うちの娘が卒論に選んだのは“異種婚姻譚”というジャンルらしい。人間以外の異性と結婚する物語。日本でいえば「鶴の恩返し」や「雪女」がそれにあたるとか。
西洋で代表されるのはこの「美女と野獣」だろう。醜い野獣と美しい娘の恋愛は、異種である以上に複雑な要素をはらんでいるはず。わたしは1946年のジャン・コクトー監督版しか見たことがなく、モノクロの画面であるがゆえにかえって印象としてバラの赤さが際立ち、野獣が本気で怖かったのをおぼえている。あれは名作だったなあ。
今回はディズニーのアニメを実写化したというふれこみなので、印象はずいぶん違う。 実はわたし、そのアニメ版は見ていない。どうも劇団四季っぽいのが苦手だしね。でも劇場でいっしょになった事務職員は(振替休日に既婚中年男性事務職員が鉢合わせってのもなあ)
「(ディズニーのは)何度も見てるんですよ」と。
「(子どもにつきあって)見せられたんだろ?」
「いえ。大好きなんです」
そ、そうですか。見終わって「金かかってるよなー」とふたりで納得。客を楽しませずにはいられない、というディズニーの意地が爆発。特にすごいのは無機物に変えられた召使いたち(ラストで、とんでもない名優たちが演じていることが明かされます)の動きで、さすがCG、さすがディズニーだと思い知らされる。
でも、世界的なバカヒットになっているのは、生身の俳優のおかげだろう。特にヒロインのエマ・ワトソンが、微妙に胸を強調しながら(笑)瞳をキラキラさせて“小さい村にあきたらない父親想いの娘”を演じてすばらしい。ハーマイオニーがここまで成長したかとしみじみ。
この作品の核心は、観客がヒロインのベルといっしょに野獣を好きになるわけなので、彼が美男の王子に変身したあとで戸惑わないか、ここでしょう。異種の婚姻をせっかく納得したのにと。でも、その心配はいらないのでした。だってこの映画、最初っから野獣かわいいもん(笑)。
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要チェックです。
当方も中学時代の英語教科書のイメージは、そんなところであろうと思われます。
おしゃれさは確かに教科書向きかも。
わたしのときの副読本はロアルド・ダール
の「おとなしい兇器」。
教師たちは生徒をどうしたかったんでしょう(笑)