保健福祉の現場から

感じるままに

年金繰下げ受給の行方と地域包括ケア

2017年08月15日 | Weblog
NEWSポストセブン「「年金75歳受給」導入なら生活保護を受給する世帯が増加か」(http://www.news-postseven.com/archives/20170817_605238.html)。<以下引用>
<政府が目論む「75歳年金受給開始」導入。そうなれば、定年の65歳から75歳までの10年間は収入がなくなることになる。介護が必要となった場合、家計は危機に晒される。淑徳大学教授の結城康博氏が危惧するのは、被介護者に「基礎疾患」があるケースだ。「痰の吸引やインスリン注射などの医療行為が必要な場合はヘルパーが対応できず、看護師を呼ぶケースが多い。看護師はヘルパーと比べて1時間あたり約6000円も費用が多くかかり、介護保険で賄える金額をオーバーすることがある」 自宅の老朽化などで大掛かりなリフォームをする場合も費用がかさむ。「在宅介護のために住宅をリフォームする場合、家中すべてをバリアフリーにして玄関にリフトなどを設置すると、数百万円かかることもある。それでも妻を思う夫が大枚をはたき、結果的に家計が苦しくなることもある」(介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏) 頼みの綱である介護保険の認定を得られないケースも想定できる。「自治体によって介護認定の基準はまちまちで、場合によっては認定が取れない『非該当』になることもある。たとえば体に不自由があるのに認定調査員の前で元気に振るまってしまい、非該当になり、介護保険が使えず、自腹負担になったケースもある」(同前) だが国は、苦しむ人々をさらに叩こうとする。「国は介護保険の国民負担を増やす一方で、提供する公的サービスを縮小する方向です。今後、介護保険料が上がることも確実。年金の75歳受給が導入されて、無年金、無収入の時期に家族が要介護になれば、生活破綻の可能性が高まります。介護保険の1割負担すら払えず、生活保護を受給する世帯が増加する可能性があります」(介護に詳しいファイナンシャル・プランナーの新美昌也氏)>
 
NEWSポストセブン「月額利用料が払えず追い出される「老人ホーム破産」の悲劇」(http://www.news-postseven.com/archives/20170814_604647.html)。<以下引用>
<老人ホームへの入居者は、かつては80代が多数派だったが、最近は70代からのんびり「終の棲家」で過ごすスタイルが主流になりつつある。だが、政府が進めている「年金75歳受給開始」時代が現実になれば、その幻想は打ち砕かれる。「待機老人」が52万人いると言われる特養(特別養護老人ホーム)を諦め、有料老人ホームを選ぶ人は多いが、今後は老人ホームをめぐる資金不足が相次ぐことになるのだ。老人ホームの「入居一時金」を全額前払いした際の平均は約2000万円(全国有料老人ホーム協会の調査、2014年度)。この額はホームにより差があり、一般にはもっと手頃なホームが多いとされる。これまではこの入居一時金を退職金などで支払い、あとは月額を年金で払い続ければ死ぬまで安心、と思われていた。しかしこの方程式が75歳年金受給開始となれば、脆くも崩れ去る。全国有料老人ホーム協会の調べでは、居住費、管理費などを含む月額の平均は24万7000円(同前)だ。現在の平均年金月額(モデルケース)が約22万円なので、月々3万円弱の持ち出しでなんとか死ぬまで居続けられる、というのがこれまでの計算だった。だが、75歳まで年金受給がずれれば、月25万円弱という負担が一気にのしかかる。〈老後資金が減らないから安心「年金だけで入れる」優良老人ホーム〉なる特集が週刊誌などで組まれるが、年金に頼れなければそうした謳い文句も無意味になってしまう。しかも、老人ホーム入居に際してのコストは入居一時金や月額だけではない。淑徳大学教授(社会福祉学)の結城康博氏が指摘する。「ホームページや広告、紹介記事で『月額』と書かれている金額に含まれない費用がいくつもあるのです。たとえば洗濯代が1カゴ500円、ナースコール1回50円など、生活上必要な細かな費用が別途積み重なる施設もあります」 例えば「月額26万円」と紹介される老人ホームのHPを見てみると、確かに月額は26万円だが、その他にかかる費用として、衛生用品や通信費、健康診断などの費用がかかる。さらにリネン交換は週2回まで月額に含まれるが、3回目から1回500円、病院への付き添いが30分ごとに500円かかるという。施設の担当者は「これらの費用について入居される前に説明しています」という。簡単な紹介ではわからない出費がかかってくるのが現実なのだ。そうした“チリツモ”の追加費用で支払い計画に変更を余儀なくされれば、「老人ホーム破産」が迫る。「有料老人ホームの場合、利用料金を滞納したら退去を命じられる可能性があります」(結城教授) ある有料老人ホームの契約書には、〈90日以上の予告期間をおき充分な話合いの上、契約解除することがあります〉として、以下の記述があった。〈月額利用料その他の支払いを正当な理由なくしばしば滞納した時〉──老人ホームとはいえ、「カネの切れ目が縁の切れ目」となる。終の棲家を追い出されれば絶望的だ。>
 
政府の「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」(http://www8.cao.go.jp/kourei/index.html)の資料「第2回検討会で御議論頂きたい論点」(http://www8.cao.go.jp/kourei/kihon-kentoukai/h29/k_2/pdf/s3.pdf)では「高齢期の就業と所得はどうあるべきか、年金とのバランスはどうあるべきか(年金受給とのバランス、繰下げ受給の在り方等)」もある。日本老年学会・日本老年医学会高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/definition_01.pdf)では、「65~74歳を准高齢者・准高齢期」と提言されているが、年金繰下げ受給と絡んでいるのであろうか。老齢年金受給額(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html)の行方も気になるかもしれない。高齢者住宅財団(http://www.koujuuzai.or.jp/)から、低所得・低資産高齢者の住まいと生活支援の効果的な対応方策に関する調査研究事業』善隣ビデオ(http://www.koujuuzai.or.jp/news/20170524/)が出ていたが、低所得・低資産高齢者の住まいの問題は大きくなるように感じる。まずはそれぞれの地域において、費用負担も含めて、様々な高齢者施設に関する情報集約と相談対応が不可欠と感じる。サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(http://www.satsuki-jutaku.jp/)に出ていない施設が少なくないが、「平成28年度有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査(第8回)」結果 (http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304250-Roukenkyoku-Koureishashienka/0000155905.pdf)では都道府県別の「有料老人ホームの届出状況、入居者処遇等に係る指導状況」が出ていた。「「届出」を行っていない事業者は、老人福祉法第29条第1項の規定に違反」「前払金の保全措置を講じていない事業者は、老人福祉法第29条第7項の規定に違反」は周知徹底したい。通知「有料老人ホームを対象とした指導の強化について」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304250-Roukenkyoku-Koureishashienka/0000155906.pdf)で指導徹底が要請されている。昨年9月の総務省「有料老人ホームの運営に関する行政評価・監視<結果に基づく勧告>」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/107317.html)では、①未届け有料老人ホームの実態把握の徹底、②有料老人ホームの判断基準の整理・情報提供、③自治体の指導監督を補完する、第三者性に留意した評価の仕組み―などを実施・検討するよう厚労省に勧告されていた。全国介護保険担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000170090.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000170209.pdf)p6「「有料老人ホームの入居者保護のための施策の強化」(老人福祉法の一部改正)」の「入居希望者のニーズに合った有料老人ホームの選択に資するとともに、事業者の法令遵守の確保を図るため、各有料老人ホームが提供するサービスの内容等(※)について都道府県等への報告を義務付けるとともに、現在都道府県等に作成・公表を求めている有料老人ホームの情報一覧表(※)の公表を義務付ける。(※)施設概要、利用料金、サービス内容、前払金の保全措置(前払金を受領する場合)等」はp3「平成30年4月1日施行」である。すでに「有料老人ホームにおける情報開示の取組促進に向けた方策に関する調査研究事業報告書」(http://www.yurokyo.or.jp/investigate/pdf/report_h28_02.pdf)が出ているが、介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)すらまともに入力していない自治体が少なくないことを踏まえたい。ところで、少子化社会対策白書(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2017/29pdfhonpen/29honpen.html)(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2017/29pdfhonpen/pdf/s1-2.pdf)p11「50歳時の未婚割合は「前回調査(2010年国勢調査)では男性20.1%、女性10.6%、2015年は男性23.4%、女性14.1%」で「2020年には男性26.6%、女性17.8%」と未婚率の上昇が予想されている。そういえば、地域包括ケア研究会報告書(http://www.murc.jp/sp/1509/houkatsu/houkatsu_01.html)(http://www.murc.jp/sp/1509/houkatsu/houkatsu_01/h28_01.pdf)では「2040年に向けた挑戦」のタイトルであったが、それぞれの地域において、2040年のビジョンがあっても良いように感じる。
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