PART4「アチャコとロッパ」はこちら。
◆麻雀放浪記
映画監督として和田誠さんがデビューしたのは、角川春樹の働きかけが大きかったようだ。彼には批判も多いけれども、面白い映画をつくりたいという熱情は、角川文庫を売りたいという欲求以上に大きかったのかもしれない。今度は和田さんが聞かれるバージョン。
和田:(角川春樹にそそのかされて)脚本書いてる時に浮かんだ人が多いです。最初に浮かんだのがオックスクラブのママに加賀まりこさん、次に上州虎に小沢昭一さん、出目徳に高品格さん、ドサ健に松田優作、チンチロでサイコロ博奕やってる連中の一人に天本英世さん、というところだったかな。
-小沢昭一さんと松田優作さんは出演していませんが。
和田:小沢さんは別の映画の予定が入っててダメだったんですよ。それで上州虎は名古屋章さんに演ってもらったんです。松田優作は原作読んでドサ健という人物には興味を示したんだけど、会って話してみると「あの脚本は予告篇だな」なんて意味不明のことを言うんで、出演する気があるのかないのかわからないんです。
……ドサ健の最初の候補は松田優作だったのか!それ、観てみたかったなあ。ただ、新人監督が彼を制御するのは大変だろうし、鹿賀丈史で正解か。松田の狂気が鹿賀に憑依するのは「野獣死すべし」で経験済みだしね。それでは最後に、イラストレーター兼デザイナーとしての和田誠のアーティスト宣言を。
イラストレーションを描くだけの仕事、小説やエッセイの挿絵がそうですが、ポスターや装丁、CDのジャケットなどは文字が入るので、デザインが必要になりますね。その場合は自分でデザインもやります。依頼の時「デザインはデザイナーさんに頼んであります」と言われると、その仕事は断ります。「どうしてですか」と聞かれたら「デザインも自分でやりたいから」と答えるんだけど「え、デザインもできるんですか」って言われることもあってね。とにかく俺の絵を人にいじられたくない、という気持ちが根底にあるんですよ。自分の絵は自分がいちばん知ってるんですから。
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