「JAWS」の大ヒットで一躍ハリウッドのトップにのぼりつめたスピルバーグ。でもこの作品では(なにしろ題材が題材なので)不安もあったか、JAWSの方法論を徹底的に再利用している。
クルマの背後から灯りがふたつ。追い越したクルマのドライバーが「道路の真ん中で止まってんじゃないよ!」と激昂。またしても光がふたつ。今度はその光が上に!鮫とUFOの違いはあれど、稚気あふれる感じがうれしい。
おそらくはUFO文献を読み込んでつくりあげた脚本(書いたのはスピルバーグ自身)だろうが、フィラデルフィア・エクスペリメントとして有名なエピソードや、目撃者が日焼けするあたりのセレクトもうまい。
何度も見ているのでマザーシップの巨大さにはもう驚かないが、音階によってコミュニケイトするあたりも考えてあるなあ。「コンタクト」における素数とか、いろいろと考えますねえ科学者って。
この映画のしかし最大の美点は、俳優としてフランソワ・トリュフォーを起用したことだろう。彼が亡くなったいま、元気な姿は映画ファンにとっての珠玉のプレゼントになっている。ヒッチコックの手法がトリュフォーを経由してスピルバーグに継承されているとしたら、この映画はその意味でも歴史に残る。
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