑)

甲斐さんが絶賛なさった「ROMA」や「全裸監督」を始め
視聴率…いわゆるスポンサーの顔色…や過度のコンプライアンス、数々の規制や予算などを気にせずに
作りたいものを作れる環境が整った、ネトフリなどの動画配信サイトに
制作者や俳優たちが魅力を感じるのも無理からぬことかなあと…?
コメント
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