観終わってだいぶ経つのに、登場人物たちのことが頭から離れない。文句なく傑作。
メタ青春映画と規定するべきか、しかし誰もが自分の立ち位置に不安で仕方がないという意味で王道を歩んでいるというべきか。
神木隆之介、東出昌大、橋本愛、大後寿々花だけでなく、登場人物すべてがすばらしい。なにより、タイトルロールである桐島が出てこない展開にはうなった。
従来の青春映画では、クラス内の役割は無邪気なほどに明確だった。運動バカ、ガリ勉メガネ、熱血教師……しかしもちろんそんなステロタイプでみんな生きているわけじゃない。誰もがさまざまな痛みを抱えながら役割を演じているだけだ。その微妙な部分をこの映画はみごとに突く。
高校生のこのロールプレイが意識的なことを考えれば、卒業後にいきなりみんなが大人になるわけではなくて、違った役にみずから変更しただけであるのがわかる。その意味で、すでに自分の才能を客観視している神木や、どんなものにも熱中することができず、涙を見せる東出の将来はやはりきつい。朝井リョウの原作も読まなければ。きっと、しんどいんだろうけどなあ。
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