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【cinema】『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

2017-09-24 00:04:53 | cinema

2017.09.08 『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』@シネスイッチ銀座

 

試写会あったよね? 応募したけどハズレた記憶あり。これは猫好きとしては見なきゃな作品! シネスイッチ銀座は毎週金曜日がレディースデイで950円で見れるってことで、金曜日に行ってきた~

 

 


ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「薬物中毒治療中のジェームズは、ストリート・ミュージシャンとしてお金を稼いではいるが、住むところもないホームレス状態。セラピストのヴァルの尽力で住む場所を確保。すると、ある夜一匹の猫が迷い込んで来る。ボブと名付けたその猫がジェームズの人生を変えて行く」と書くと、まるでおとぎ話のようなのだけど、そういう話ではない。これはかなり良かった! イギリスというか全世界が抱える問題を、ユーモアを交えて描いているので重くなり過ぎずに見ることが出来る。どん底の状況であっても主人公が魅力的で、彼を自然に応援してしまう。そして何よりボブがカワイイ!

 

『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のロジャー・スポティスウッド監督作品。残念ながら監督の作品は未見。『英国王のスピーチ』(感想はコチラ)のポール・ブレットとティム・スミスが製作総指揮。毎度のWikipediaはあるけど、情報が少ないので公式サイトから抜粋しておく。原作はジェームズ・ボーエンが実体験を綴った2012年出版の「ボブという名のストリート・キャット」。ザ・サンデー・タイムズ紙のベストセラー・リストに76週間連続でランクインする記録を樹立。30を越える地域で出版され、販売部数は世界中で500万部、続編2冊を合わせると計1000万部を越える大ベストセラーとなっているとのこと。

 

冒頭からしばらくはかなり辛い状況が続く。主人公のジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)はストリート・ミュージシャンをしているけれど、お金を置いて行く人はほとんどいない。住むところも無いようで、雨風がしのげる場所でうずくまっていたりする。屋根のある場所で寝ていれば追い出されてしまう。食べ物を買うお金もないので、ごみ箱を漁ったりしている。これは間違いなくホームレス。ホームレス状態だったというのは前情報で知っていたので、ビックリしてしまうことはなかったけど、想像以上に過酷。彼自身がこの状況を恥じており、何とかしたいとは思っているようだけれど、どうにも抜け出せないでいる感じは画面から伝わって来る。すると彼に声を掛ける青年が。少し前にもドラッグを持っていないか聞いてきた人物でバズ(ダレン・エバンス)。施錠し忘れた車に勝手に乗っており、ジェームズにも一緒に乗れという。いいこととは思わないけれど、寒さがしのげて眠れる場所があるのは見ている側もホッとする。バズはジェームズにドラッグをすすめる。自分はやらないと断るけれど、この状況が辛過ぎてついつい手を出してしまう。うーん。バズも悪い人物ではないのだけど、とにかくドラッグを服用することに罪悪感がまるでないのが問題。翌朝、車の持ち主がやって来る。バズの姿はなく、ジェームズだけが寝ている。当然ながら持ち主は怒り、車から降りるように言うけれど、ジェームズの様子がおかしい。意識を失っている様子!

 

場面切り替わって病室。連絡を受けたらしい女性がやって来て、ジェームズをお説教。まぁ当然だね。全体的にあまり詳しい説明のない映画で、登場人物たちの会話などから、背景や状況を察知するという感じ。なので、最初はこの女性が姉なのかなと思ったのだけど、どうやら薬物依存症治療のセラピストらしい。ヴァル(ジョアンヌ・フロガット)というこの女性がジェームズの担当ということ。後から分かるのだけど、どうやらメサドン療法という治療法で、コカインなどのドラッグの代わりに、メサドンという薬を毎日飲み、徐々に薬物を断っていくということなのかな? ヴァルと定期的に面会し、薬局で受け取る仕組み。この治療は無料で行われているのかな? ジェームズに薬代やカウンセリング代が払えるとは思えない。その辺りの説明はなかった。なくてもストーリー展開上問題はないのだけど、ヴァルの尽力でアパートの部屋も提供されるし、個人的にはこのシステムについて興味があったので、説明がなくて残念💦

 

メサドンを服用している間に、ドラッグを服用してしまうと、以前よりも量が増えてしまったりするようで、ヴァルはかなりのお怒りモード。もう面倒は見切れないと言うけれど、実際は見捨てることはない。それどころか、彼を救うのは今しかないと上司?を説得して、アパートを世話してくれる。この辺りのことがよく分からなかったのだけど、おそらく空き家になっている部屋とかを、支援団体が借りるか買うかして無償提供しているということなのかな? バスに乗ってヴァルの待つ部屋を訪ねると、置き去りにされたと思われるベッドやソファなどが残された荒れた状態ではあって、見ている側としては住みたい環境ではないけれど、ホームレス状態であるジェームズにはありがたい話。こういう状況でも文句を言う人はいるかもしれないけれど、ジェームズの良いところは本当にありがたいと思っていて、心からヴァルに感謝できるところ。だから、皆が彼を応援したくなるし、見ている側も気付けば応援している。

 

決してキレイとは言えないけれど、お風呂に入ってくつろいだりできる。なによりベッドで寝れるのはありがたい。そんなくつろぎモードの中、窓から1匹の猫が入って来る。ジェームズは牛乳を与えたりして、特別追い払ったりしない。そのうち帰るだろうとベッドで寝てしまうと、猫は足元に丸まって寝始める。この時はこれで帰ったんだっけ? 翌日、ジェームズは猫を放したんだよね? ちょっと忘れてしまった💦

 

翌日、また猫が現れる。なんと脚にケガをしていた。ジェームズは必死で飼い主を探すけど見つからない。同じアパートに住む個性的ないでたちの女性に、この猫を知らないか声を掛ける。この女性ベティ(ルタ・ゲドミンタス)は動物に詳しいようで、猫アレルギーながら部屋に入れてくれて、応急処置をした後、無料で診察してくれる病院を教えてくれる。この猫アレルギー設定後から出てこなくなるけど必要だったのか? 別にいいけど。実際は「ツイン・ピークス」のキラー・ボブから命名したそうだけれど、映画の中ではベティが猫がそう呼ばれたがっていると言い、ボブという名前になる。ベティのモデルの方がいるのか不明だけど、このベティがちょっと不思議設定だったのも良かったと思う。実は辛い過去を抱えているので、その辺り含めてキャラの強さは良かったと思う。ジェームズが頼りにしちゃう感じに説得力がある。

 

実際は動物虐待防止病院というところに連れて行って治療代22ポンド支払ったそうなのだけど、映画では治療代は無料だけど薬代がかかる。薬代が足りない💦 お願いしている場面で切り替わってしまったので、全財産はたいて必要な分だけもらったのか、おまけしてくれたのかは不明だけど、全財産を使い果たすことになるし、治療が終わるまで長時間待たされたため、ヴァルとの面会をすっぽかす羽目になる。それでも必死にボブを助けようとする姿がうれしい。日本でもこういう病院あればいいのにな~ そうすれば不幸な野良猫ちゃんが減る気がするのだけど。

 

実際のボブは交通事故に遭って酷いケガをしていたところをジェームズさんに保護されたようで、完治するまで2週間かかったそうだけれど、映画では傷の程度はそんなに酷くはないし、治癒するまでも描かれてはいない。ジェームズさんご本人はボブが完治するのを待って、数キロ先の公園で放したけれど、数日後家に帰るとボブが待っており、その時に一緒に生きて行く決意をしたとのこと。映画ではそういう描写はなかったかな。ハッキリ飼うと決めた瞬間はなかったような?

 

ある日ジェームズがストリート・ミュージシャンの仕事に出かけようとすると、ボブが着いて来る。戻るように行ってもついて来てしまい、仕方なくバスに乗ると、なんと走って追いかけてきてバスに乗り込んでしまう。かわいい 実際も勝手について来たそうだけれど、ボブは命を救ってくれたジェームズさんが本当に好きなんだね。猫って気が向くと飼い主にベッタリで離れなかったりするけど、外出先まで着いて来ちゃうのはビックリ! でも、このボブの行動がジェームズの人生に変化をもたらす。

 

歌っているジェームズの横におとなしく座るボブ。ボブがいることにより注目する人が増え、お金を置いて行く人も多い。ジェームズはボブ用のハーネスとリードを買い、2人で街に立つようになった。コベントガーデンかな? 初老の女性(この女優さん見たことあるんだけど誰だっけ?)が、ボブのためにマフラーを編んできてくれたりするようになる。固定ファンがついた👍 ライブ活動は順調で、ボブの缶詰を買ったり、贅沢ではないけれど、まともな食事ができるようになったりする。

 

一方で、ジェームズの背景も少しずつ描かれる。どこのタイミングだったか忘れてしまったのだけど、結構早い段階で偶然父親(アンソニー・スチュワート・ヘッド)と会っている。先に父親の方がジェームズに気付くけれど、彼は見つけて欲しくない様子。でも、ジェームズが見つけて声を掛ける。迷惑に思っているわけではないけれど、早く話を切り上げたい感じ。すると父親の妻が現れる。父親の誕生日だったかな?にお祝いに行きたいというけれど、席はないわと冷たく言われてしまう。この継母がそもそもいじわるなのか、薬物中毒だからジェームズと関わりたくないのか。多分両方。父親としてはジェームズを気遣ってはいるようだけれど、この妻に頭が上がらない様子。彼はそっとジェームズにお金を渡す。断るけれど父親は受け取らず去ってしまう。

 

ジェームズとボブがお金を稼ぐ姿を目撃した、バズは2人の後をつける。家までついて来てお金を貸してくれと言う。絶対にドラッグは買わず、食べる物を買うように言ってお金を渡す。でも、しばらくするとバズが家の近くで倒れているのが見つかる。ジェームズの家の窓から公園が見えるのだけど、その前にいつも立っている2人組の男がいる。明らかに売人。おそらく彼らからドラッグを買ったのでしょう。救急車を呼んでくれと叫ぶジェームズの声に、ベティが人工呼吸などをするけれど、結局搬送された病院で亡くなってしまう。

 

ベティはドラッグを嫌悪しており、ジャンキーには近づかないと言っていたので、ジェームズは自分が治療中であることを隠している。この騒動についてベティにお礼を言いに行ったんだっけ? ベティは何故ジャンキーが嫌いなのか語る。この部屋はもともと大好きだった兄の部屋で、以前ジェームズがホメたことのある絵は兄が描いたもの。画家になるためロンドンに出てきて、ドラッグ中毒になってしまい、この部屋のバスタブの中で遺体で発見された。そのことがショックで兄を感じたくてこの部屋で暮らしている。だからジャンキーが嫌いなのだった。これは切ない。何度も言うけど、原作未読なのでベティのモデルとなる女性がいるのか不明だし、このエピソードも実話なのか分からない。でも、ドラッグ問題の提起にはなっていると思う。このことがジェームズの後の決断にもつながっていると思うので。

 

順調に見えたボブとのストリート・ミュージシャン活動だけれど、ある日犬を連れた男がいやがらせをしてくる。飼い犬をけしかけて、お金の上におしっこをさせたのだった。犬の自然現象だというけれど、そんなわけはない! こういう人ってどこにでもいるのね~(*`д´) なんなの? 妬み? 観客たちも巻き込んで、ちょっとした騒動になってしまい、ジェームズは警察に連行されてしまう。そしてストリートでのパフォーマンスを禁止されてしまう。実際のジェームズさんも、妬みからなのか身に覚えのない通報をされて、パフォーマンスを禁止されてしまったのだとか。なんとまぁ💦

 

警察へはヴァルが身元引受人で来てくれる。自分のせいでこうなったのではないというジェームズに、薬の影響でイライラしているのではないかと指摘。路上パフォーマンスを禁止されてどうするのか? 確かに困った💦 生活は再び下降線。少しは貯えがあったものの、どんどん減っていく。そりゃそうだ。空腹からファーストフード店に入り、ホットドッグ的な物を注文するけどお金が足りず、全財産を差し出してこれで売ってくれと言うけれど、最初からジェームズを蔑んだ目で見ていた店員は、出来上がったホットドッグ的な物を捨ててしまう。見ている側はジェームズ個人を見ているけど、お店側からしたら大勢の中の1人。商売だしね。でも、こんな態度はないと思うけど。これ店員役を非白人の俳優が演じていて、これっていつもは差別されることの多い側が、貧困者を差別するという、負の連鎖的なことで、差別問題を描いているのかなと思ったり。深読みか? ってか、このエピソードここだったっけ? 後の1ヶ月失業の時だっけ? あれ?(o゚ェ゚o)

 

自分が飢えるのも辛いけれど、ボブが飢えるのはもっと辛いということで、ボブのために一念発起。ビッグイシューの販売の仕事を始める。ビッグイシューって一時期日本でも話題になったけど、今もあるのかな? これって失業者支援のためのプロジェクトなんだっけ? 要するにビッグイシューという雑誌を販売するのだけど、初回は無料で提供、その利益を元に次回からは自身で仕入れて販売してくシステム。余剰の買い取りはしないので仕入れ量に注意が必要なのと、他人の縄張りは侵さないのがルール。縄張りを侵した場合は販売資格を失う。結構厳しいね。まぁ仕事だし、基本ルールだし。

 

ビッグイシューの販売にもボブは同行。地面に寝ている場合もあるけど、基本はジェームズの肩の上。これがカワイイ 本物のボブも演じていることもあり、撮影には基本ジェームズさんが立ち会ったっぽい。YouTubeのメイキング映像(下の方に動画貼っておく)には、直前までジェームズさんの肩にいて、ルークの肩に移動させるシーンが頻繁に映ってた。肩の上に猫を乗せたスタイルが人気を呼び、ジェームズの売り上げはぐいぐい伸びる。

 

以前、偶然会った時、クリスマスなら呼べるかもしれないと言った父親の言葉を信じて、ボブと一緒に家を訪ねる。当然ながらジェームズは携帯電話などを持っていないのでアポなし。父親はジェームズ自身を拒絶しているわけではないけれど、明らかに困惑状態。2人の幼い妹たちはジェームズをジャンキーだとはやし立て、その声に驚いたボブが逃げてしまい部屋中を走り回ってツリーも倒してしまう。当然ながら妻は激怒。こうなってしまえばジェームズとしても帰るしかない。でも、帰りがけに妹の1人がボブを撫でさせてと言うのが少し明るい兆し。

 

一方でベティとの仲もいい感じで進展。まだ恋人という感じではないけれど、動物に詳しいベティにジェームズは何かと相談している。彼女のアドバイスに従ってボブの去勢手術もした様子。家具などが増えたわけではないけれど、それなりに部屋を整える余裕も出てきたらしく、クリスマス・ディナーにベティを招待する。ベティは兄の絵を1枚プレゼントに持ってきてくれる。ジェームズもベティにプレゼント渡してた気がするのだけど、忘れてしまった。この2人の感じは好きだった。同世代の男女だからって即恋人同士って設定にしなかったのはよかったと思う。2人とも問題を抱えていて、それを恋人として支え合うのではなく、親友どうしのような感じだったり、ベティの方が大人っぽく、いつもジェームズが相談しているので、姉と弟のようでもある。この適度な距離と信頼関係が良かったと思う。

 

どの段階だったか忘れてしまったけど、川辺でジェームズがベティに身の上を打ち明ける場面がある。両親が早くに離婚。ジェームズは母親と共にオーストラリアへ移住。父親は一度も訪ねて来なかった。映画ではイギリスに戻った理由を言っていなかったように思うけれど、実際のジェームズさんはストリート・ミュージシャンを目指してだったそう。後は、見ていたとおりということなのかな。ここではハッキリと言っていなかったと思うけれど、ジェームズは父親に見捨てられたと感じているということなのでしょう。それでも、父親を責めることなく求めているのが切ない。

 

ある日ジェームズがメサドンを処方してもらっているところをベティに見られてしまう。薬物中毒に対して嫌悪していること、そして何よりジェームズが嘘をついていたことをについてベティは激怒する。まぁこれは仕方がないな~💦 ジェームズが言えなかった気持ちも分かるし、個人的なことだから絶対に言わなきゃならないってこともない。まぁでも、話した方が良かったとは思うけれど。

 

ビッグイシューの仕事は順調。普段ならば見向きもされない相手からサーと声を掛けられて驚いたりする。取材を受けて新聞に大きく取り上げられたこともあり、ますます人気が高まり、彼ら目当てで雑誌を買いに来る人たちも多い。ジェームズたちの人気を良く思わない仕事仲間もいる。縄張りを荒らしているわけではないけど、お客を取られてるわけだから、気持ちは分からなくもない。そんなある日、ジェームズを良く思っていない仕事仲間の領域で、声を掛けられる。たしか一緒に写真を撮りたかったのだと思う。その人はお礼のつもりで雑誌を購入するというけれど、それは縄張り荒らしになってしまう。その縄張りの主を指差し、彼から買ってくれるように言うけれど、その人物はお金をジェームズのポケットに入れ去ってしまう。ジェームズに落ち度はないけれど、普段から快く思っていなかった縄張り主は、そのことを事務局に訴えたらしい。故意ではないことは認められたけれど、ルールはルールということで、1ヶ月の販売停止となってしまう。これはキツイ💦

 

なんとか乗り切り、再び仕事を再開。1ヶ月不在だったのに復帰したら相変わらずの人気。ある日、子供のためにボブを買い取るなどと言うご婦人が。私たちの方がボブに快適な暮らしを与えられるとか余計なお世話! ボブは自らジェームズのそばにいることを選んだのだから、それが彼の幸せであって、それを奪う権利はない! ましてお金で買うなんて(*`д´) ジェームズは激高してしまい、驚いたボブが逃げてしまう。必死で追いかけるも見失う。うーん。どうにもいろいろ巻き込まれるね💦

 

きっと家に帰って来るって信じて待つしかない。ボブがいなくなってしまったことで、精神的に辛くなって、窓から見える例の2人組の売人に近づく。まさか手を出しちゃうの と思っていると、グッとこらえて猫を探しているんだと言う。ホッ。よかった😌

 

もちろんボブは家に戻って来る。今もジェームズさんと一緒にいるのだから、帰って来るのは知ってたけど、やっぱりうれしい。このシークエンスは、まだボブと暮らす決心をする前に、ジェームズさんがボブを放し、その後ボブが戻ってきたエピソードを脚色しているのかな? 実際あったのかな? ジェームズさんが薬物を断つ決意をしたきっかけが分からないのだけど、映画ではこの出来事によりボブのために薬物を断つ決意をする。ジェームズがヴァルの指導のもと行っていた、メサドンを使った治療法について詳しい説明がなかったので、システムがよく分かっていないのだけど、完全にドラッグを抜くまでは、この薬を飲み続けるってことなのかな? 最終的にはメサドンも飲まなくなって終了ということ? で、ジェームズが断つ薬というのはメサドンのことで、これを断つのも禁断症状との戦いらしい。無性に外に出たくなるけれど、完全に抜けるまで絶対に外に出てはいけないとのこと。どうして外に行きたくなるのか、何故出てはダメなのか説明がないので分からない。出ちゃダメなのはドラッグに手を出しちゃうからかな?

 

ジェームズはベティを訪ね、薬物を断つのでしばらく会えないと告げる。ベティはジェームズの考えを支持し、外に出てはダメだから、食料を自分が買ってきて差入れすると応援してくれる。何度もしつこいけどベティさんが実在するのか不明なのだけど、映画としてはヴァルとベティ2人の女性が決してジェームズを見捨てないのは、見ている側も救われる。

 

そこから数分間は壮絶な禁断症状との闘い。映画などで何度も見てきたけど、具体的にどう辛いのかは分からない。幻覚が見えたりするんだっけ? その描写はなかったけれど、とにかくかなり辛そうであることは伝わって来る。床に転がってみたり、ベッドで布団にくるまってみたり、七転八倒したり。そんなジェームズの姿をじっと見守るボブが切ない。でも、ボブがいるから頑張れていることがよく分かる。そして、ある朝スッキリと目が覚める。やり遂げたのだと見ている側にも伝わる。

 

ジェームズが闘っている間に、ある出版社では新聞に載ったジェームズとボブのことが話題になっていた。彼らの本を出そうという企画が持ち上がる。記事に目を止めたのも、出版を決定したのも女性だったけど、これは実際もそうだったのかな? ちなみに新聞記者は男性が演じていた。

 

見事に薬断ちに成功したジェームズは、ヴァルの元へ報告に行き祝福を受ける。ジェームズが更生できたのは、彼を見捨てず手を差し伸べてくれたヴァルの存在も大きい。それが仕事なので当然だとは思うけれど、ジェームズならば克服できると信じていたからこそだと思う。こういう人に巡り合えたのはとても良かった。人って本当に誰に出会うかって大きい。ヴァルとのつながりは患者とカウンセラーだから、会うのはこれで最後。なんだかちょっと不思議。

 

ジェームズは父の家も訪ねる。先日の失態を詫び、自分が薬を断ったことを告げる。そして、父親が自分を見捨てたことを恨んでいないと告白する。すると、父親は財布からジェームズの子供の頃の写真を差し出す。見捨てたわけじゃない。ただ、どう接したらいいのか分からなかったのだと言う。誰もが最初から完璧な親になれるわけじゃない。2人が父子になるまでには大きな回り道をしたし、ジェームズは辛い思いもしたけれど、でも新たな関係が築けそうで良かった。何をしているのかと高飛車な妻に、息子と話してるんだとキッパリと言う父。もう大丈夫! このシーンは良かった。

 

家に戻るとベティが引っ越し作業中。兄のことに区切りをつけるため、実家に戻ると言う。お礼を言うジェームズ。ベティもまたジェームズを支えてくれた1人。ボブのことから薬断ちまでお世話になった。ジェームズは彼女に好意を持っていると思うし、ベティも同じだとは思うけれど、恋人関係になるにはそれぞれ事情があった。でも、ベティはこれきり会えないわけじゃないと連絡先をくれる。この感じも良かったな。ハリウッド映画なら2人を恋人にしたかな。その展開も好きだけど、あくまでボブとの絆に絞って、ベティを脇に徹しさせたのは良かったと思う。

 

そして、ベティはジェームズ宛ての出版社からの手紙を預かっていると言う。ジェームズが出版社の人と話してるシーンってあったっけ? あったような気もするけど忘れた。 まぁ、そこはそんなに重要じゃないのでOK。シーン変わって書店。ボブとジェームズが表紙の本を手にした人々が列を作っている。カメラが書店の中に入っていくと、そこにはボブを肩に乗せたジェームズの姿が。挨拶するジェームズを見守る人々の中には、ベティと父親、そして妻の姿も。めでたし、めでたし

 

映画はここで終わるけど、ラスト直前にサインをもらう背の高い人物が「僕の人生そのものだ」と感想を言う。これジェームズ・ボーエンさんご本人。このセリフは当然狙っているわけだけど、現場でルークの演技を見ていたジェームズさんは、自分の人生そのものだと思っていたそうなので、映画の出来としてはご本人も満足なのだと思う。

 

ボブを乗せて街を歩くジェームズの姿をバック(だったよね?)に、本がベストセラーになったこと、ジェームズが自宅を購入したこと、現在は動物愛護の仕事をしていることがクレジットされる。今回、ジェームズさんご本人とボブが来日。その際のインタビュー記事や、映画の紹介記事などを読んだところによると、現在もストリート・ミュージシャンとしての活動を続けているそうで、自宅のローンも払っているとか? 印税はほぼ動物愛護団体に寄付したそうで、ホームレス支援活動もしていると書かれた記事もあった。映画のクレジットと違う? でもまぁ、いろいろされているのでしょう。ローンの件はボブに絡めて話していたので冗談かな?

 

キャストはみな良かった。ベティのルタ・ゲドミンタスは初めて見たこともあり、本当にベティみたい。変な言い方だけど。ちょっとエキセントリックないでたちだけど、内面はとても繊細で、思いやりのある人物を好演。ジェームズの支えになっていることは見ている側にも救いになった。ヴァル役のジョアンヌ・フロガットが良かった! 「ダウントン・アビー」のアンナさんのイメージが強いけど、ジェームズを時に厳しく、信頼を持って接してくれる。どん底に落ちた人物にとって、尊厳を持って接してくれるのはうれしいハズ。ジェームズが立ち直れることを信じて、彼を救いたいと思っていることが伝わってきた。

 

ジェームズのルーク・トレッダウェイが素晴らしかった! 『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』(感想はコチラ)の双子の1人だよね? 見たいと思っていた「犬に起こった奇妙な事件」の演技でローレンス・オリビエ賞を受賞したそうだけれど、双子のもう1人はどうしてるのかしら? 俳優をやっているのかな? 冒頭のホームレス状態の時から、ジェームズがそれを恥じ、なんとか抜け出したいと思っていることが伝わってきた。ボブに対しても愛情を持って接していることが分かったし、繊細でいい人ゆえに辛い状況いなっていることも伝わる。一生懸命生きている姿に応援したくなったのは、ルーク・トレッダウェイのおかげ。

 

そして本猫登場のボブがかわいい! ジェームズさんによるとカナダから7匹の猫が来ていて、それぞれ出演したそうだけれど、ボブらしい仕草などが出来なかった為、本猫登場となったらしい。明らかに違う顔の子もいたけど、肩に乗るシーンなどは、ジェームズさんがまず肩に乗せて、その後ルークに移ってと言って撮影したそうなので、肩乗りシーンやハイタッチは本猫が演じていると思われる。ボブも含めて猫ちゃんたちは熱演! そしてみんなかわいかった~😍 癒された。

 

撮影はロンドン市内で行われたのかな? 前半のホームレス時代は寒そうで、雨が降ったりして暗い画面。ボブが現れてからは画面も明るいトーンになっていく。同時にジェームズの部屋もちょっとずつ快適な部屋に変わっていって、心の余裕が出来ていることが伝わる。なので、ジェームズが薬断ちを決意するまでの流れがすんなり落ちてくる。ボブ目線の映像が時々差し込まれて楽しい。あまり多用し過ぎるとウザくなってしまうけど、その辺りのバランスもよかったと思う。そうそう、原題は『A STREET CAT NAMED BOB』で、原作のままだと思うけど、これは「欲望という名の電車(A STREETCAR NAMED DESIRE)」にかけているんだよね? 何故かけたのかは不明。

 

見てから2週間経ってしまったし、公開から1ヶ月以上経ってしまったけど、シネスイッチ銀座ではスケジュールの出ている9月29日までは上映しているもよう。レディースデイの金曜日は混雑しているらしいので、早めに窓口に行った方がいいかも?

 

全体的に笑える場面がちりばめられていて、薬物中毒、貧困など重いテーマを扱っているのに重くなり過ぎずに見れる。そいう作品好きな方は絶対好きだと思う。ルーク・トレッダウェイ好きな方オススメ! 猫好きな方必見です!!

 

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』Official site

 

 8/26公開!映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

プレミアにはキャサリン妃もいらしたのね


「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」メイキング映像

ボブかわいい😍

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