'15.02.23 『ソロモンの偽証 前篇・事件』(完成披露試写会)
cocoさんで当選 いつもありがとうございます! 実は当初はあまり関心がなかった でも見た方々の評判が良くて、気になって慌てて応募。完成披露試写会に当選した。その時の様子は一応(コチラ)に書いたけど、座席引換えスタートしてから5時間半後じゃ良い席など取れるはずもなく・・・ 見えないかも?と心配したけど映画自体はちゃんと見えたのでOK
ネタバレありです! 原作未読なのでいろいろ憶測が混じっています!
宮部みゆきのベストセラー小説の映画化。構想10年、執筆9年、文庫本6冊という長編作品。毎度のWikipediaによりますと・・・ 「小説新潮」に2002年から、3回に分けて掲載および連載。2012年に刊行。「事件」「決意」「法廷」の3部作。週刊文春ミステリーベスト10および、このミステリーがすごいで第2位にランクインした。実は小説読んでみようと書店に行って、6冊あることにビックリ! 読む前から挫折(笑) イヤ、面白ければ6冊も一気に読んじゃうと思うんだけど、文庫本も高いからねぇ・・・
『八日目の蝉』の成島出監督作品。1クラス分の生徒を選ぶため、日本映画史上最大規模のオーディションを開催。約10,000人のオーディションを勝ち抜いた新人女優が2014年8月8日08:08に発表された。この時点では主演女優の名前は明かされず、その後10月31日に役名と同じ藤野涼子の名前でデビューすることが発表された。役名でのデビューは成島監督とプロデューサーの提案によるもの。藤野涼子はこの時14歳の中学生で演技の経験はほとんどなかった。と、発表の段階から話題を振りまいたらしいのだけど、ごめんなさいノーチェックでした 事前の舞台挨拶で、役名も含めた挨拶があったものの、あまりにも遠くてシルエットしか分からない状態で、顔と名前が一致する大人の役者さん以外は、ほぼスクリーン上で初めて見たという感じ。結果的に余計なイメージがつかなかった分、素直に役柄として見れたので逆によかったかなと思っている。
原作がミステリーなのだから、ミステリー映画になるのかな? 同級生の死の謎について、真実を求めて中学生が裁判をするという物語なのだから、少なくとも謎解き要素はあるわけで、ミステリーやサスペンス好きとしては、どうしても謎解きしながら見てしまうクセがついている。なので、これは伏線かもしれないと思ったところを拾いながら見たので、一応それを書いておく。そして、疑問に思ったことなども備忘メモ的に残しておくけど、原作未読で結末を知らずに見ているので、読んだ方には的外れな感想になっているかも? でもまぁ、映画のみの情報ではこう見た、という感想もありかと思うので、その論調で行こうかと思う。
映画は23年後から始まる。教師となった中原(旧姓:藤野)涼子(尾野真千子)が、母校の城東第三中学を訪れる。迎えたのは現校長である上野素子(余貴美子)。伝説となっている裁判のことを詳しく聞きたいというのだった。涼子は静かに話し始める。舞台挨拶で尾野真千子が「23年後の役なので、ほとんど登場していません。」と語って笑いを誘っていたけれど、要所要所でナレーションの声が入るものの、出演シーンはここのみ。後篇ではどうなのか不明だけど贅沢な使い方!
1990年12月25日。記録的な大雪となった日の翌朝、藤野涼子(藤野涼子)は学校で飼っているウサギの世話をするため、いつもより早く家を出る準備をしている。そこへ夜勤明けの父親の剛(佐々木蔵乃介)が帰って来る。この時点では父親の職業は語られてなかったように思うけれど、後に刑事であることが分かる。家族は父親と、母親の邦子(夏川結衣)と、幼い弟妹との5人家族。この幼い弟妹の2人の演技が自然でビックリ! 本人たちは演技してる意識ないかも? この2人に自然な演技(?)をさせた監督はスゴイと思った! いつもと変わらぬ朝を迎えた涼子。その後、クラスメイトの野田健一(前田航基)とともに学校に向かう。正門前で苦手な教師が、イライラしながら雪かきをしていたため、閉まっている裏門を乗り越えて中に入る。すると涼子が何かを発見する。 必死に雪をかき分けはじめる2人。現れたのは、同じクラスの柏木卓也(望月歩)の遺体・・・ この導入部は良かったと思う。原作どおりなのかもしれないけれど、真っ白な雪の中、大人たちがまだ真っ白だと思っている中学生2人が、遺体を発見する。衝撃の始まりだけど、本当の衝撃はこれからなのだという感じ。だから、今はまだ真っ白。
2年A組の教室では担任の森内恵美子先生(黒木華)が、突然泣き出し柏木卓也の死を告げる。先生が柏木君の話をもう少しちゃんと聞いてあげていれば良かった。でも、先生は柏木君の目が怖かった。と泣きじゃくる・・・ それがクラス中に広がって行く。でも第一発見者である涼子は泣くことができない。涼子がこの時泣けなかったのは、後に紹介されるある出来事が影響しているのかもしれないけれど、この時点ではこのクラス全員が泣いている状況に戸惑っているようでもあった。第三者であり涼子たちの親世代となった現在、生徒の目の前で号泣するのはともかく、亡くなった生徒の目が怖かったなどと、言ってしまう先生って何?と思うけれど、どうやらこの先生は教師になって2年目らしく、後に別方向から物語を引っ張ったりもするので、鍵となる人物なのだと思う。
同じく鍵となる人物、A組の三宅樹里(石井杏奈)と浅井松子(富田望生)がバスでどこかに向かっている。樹里は具合が悪そう。松子はそんな彼女を支えつつ、ポストに手紙を3通投函する。そして藤野涼子の元に告発文が届く。柏木卓也の死は自殺ではない。自分は彼の遺体が発見された前日の夜、大出俊次(清水尋也)が彼の仲間たちと3人で、屋上から柏木卓也を突き落すのを目撃したという内容。この告発状は津崎正男校長(小日向文世)の元にも届いていて、担当刑事である佐々木礼子(田畑智子)と涼子の父親が学校に事情を聞きに来ている。もう1通は後に森内先生宛てに出されたことが分かるけれど、これが物語を大きく動かすことになる。
佐々木刑事らから、告発状の件について生徒を対象とした捜査をするか問われた校長は、学年主任のきちんと捜査をという意見を汲みつつも、生徒たちがこれ以上動揺しないように、追及はせず穏便に済ませる選択をする。こう書くと、校長が学校や自分の体面ばかり考えている人物に見える。そういう部分がないわけではないだろうし、この校長が小心者であることは間違いないと思うけれど、第一発見者となった涼子たちを気遣うシーンもあったし、後に森内先生を庇うシーンもあって、基本的には悪い人ではない。ただ、後に辞職してしまうのがちょっと気がかり・・・ イヤ、校長先生としては、この穏便対策が結果的に失敗だったとしても、頑張っていたとは思うし、優しいけれど強くはない人物が、テレビで連日報道されるような"事件"の責任者となって、心身ともに疲弊してしまう気持ちは分かる。辞職してしまうのは、責任放棄じゃないかと思わなくもないし、自分が保護者の立場だったら怒りを感じるかもしれないけれど、謎解きしながら見ているので、校長先生は何かを隠しているんじゃないか?と思ってしまったりもする。ミステリー好きだと、伏線は全部拾うぞ!と思って見ているので、みんな疑いの目で見てしまう
告発者は特定しないけれど、何らかのアクションを起こした方がいいということで、生徒たちから話を聞くことになる。表向きはメンタル・ケア的なことになっているけれど、実際は佐々木刑事による告発者の割り出し。こちらは誰が告発文を出したのか知っているので、佐々木刑事が彼女たちの"嘘"に気づくのか?と思いながら見ているけれど、何かを感じたところまでに留まっている。いわゆる犯人捜しではあるけれど、公にしないわけだから、これは"彼女たち"に対してのパフォーマンス。なので、結局特定はされずに終わるけれど、映画としては生徒たちに語らせることで、柏木卓也のことを描写しているのかも?
告発文を書いた樹里は顔中にあるニキビを気にしている。後に松子との関係にも上下関係があることが分かるけれど、家では学校での目立たない暗い子というイメージとは違う。もっと屈折しているというか・・・ 前篇では彼女の父親は出てこない。後篇で出てくるのかは不明だけど、母親の三宅未来(永作博美)のセリフによると、サラリーマンをしながら絵を描いていて、素人画家として個展を開いたりしているらしい。母親は音楽ライターをしているそうで、この日インタビューした甲本ヒロトのことで夢中。娘がニキビを気にして、脂っこい料理は控えて欲しいとお願いしたことなど覚えてもいない。仕事をしながらも夕食は作っているし、ニキビは青春のシンボルだから気にしなくていいのよ!と、上の空でさらに的外れな対応ではあるけれど、一応娘の話は聞いているので、虐待とは言えないかもしれない。ただ、この母親にとっては自分のことの方が、ウエイトを占めていることは間違いない。そして、おそらく父親も。樹里がどんな形で"事件"に関わっているのかは別として、間違いなく何かしらの鍵を握っていることは事実。なので、この前篇ではちょっと歪んだ人物に描かれている。その辺りは、ミスリードも含めて狙ってしていると思うので、後篇ではどうなるのか気になるところ。
時系列に進んでいるのかと思わせて、実は後からもっと前のシーンだったという部分がある。しかも、そのシーンは視点を変えて何度か出てくる。混乱はしなかったけど、それが藤野涼子が校内裁判を行う決意をするまでの過程で、重要な出来事なので繰り返しただけなのか、それとも意味があるのかが気になった。そのシーンとは、三宅樹里と浅井松子が、告発した大出俊次ら3人組に殴る蹴るの暴行を加えられた上に、(自分が)気持ち悪くてごめんなさいと言わされる屈辱的シーン。歩道橋を降りてきた樹里は、階段を塞ぐように座っている大出たちに気づき、一瞬躊躇するけれど「通してください」と言って通ろうとする。そして、大出の子分にカバンで頭を殴られ、倒れたところを殴る蹴るの暴行を受ける。これに気づいた松子が駆けつけて止めようとするけれど、止まるはずもなく松子も同じく殴られてしまう。更に、松子の大切な何かを壊されるのだけど、これが何だったのか不明・・・ 樹里が「それがないと松子は!」って言ってたんだけど、小さなプラスチック製と思われるケースに入ったものであることしか見せていない。これは何か意味があるのかな? この暴行はかなりの時間続く。そして、「(ニキビ顔の自分が)気持ち悪くてごめんなさい」と言わされる。このシーンを見せられたら、大出俊次というのは何てヤツだ!(*`д´) と思うし、コイツらなら殺人もやりかねないと思ったりもする。この時点では、このシーンは柏木卓也の死後の出来事だと思っていたので・・・ でも、後にこのシーンは柏木卓也の死の前に起きたことだと分かる。後からよく考えると、柏木卓也が亡くなったのは冬で、樹里たちが暴行されていたのは夏だった。制服が夏服だったし・・・ この辺りは上手いなと思った。
ちょっと映画で出てくる順番とズレるけれど、先に暴行シーンの続きを書いておく。実はこの樹里たちの暴行シーンを、藤野涼子が歩道橋の上から見ていた。彼女は動けずにいた。そこに現れたのは柏木卓也。彼は助けに行かない涼子を責める。みんなの前でいじめをなくそうって言ってたじゃないか、何故助けに行かないんだ。そういうの偽善者って言うんだ。涼子が自分だって助けに行かないじゃないかと言えば、それ2人にも言えるの?と言う。そして、君みたいな人が一番タチが悪いんだと言い放って去ってしまう。この時点で涼子が柏木卓也が大出たちにいじめられていることを知っていたのだとしたら、この言葉は本当に重く胸をえぐられる思いがしたに違いない。事実、後のシーンで、この出来事が原因で自殺を考えたことが明かされる。いじめに遭っている人にとってみれば、いじめている相手は当然だけれど、それを見て見ぬふりをしている人も敵だと感じると思うので、柏木卓也が藤野涼子に言ったことに、そういう部分があることも確かだと思う。柏木卓也が大出たちにいじめられていたなら、この時彼が助けに行けない気持ちも分かる。そして涼子が彼の言葉に真剣に向き合って、正しいことをしようと思う人物だったからこそ、言ったのかもしれない。と、ここまでは、理想論も含めて正しい解釈かな?と思った解釈。ミステリー映画として見ている側としては違う見方も・・・ 果たして柏木卓也が歩道橋に居たのは偶然だったのか? 樹里が大出にいじめられたのは、この時が初めてだったのか? 以前からいじめにあっていたのだとすれば、何故彼女はわざわざ彼らの注意を引くようなことをしたのか? あの歩道橋がどういう形だったか詳しく覚えていないけれど、どうしても彼らの横を通らなければならなかったのか? 自分ならかなり遠回りになるとしても、絶対避けて通ると思う。初めていじめられたのだとしても「通してください」と言っただけで、あんなに殴られるだろうか? こちらにはハッキリ見せられていないけれど、耳元で何か囁いたとか?☚考え過ぎか(笑)
一方、3通目の告発文は意外な動きをしていた。森内先生宛に出された告発文が転送されてきたと、テレビ局のプロデューサーが校長先生を訪ねてきたのだった。森内先生のアパートの住人からで、同封されていた手紙によると、告発文が破られてゴミ箱に捨てられていた、読んでみたところ見過ごすわけにはいかないと思い転送したというのだった。プロデューサーは、森内先生が告発文を破ったのであれば問題だ、一連の出来事について取材させて欲しいという主旨のことを、上から目線の口調で言う。もちろん、校長は断る。森内先生は手紙を破るようなことはしないし、受け取っていれば自分に報告があるはずだ。納得しないプロデューサーは、独自に調査すると捨て台詞を残して去って行く。翌朝、早速通勤途中の森内先生に突撃取材。驚いて自分は告発文など受け取っていないと否定するけれど、かなり動揺してしまい、何も知らずにテレビを見ていた人は、不信感を持ってしまうかもしれない。まぁ、あまりにも平然としてペラペラしゃべっているのも不審ではあるけれど・・・ この件を受けて、職員会議が開かれるけど、ここでも森内先生は告発文を受け取っていないと主張。後に、ある意味鍵となる高木学年主任(安藤玉恵)と楠山先生(木下ほうか)は、これを嘘だと決めつけて彼女を糾弾する。森内先生を支持するのは、彼女と同じくバスケット部の顧問北尾先生(松重豊)と校長先生のみ。ほかの先生はほぼ傍観・・・ これもある意味いじめの構図。森内先生の主張を信じるか信じないかは個人の自由ではあるけれど、受け取っていない証拠がないから信じられないのであれば、受け取った証拠がないから疑うことはできないのも事実で、事実関係がハッキリしない以上、簡単に断罪するのはどうか?と思うので、傍観している人たちの気持ちは分からなくもないのだけど、実際は2人の言動に辟易しつつも面倒には関わりたくないという感じ。まぁ、それも大人の対応と言えなくもないけれど・・・
こちらも映画と順序が前後するけれど、森内先生の告発文についてのその後の展開を書いておく。しばらくして、森内先生が佐々木刑事を訪ねて来る。結局、告発文の件が原因で、森内先生は学校を辞めてしまっていた。佐々木刑事を訪ねてきた理由は、告発文は盗まれたに違いないので、捜査をお願いできないかというもの。佐々木刑事は、柏木卓也の死は自殺と断定されているし、この件についての捜査は終了している。郵便物を盗まれた件で被害届を受けるにしても管轄外。管轄の警察署に届けたとしても、その程度ではなかなか動いてもらえないのが現状。なので、民間の調査会社に依頼してはどうかと助言する。これを受けて先生は依頼したらしく、シーンが変わると調査員(島田久作)からの報告を受けている。それによると、アパートの隣人垣内美奈絵(市川美和子)が、毎日のように森内先生の郵便受を物色していたことが分かる。以前、玄関先で夫と激しいケンカをしているところに、出くわしてしまったことがあった。調査員によると、垣内美奈絵は現在アパートを引っ越しているけれど、理由は不明だが森内先生に粘着している様子なので、現在実家に戻っているのであれば、そのままアパートを引き払った方がいいのではないかということだった。この垣内美奈絵の様子は確実におかしい! この人物は前篇ではこの後登場しないけれど、ケンカを目撃されてしまった後、這うように部屋に戻る様子も異様だし、防犯カメラの映像と思われる画像の姿も明らかにおかしい! そしてなにより、森内先生が垣内美奈絵の画像を指さし、柏木卓也が写っていると言っていること・・・ 心霊写真のように、柏木卓也の顔が重なっている映像が映されるけれど、これは何を意味するのか? 垣内美奈絵は何故森内先生に執着しているのか? 森内先生と柏木卓也の間には何があったのか?
例のテレビ番組が放送される。モザイクをかけて音声も変えているものの、森内先生は告発文を破いた卑劣な教師とされていたし、主犯として名指しされていた大出俊次も、イニシャルにはしているものの、生徒たちにしたインタビュー(モザイク&ヴォイスチェンジ済)でも犯人扱いした報道。一見"公正"な態度であるように報道しているけれど、全く知らない第三者が見たら、いじめによる殺人を隠蔽しようとした教師と、殺人犯の少年と感じてしまう報道。自身はなるべくネットなどからも情報を得るようにしているので、マスコミの報道はNHKですら、必ずしも"真実のみ"を報道してはいないという目線で見ているけれど、テレビと新聞しか情報源を持たない人にとって、テレビで伝えていることは"真実"なんだと思うので・・・ 大出俊次の父親は建設会社を経営しており、ヤクザまがいの手口で事業を展開。金回りは良いようだけれど、息子も含め暴力沙汰などの問題が絶えず、それらを金に物を言わせて"解決"してきた。そのことも恣意的に明らかにした上で、父親に取材。逆上させるようなことを言い、暴力を振るわれるとモザイクなしでその一部始終を放送する。日頃から、妻や俊次に暴力を振るっているこの父親を庇う気は一切ないけれど、後に家が全焼し年老いた母親が焼死するに至っては、やっぱり全てが明らかでない時点での、この報道は罪深いと思わざるを得ない。まぁ、出火の原因が放火だと言及していたか忘れてしまったけれど・・・(o´ェ`o)ゞ でも、そう感じたのだから、そう演出されていたのだと思う。
この番組の放送を受けて、保護者に対して説明会が開かれる。当然、保護者からは何故こんな重要なことを隠していたのかと怒りの声。校長先生は震え声。そんな中登場したのは佐々木刑事。告発状の件を公にしなかったのは、信憑性がなかったからであり、生徒のいたずらである可能性が高かったからだと説明する。告発者は、屋上から大出俊次ら3人が柏木卓也を突き落すのを目撃したと言っているが、では告発者はどこにいたのか? 一連の出来事を目撃するためには、告発者も屋上にいなければならない。真冬の夜中にそんな場所で何をしていたのか? 偶然目撃したというのは、明らかに不自然である。この説明で保護者達のほとんどが納得したと、説明会に出席した浅井松子の母親が、父親(塚地武雅)に話す。両親としては何気ない会話だったけれど、松子は激しく動揺する。あの告発文は嘘だったのか そして、松子は雨の中、樹里に会いに行くと言い残し家を出る。
度々で申し訳ないけど、映画と順序が前後します!(笑) 樹里と松子の関係は実はちょっと複雑。ニキビさえなければカワイイ部類に入る樹里(あくまで映画での感想。原作の設定は未読のため不明)は、一家揃っておデブちゃんの松子より屈折している。前述したとおり温かい家庭とは言えない。浅井家は松子のいじめですら笑い飛ばそうという雰囲気。でも、2人が容姿からスクールカーストの底辺にいることは事実。ニキビがあるから底辺にいると思っている樹里は、松子を自分の下だと思うことでプライドを保っているのだと思う。ある日の放課後、樹里がチクチクと松子をバカにしている。生徒たちもまばらな教室で、たまたまそれを聞いていた涼子。我慢できなくなり、そういうのは良くないと声を掛ける。樹里本人よりも過剰に反応したのは松子。おちゃらけながら必死に樹里を庇う。こうなると涼子が引き下がるしかない。親友の倉田まり子(田畑澪花)が仲裁に入ったこともあり、涼子たちは教室を出る。松子が追いかけて来て、お礼を言いつつ、樹里は本当はいい子であること、彼女にはいろいろあるからと言って去って行く。樹里にはいったい何があるのか?
そして、あの夜。樹里の家に行った松子が、雨の中泣きながら走って来る。そして、松子は車にはねられて死んでしまう。 完成披露試写会での塚地武雅の発言から、松子が亡くなってしまうのだろうとは思っていたけれど、こんな形で死んでしまうとは思わなかった・・・ 普通に考えると、松子は樹里に会いに行き、あの告発文に書いたことは嘘だったと告げられ、ショックを受けて闇雲に走って道に飛び出してしまい、事故に遭ったということなのでしょう。でも、それにしてもそこまでショックを受けるかな? 他にも何か言われた? 松子が樹里と会っているシーンはないので、松子が樹里の家に行ったのかも分からない。樹里の家に行く途中で、誰かに会ってもっとショックなことを聞かされた可能性もある。事故自体は、見せられたシーンだけで見れば、松子の死は事故で間違いないと思う。自殺ではないと思うし、故意にひいたわけでもないと思う。そして、多分そういう意味でのミステリーではないと思う。いわゆる"殺人"は起きていないんじゃないかな。ただ、1つ気になることが・・・ 松子の死を伝える電話が樹里の家にかかってきて、母親が受けるのだけど、その際母親は樹里に会いに来た帰りに事故に遭ったって言ってたっけ? 言っていたとしたら、松子は間違いなく樹里と会ったわけで、樹里の嘘を知りショックを受け事故に遭ったということになり、その後樹里が(一時的と思われるが)言葉を失ったのは、見ていた通りショックと責任を感じてだと思う。でも、もし松子が樹里に会っていないとすると・・・ 考え過ぎか?(笑)
さて、いよいよ校内裁判について! 相変わらず長くてごめん 映画の感想ではあるけど、自分用の備忘メモとして書いているから、気になったことは全部書いておきたいもので・・・(o´ェ`o)ゞ 実はもう1人重要人物がかなり早い段階から登場している。柏木卓也の葬儀に来ていた他校の生徒、神原和彦(板垣瑞生)。チラチラと姿を現していた彼に、最初に声を掛けたのは、涼子と共に第一発見者となった野田健一。2人は柏木卓也の話をする。健一が柏木卓也について重要なことを言っていたようにも思うのだけど、忘れてしまった・・・ 神原は小学校の時に柏木卓也と友達だったが、彼が私立の進学校に進んでからは疎遠となり、最近はほとんど連絡も取っていなかった。気になっているのは、自分が知っている柏木卓也は自殺をするような人物ではなかったから。まぁ、自殺してしまった人のほとんどが、初めから自殺しそうな人だったわけではないと思うので、普通ならばそれは当然だろうと思うけれど、おそらくこの"事件"については、柏木卓也の"自殺"が最大の鍵となるのだろうと思うので、小学生の頃の柏木卓也がどんな人物だったのかが気がかり。と、同時にこの神原和彦のことも気になる! もちろん、後ろで見ていた女子高生とおぼしき子たちが、初めてアップになった瞬間に「カッコイイ」とつぶやいていたくらい、演じる板垣瑞生がイケメンだからというわけではない(笑)
"事件"の本当のことを知りたいと考えていた涼子は、健一の紹介で神原和彦と会う。3人とも大出俊次は柏木卓也を殺していないと確信。だったら彼の無実を証明しようということで、学校内で裁判をしようということになる。やっと本題来たよ 神原和彦は自ら弁護士をすると宣言し、涼子に検事役を依頼。もちろん涼子はこれを受ける。3人は事前に体育教師の北尾先生に相談し了解を得る。 後日、体育館での学年集会の際に、元2年A組の生徒に招集をかけた涼子が、柏木卓也の死に関して、大出俊次を被告人とした校内裁判を行いたいと宣言する。この動きに過敏に反応した学年主任の高木先生は、涼子に止めるように言うけれど、彼女は一歩も引かない。興奮もありかなり強い口調ではあったものの、涼子の主張は理論的であって、少なくとも高木先生が激昂して平手打ちをするのはやり過ぎ。もちろん、親友のまり子が止めたように、反抗的と受け取られる部分はあると思うけれど、校内裁判自体には反対していた井上康夫(西村成忠)が、先生の腕を取り止めるほどの取り乱しぶりは問題。まぁ、生徒に囲まれて我を忘れてしまった部分もあるとは思うけど、教師としては常に冷静でいて欲しいところ。校長室では連絡を受けた涼子の母親が、高木先生に対して抗議をする。指導をしていただけだと言う先生に対して、井上はあの時涼子は暴力を振るったり暴れていたわけでもないし、自分の考えを述べていただけ、それに対して平手打ちをしたのだから、その行為はただの暴力であると理路整然と主張。ぐうの音も出ない高木先生は涼子に謝罪するものの、裁判については絶対に認めない強硬姿勢。さり気ない北尾先生のアシストもあったものの、ここで涼子の母親邦子が反撃! 校内裁判を認めないのであれば、今回のことを教育委員会に訴えると宣言。事前に涼子から話を聞いていた邦子は、高校受験を控えた3年生であること、そんなことをすれば内申書に響くことを理由に反対していた。そして、今日も仕事の大事な打ち合わせを断って学校に駆けつけてくれた。そのことに涼子と共に感動 そして、井上康夫のキャラにも感動(笑)
涼子たちは校内にポスターを貼ったり、ビラを配ったりと校内裁判をアピールする。最初は反応が薄く、更に学年主任の高木先生、楠山先生が強硬に妨害。ポスターを破いたり、生徒に対して内申書に響くと脅しをかける始末。しかし、この態度が逆に生徒たちの反発を呼び、まず松子が所属していた吹奏楽部員たちが立ち上がり、次々仲間が増えて行く。神原弁護士の助手には健一、藤野検事の助手には親友のまり子に決まり、それぞれ準備を始める。北尾先生が校長に辞表覚悟であると宣言してまで、全面的にバックアップしてくれることになった。このことを聞いた涼子たち3人、特に野田健一と北尾先生のやり取りが面白い(笑) 前篇では主に神原弁護士&野田助手による、被告人大出俊次に対する出廷要請がメイン。実際の裁判の流れについては詳しくないので、被告人が出廷を拒否できるものなのかは不明だけど、本作では本人が出てくれないと話にならない。家が全焼してしまった大出家は、今ではマンションで暮らしている。高級マンションではない。テレビ放送されて以来、大出俊次は犯人扱いされ登校していない。彼を説得するために神原和彦が出したカードは壮絶な内容! なんと神原和彦の父親は、日常的に家族に暴力を振るっており、母親を殺してしまったのだった。その後、父親も自殺。だから自分には大出の気持ちが分かると訴える。その言葉に心を動かされたのか、大出俊次は態度を軟化させる。本当にやっていないのであれば、彼だって自分の無実をはらしたいはず。何度か足を運ぶうち、彼の母親も証言台に立つと約束してくれる。ところがそこに父親が帰ってきてしまい、校内裁判のことを知り、神原と健一の目の前で、大出俊次の母親と彼に暴力を振るい出す。そして、大出は再び出廷を拒否する。この父親は一体何なのか・・・ そして、この母親は何故この父親と離れないのか・・・ まぁ、夫婦はそれぞれだし、DV被害者が陥ってしまう、時々見せる優しさに、離れられないパターンなのかもしれないけれど・・・ いずれにしても、女性と子供に暴力を振るう人間は最低(*`д´)
学校一の秀才だと持ち上げて、井上康夫を裁判官に迎えることに成功したものの、被告人が出廷しないということで、裁判にならないとガッカリムード。でも、神原弁護士は、自分が絶対に大出俊次を出廷させると断言。北尾先生が何故他校の生徒の事件にそこまで真剣になるのかと質問する。すると彼は柏木くんに試されている気がすると語る。偽善ではないのか?と言われている気がすると、言っていたと思うけど正確なセリフは失念 それに対して反応する涼子。神原和彦は自分たちの知らない柏木卓也の何を知っているのか? 柏木卓也が大出俊次たちにいじめを受けていたことについては、他の生徒も認めているので確かだと思う。ただ、それがどこまで表面的に見えている事実と一致しているのか? 柏木卓也の遺体が発見されたのは12月25日。遺書は発見されていない。彼は亡くなる1ヶ月前から登校していなかった。その件について学校側は両親と何か連絡を取ったりしていなかったのか? 葬儀のシーンで彼の両親が映っていた。セリフもなく、その後一切登場しない。母親役は忘れてしまったけど、父親役は宮川一朗太だった。カメオ出演ではないなら、わざわざ宮川一朗太を使う必要はないと思うので、後篇に登場するのだと思うけれど・・・ まぁ、原作は文庫本6冊もある大作なのだから、単純ないじめを苦にした自殺ではないと推測がつくものの、やっぱり鍵は柏木卓也本人なのかなと思う。
映画は、樹里がさらに大出俊次を告発する文章をテレビ局に送ろうとして、母親に発見されるシーンで終わる。この母親はおそらく例の説明会には出席していないと思うので、この件に関してどこまで知っているのか、どれだけ関心を持っているのか不明。でも、さすがに娘のワープロから、"事件"の犯人を告発する文章を発見してしまえば、驚かずにはいられない。ということで、彼女が半狂乱になっているシーンで終了。えー、ここで まぁ、前後篇であることは知ってたし、既に見た人からも完全に途中で終わってるとは聞いていたけど、これは絶対に後篇見なきゃと思わせるラスト! 『ホビット 竜に奪われた王国』(感想はコチラ)では、公開が10ヶ月後だったけれど、今作は約1ヶ月後に後篇が公開されるので、この唐突な終わりはいいと思う
キャストについては後篇見てからまとめて書こうかな? でも、子どもたちがイイ! 主演の藤野涼子をはじめ、本格的な演技は初めてという子も多かったようだけれど、時々拙い部分があったとしても、その部分も含めた一生懸命さが、中学生という思春期まっただ中の難しい時期を、一生懸命生きている主人公たちにリンクしていた。
どうやら一気見上映会なども開催されたようだけれど、実際は一気に見るのが正解だと思う。ただまぁ、同時に公開されない以上、先に前篇を見るしかないわけで・・・ でも、見たら絶対後篇見たくなると思う! っていうか、早く結末が知りたい ということでオススメ
【気になっていることまとめ】
1.柏木卓也の"自殺"の原因は、いじめだけなのか? 何故遺書がないのか?
2.柏木卓也は不登校になってから、遺体で発見されるまで、どこで何をしていたのか?
3.2のことについて、両親や学校は何か対策を取っていたのか?
4.葬儀の時以外に両親が登場しないのは何故か?
5.柏木卓也が藤野涼子と歩道橋で会ったのは偶然か?
6.三宅樹里が大出俊次たちにいじめられたのは歩道橋が最初なのか?
7.歩道橋で壊された松子の大切なものは何か?←ただ大出たちの悪行を強調しただけ?
8.三宅樹里が大出俊次を犯人だと告発したのは、いじめられていたからだけなのか?←これは多分そうかも?
9.浅井松子は事故の日、三宅樹里に会ったのか? 会ったなら何を聞いたのか?←まぁ、会って告発文は嘘だと言われただけかも?
10.森内先生と柏木卓也の間には何があったのか?
11.垣内美奈絵は何故森内先生に粘着しているのか?
12.神原和彦と柏木卓也の間には何があったのか?
って感じかな・・・ まぁ、原作未読で結末知らないので、的外れな疑問かもしれないけど・・・(o´ェ`o)ゞ
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