保健福祉の現場から

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レセプトオンライン審査で47都道府県すべてに支払基金支部が必要か

2017年04月28日 | Weblog
メディウォッチ「支払基金の支部を全都道府県に置く必要性は乏しい、集約化・統合化の検討進めよ—規制改革会議」(http://www.medwatch.jp/?p=13488)。<以下引用>
<厚生労働省の「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」が昨年(2016年)末にまとめた報告書では、社会保険診療報酬支払基金の都道府県支部を集約化・統合化すべきについて両論併記とされたが、レセプトのオンライン審査が可能になっており、47都道府県すべてに支部を設置して事務を担う必要性は乏しい。集約化・統合化の実現に向けて、引き続き検討を進めるべきである—。政府の規制改革会議は25日、このような意見をまとめ、厚労省に指示しました。オンライン審査が可能な現在、全都道府県に支部を置く必要性は乏しい 社会保険診療報酬支払基金(支払基金)は、被用者保険(健康保険組合や協会けんぽ、共済組合)のレセプトを審査し、医療費を支払う役割を担っています。しかし、規制改革会議は現在の支払基金には、審査事務体制が非効率であり、かつ統一化されていないため、例えば「審査基準に不合理な地域差がある」といった問題点があることを指摘。昨年(2016年)2月に▼医師関与の下で、全国統一的かつ明確な判断基準を策定する ▼支払基金の業務を点検し、不要・非効率な業務を削減する ▼審査・支払について民間企業などの活用を検討する ▼「支払基金が担うことが適切な業務」があれば、具体的な組織・体制等の在り方(体制、業務範囲、法人形態、ガバナンス体制、事務費負担など)を検討する―よう、厚労省に指示しました。厚労省は「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」を設置し、昨年(2016年)末に、▼支払基金のシステム刷新計画を全面的に見直し、2020年度中に新システムを実施する ▼審査支払機関(支払基金と国民健康保険団体連合会)のコンピュータチェックルールを公開し、レセプト請求前に医療機関でのチェックを可能とする—ことなどを柱とする報告書をまとめました。ただし、47都道府県における支部の職員体制・規模については、「必要最小限のものに縮小する」という点で構成員の意見が一致したものの、「集約化・一元化など抜本的な見直しを求める意見」と「現行の47都道府県における支部の継続を求める意見」との両論があったことを併記するにとどめました。また審査の一元化についても、「積極的に進めるべき」との意見と「困難である」との意見の双方があったことを明記にするにとどめています。この報告書に対し、検討を指示した規制改革会議は「結論が出ていない」と指摘。支払基金の支部体制については、「レセプトの電子化が完了し、オンライン審査が可能になったにもかかわらず、全都道府県に支部を設置して事務を担う必要性は乏しい」と強調し、厚労省に対して、「支部組織の集約化・統合化の実現に向けて、引き続き検討を進め、早期に結論を得る」よう指示しました。また、審査の一元化についても(1)審査委員会の審査内容を可視化し、地域における具体的な差異の内容を把握する(2)データに基づき、支払基金本部で専門家が議論する体制を整備し、エビデンスに基づいて審査内容の整合性・客観性を担保する—という報告書が提示したステップの「具体的進め方について早急に結論を出す」よう厚労省に指示しました。支払基金のシステム刷新では、入力ミスなどに医療機関が自ら対処できる機能付与を このほか規制改革会議は、支払基金のシステム刷新にあたり、次のような要件を満たすよう要望。▼「レセプト受付」「適切な審査プロセスへの振り分け」「支払い」などの機能ごとに、コンピュータシステムを最適化する ▼必要に応じ、機能ごとの改善などを機動的に行え、保険者による利用や、外部委託などが可能な仕組みとする ▼入力ミスなど専門的審査を待たずに是正できる箇所については、医療機関が自ら対処できるような機能を提供する ▼各種データの形式、付番などを統一化し、それを前提とした相互連携できるデータベースの導入や、そのためのレセプト様式の再設計を行う ▼現在の「地域ごとに独立して構築する」機能を前提せず、必要な地域差を精査の上最小化し、できるだけ同一のコンピュータシステムで処理できる範囲を拡大する ▼システム構築にあたり、府省横断的にITシステムの企画立案に関与する政府CIOと連携し、その評価を受けながら推進する 厚労省は、有識者検討会の報告書を受けて(1)業務効率化(支払基金改革)(2)ビッグデータ活用(医療・介護レセプトの連携など)―のそれぞれについて工程表の基本方針を今春(2017年4-5月)にも固める方針を示しています。今回の規制改革会議の意見を踏まえ、どのような基本方針(とくに(1)について)がまとまるのか、注目が集まります。>
 
規制改革推進会議(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/meeting.html)の規制改革推進会議「社会保険診療報酬支払基金の見直しに関する意見」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/opinion1/290425iryou1.pdf)と「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=350947)の報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000148301.html)を踏まえた厚労省支払基金「診療報酬の審査支払機関の在り方について」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170425/170425honkaigi02.pdf)には乖離がみられるようである。そもそも「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=350947)の報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000148300.pdf)p9「審査・支払効率化ワーキンググループにおける検討においても、限られた期間の中で必要な資料を揃えることが困難であったことから、審査の地域差についての具体的な内容までは吟味できていなかった」では話にならない。「診療報酬の審査の効率化と統一性の確保」について(概要)」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20161011/161011iryou02.pdf)p1「社会保険診療報酬支払基金(以下、「支払基金」という)における診療報酬の審査について、レセプトの電子化がほぼ完了したにもかかわらず、紙レセプト時代と同様に、47全都道府県に支部を置き、人手による非効率な業務運営が継続している。」「この原因として、支払基金のICTに関する知見不足、経営のガバナンス不全及び実質的な業務独占による競争原理の不在などがあり、過去数度にわたり支払基金に自己改革の機会が与えられてきたにもかかわらず、抜本的な構造改革に至っていなかった。」は全くおかしい。健康保険組合連合会から社会保険診療報酬支払基金への要請(http://www.ssk.or.jp/pressrelease/pressrelease_h28/press_280408_2.files/pressrelease_2804082_10.pdf)では、審査の充実強化として「健康保険組合からの指摘により確認された審査結果の異なる事例については、要因を分析し、その分析結果を情報開示するなど、健康保険組合が納得できる審査基準の統一化への対応に取り組んでいただきたい」「審査における支部独自の取決め事項(査定基準等)や取扱い(返戻等)については、その有無や内容を開示し、是正・統一化を図っていただきたい」「審査情報提供検討委員会で検討する事例については、検討対象を広げることで、審査格差の是正に努めていただきたい」とあったが、「支部独自の取決め事項(査定基準等)や取扱い(返戻等)」にかなり違和感を感じる。「社会保険診療報酬支払基金の見直しに関する意見」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/opinion1/290425iryou1.pdf)p3「「地域の顔が見える関係を土台」とした審査は、他方で、審査する側とされる側が同じ地域の医師であることから生じ得る利益相反の批判も招いてきた。」は認識したい。レセプト審査の地域差解消が図られなければ、SCRの見える化は色褪せてしまう。診療行為で「A県では保険診療が認められたのにB県では認められない」状況が放置される中で、資料「医療・介護をはじめとする社会保障制度改革の推進に向けて」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_03-1.pdf)p2「国は、医療サービスの標準化と報酬体系の見直しを段階的に進めるべき。」と「段階的に進める」のはどうなのであろうか。
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