保健福祉の現場から

感じるままに

医療介護連携の評価方法

2016年07月20日 | Weblog
「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)のPDCAサイクルを推進するための指標(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000127305.pdf)の検討で、特に見直しが必要と感じるのは「在宅医療」である。全国在宅医療会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=364341)では「在宅医療の臨床指標設定」も議論されている(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000129538.html)。平成27年度からの第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/dl/tp0219-06-01p.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076407.pdf)における地域支援事業の目玉として、「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)があり、(ア)地域の医療・介護の資源の把握、(イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討、(ウ)切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進、(エ)医療・介護関係者の情報共有の支援、(オ)在宅医療・介護関係者に関する相談支援、(カ)医療・介護関係者の研修、(キ)地域住民への普及啓発、(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携の8事業が行われている。在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)の「平成27年度在宅医療・介護連携推進事業実施状況調査結果(速報値)(都道府県別の状況)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102541.pdf)、「平成27年度在宅医療・介護連携推進事業(地域支援事業)の実施状況に関する調査結果(概要)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115698_1.pdf)では自治体間の取組格差が非常に大きい。医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000129397.pdf)p14「在宅医療・介護連携推進事業の実施状況~都道府県別の平均実施数~」のように、(ア)~(ク)を事業としてどれだけ実施しているかは、プロセス指標の一つのように感じる。一方で、在宅医療は医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の柱の一つであり、在宅医療に係る医療体制構築に係る指針(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)では、①退院支援、②日常の療養生活の支援(訪問診療・往診、訪問看護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導)、③急変時の対応、④在宅での看取りの提供体制が図られている。厚労省通知「別表」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)別表11在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例には唯一のアウトカム指標として「在宅死亡者数(市区町村別)【人口動態統計(個票解析)】」があり、それは国立保健医療科学院の「地域医療構想策定研修(都道府県職員研修)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo02.html)・「地域医療構想策定研修(専門家連携編)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo03.html)で各都道府県職員等に対して実践研修が行われた医療計画作成支援データブックに出ている。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では在宅死亡割合をはじめ、ストラクチャー指標、プロセス指標となるデータがいくつも出ており、活用したい。しかし、「在宅死亡者数(市区町村別)【人口動態統計(個票解析)】」だけがアウトカム評価では寂しい感じがする。例えば、1)病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では一般病床、療養病床を有する全ての医療機関について、退院調整加算、介護支援連携指導料の算定件数が出ているだけでなく、1ヵ月間の退院先別患者数(在宅復帰率)、退院後の在宅医療必要量と提供、在宅復帰支援状況等が出ており、評価指標としたい。特に「在宅復帰率」は医療介護連携のアウトカム指標と採用しても良いように感じる。現行別表(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)の別表2「脳卒中の体制構築に係る現状把握のための指標例」、別表3「急性心筋梗塞の体制構築に係る現状把握のための指標例」では、それぞれ患者調査による「在宅復帰率」が評価指標になっているが、疾患に限らない全体の指標が必要であろう。また、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「経済・財政再生計画改革工程表」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0511/sankou_01-2.pdf)p32社会保障別紙3「医療と介護の連携の推進;ケアマネジャー等が退院前から医療従事者等と連携しつつ高齢者の様々な生活上の課題を把握し、退院後に必要なサービスを利用できるようにすること等、病院からの退院時等における多職種連携による要介護者等の支援の体制を構築する」とあるように、退院支援には病院-ケアマネ連携が欠かせず、「介護支援連携指導料」は評価指標として採用すべきである。医療計画作成支援データブックでは、「介護支援連携指導料」「退院調整加算」「退院時共同指導料」「退院前訪問指導料」「在宅患者緊急入院診療加算」等のSCR(年齢調整標準化レセプト出現比)による地域間比較ができ、評価指標として採用できるであろう。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p42~43「退院支援加算1」や介護報酬の「入院時情報連携加算」「退院・退所加算」も医療介護連携の指標評価として分析できるようにすべきであろう。3)在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)の資料「都道府県医療介護連携調整実証事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/jitu.pdf)では、退院調整もれ率、入院時情報提供率が把握されており、評価指標にも採用できるように感じる。調査方法が確立されており、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000060713.html)も活用できるであろう。4)3年ごとに実施される「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の一般診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_ippan.pdf)、病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)をみれば、医療保険・介護保険での在宅医療の取り組み状況と実績の詳細(往診、訪問診療、訪問看護・指示書交付、訪問リハビリ、在宅看取り等の実施件数)が把握でき、これらも地域レベルの評価指標として活用できるであろう。医療介護連携の客観的な評価がなければ、システムとしての拡がりは弱いかもしれない。なお、在宅医療指標には、「がん対策進捗管理指標「緩和ケア分野」」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000085024.pdf)も十分勘案すべきであろう。とにかく、在宅医療・介護連携に保健所が関与する主な理由は、①市町村で完結しない広域的医療介護連携システム、②医療計画・地域医療構想との連動、③精神・難病・薬事等との連携である。「広域的」だけが理由ではない。「在宅医療・地域包括ケアシステムの推進に関する提言」(http://www.phcd.jp/02/soukai/pdf/iinkai_chihokenjyu_H26_tmp01.pdf)、「在宅医療・地域包括ケアシステムの推進に関して」(http://www.phcd.jp/02/soukai/pdf/iinkai_chihokenjyu_H26_tmp02.pdf)、「在宅医療・介護連携、地域包括ケアシステムの推進における保健所の役割に関する研究報告書」(http://www.phcd.jp/02/kenkyu/chiikihoken/html/2014_H26.html)が出ているが、それぞれの地域において、関係機関・団体との連携・協働による地道な取り組みが不可欠であろう。医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)での保健所の役割を重視したい。「何でも市町村」「何でも委託」では医療介護連携は進まない。一口に「市町村」「郡市医師会」といってもピンキリである。
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