まっしゅ★たわごと

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『近代建築探訪-神戸大学に残る国登録文化財を訪ねる-』に参加してきた☆《前編》

2013年03月02日 21時53分45秒 | 六甲・まや



妻が某情報誌で見つけた案内に応募してみたら案内が届いたので行ってみることにした。随分以前から、自宅の近所にある神戸大学の広さに興味をひかれつつもキャンパスに赴く機会がなく残念に思っていたのだ。





神戸市バスに乗って神大正門前で下車。阪急六甲から乗ったバスは、近年稀に遭遇したことがないくらいの超満員で、そのまま坂道をクネクネと登って行くのだから、10分おきに走っているバスとは言え、この路線を生活路線として使うのには相当無理があるなあと思いつつバスを降りた。正面の大階段の先には、今回の見学コースの一つに入っている「六甲台本館」があった。





いきなりこのアングルで視界に入るのが超カッコイイ!!足元・胴回り・頭周りと下から順番にデザインが積み上がっているところが昔の建物の特徴で、端正で美しいオーラを放っていた。それに、昔通っていた小学校がこんな感じだったので妙に親近感があるのかもしれない。





特に両翼のスカイラインの複雑さが、見事で権威の象徴みたいな重苦しさを感じさせないところに目が行った。





まずは、六甲台本館の西隣に隣接する出光さ佐三記念六甲台講堂で神戸大学大学院工学研究科の足立裕司教授の講演を聴くことになっている。





講演のテーマは「旧神戸商業大学の近代建築」となっている。





この日は5つの近代建築をめぐることにあっているがいずれも「国登録文化財」という位置付けの建物でいずれも六甲台キャンパス内に存在するという。実は、講堂の名称に冠せられている「出光」とは何ぞやと参加する前に思っていた。私の知っている中で出光という名前は「出光興産」「出光美術館」くらいのもので、神戸大学にも「出光」姓にゆかりのある方がいたんやろか?と思っていた。

講演の中で説明があったのだが、出光佐三氏は神戸大学の卒業生で出光興産の創業者でもあり、六甲台講堂の修復等について出光興産より多大なる支援が行われていて、それを記念して平成21年に名付けたのだとか。なるほど納得。





最近、改修工事が完了したという建物の中は非常に美しく、あまた、当時はそうであったのだろうなあという自然な感じに仕上がっていた。







階段から差し込む日差しが優しい。





もう少しこじんまりとしたイベントだと思っていたが、想像以上に多いなと思った。聴くところによると募集人員100名のところ3倍の300人の応募があり、企画者の神戸市が神戸大学と調整をはかり、見学班を2班に分けることで参加人数を150名まで引き上げたらしいのである。





てなわけで、300人中の150人の中に選ばれたのは、少しラッキーだったのかなと思った。


足立教授の講演はけっこう楽しかった。まずは神戸大学の成り立ちの紹介。『明治35年(1902年)神戸高等商業高校の設置をって神戸大学の「創立の起点」とする』という回りくどいというか歯ぼったい表現で紹介される。これは足立教授がというよりも神戸大学の歴史を著わしたパンフレットにもそのように表現されている。その後、神戸商業大学に昇格し、現在の神戸大学に至るという。大学の規模は、その格式と符合していて格が高いほど国からたくさんの予算を引き出すことができて、立派な建物を建築することが出来たのだという。





正門前バス停から大階段を上り、本館を目の当たりにした感覚は、足立教授がスライドで講義をしてくれたその内容で理解することができた。つまり、軸線の先にアプローチ路がないことで建物の威圧感を最小限に抑えるという効果を発揮しているのだという。ただし、この効果は最初から狙っていたというわけではなく、キャンパスの立地上、土木技術上、大階段を西側に寄せなければ無かっただけのことだったのかもしれず、結果的に良い効果を得ることができた例なのだとのことである。(通常は正門の正面にはシンボリックかつシンメトリーな図書館などを軸線的に配置するのが一般的らしい)





更に本館については、いくつもの立体を組み合わせた当時としてはユニークな構造を持っていて、通常であれば療養の出っ張りは同じ高さのまま出っ張ってくるところを、この建物では一層分無くすことで威圧感のようなものを抑制しているという。





改修前の六甲台講堂。





講堂内の椅子の背もたれには恐らく出資者のものであろう名前が銘板が取りつけられていた。企業名もあれば個人名もあり、





後ろの方の座席には、まだ新たな銘板を取り付ける余地のある座席がたくさん残っていた。





我々は第2班での見学となった。





手前は六甲台講堂で、奥が六甲台本館。パラペット部分のロンバルディアアーチによる統一感が心地良い。





そして、六甲台本館へ向かう。





この胸像・・・





学生紛争の時代に鼻を切り取られ、その後、修復され現在に至るとか・・・歴史を感じさせるエピソードやね。。。

つづく

『近代建築探訪-神戸大学に残る国登録文化財を訪ねる-』に参加してきた☆《中編》


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